交換レンズ実写ギャラリー

コシナNOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM

LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約7MB / 3,968×5,952 / 1/1,000秒 / F1.5 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm

 1999年に発売されたフォクトレンダー「NOKTON 50mm F1.5 Aspherical」がリニューアル。マウントもLマウントからライカMマウント互換のVMマウントになった。ここでは「ライカM」に装着して使用した。

ライカMとの組み合わせ。発売は6月15日。価格はシルバーが13万1,250円、写真のブラックが10万5,000円。

 外観デザインは1951年に発売された、オリジナルの「NOKTON 50mm F1.5」を彷彿させるもの。鏡筒の中央がくぼんだ、独特の形をしている。ピントリングや絞りリングの形状もオリジナルそっくりだ。

 鏡筒のカラーはシルバーとブラックをラインナップ。シルバーは真鍮クロームメッキ。ブラックはアルミアルマイトだ。ここで使用したのはブラック。素材が異なるため、シルバーより73gも軽い。オリジナルのイメージを重視し、真鍮のずっしりした感触を味わいたならシルバー。クラシカルなデザインは楽しみながら、軽快に撮影したいならブラックが合いそうだ。

 ライカMに装着してもよく似合い、ホールドしたときのバランスも良好だ。ピントリングも絞りリングも細身だが、使用していてもそれを感じさせないほど回しやすい。ピントリングの動きも滑らかで、無限遠から最短まで一定のトルクで回転する。

 レンズ構成は5群6枚。そのうち1枚に非球面レンズを採用している。旧NOKTON 50mm F1.5 Asphericalと同じだが、新型はコーティングの仕様が強化された。ライカMのようなデジタルのレンジファインダー機や、マウントアダプターを介してミラーレス機に装着することを想定しているのだろう。

 絞り開放から解像力の高い描写だが、わずかにソフトで、大口径レンズらしい味わいが感じられる。しかし画面周辺でも、中央との画質の差がとても少ないのは見事。F2.8に絞るとシャープネスはグンと上がり、現代のレンズらしいクリアな写りだ。周辺光量低下は、絞り開放で感じられるものの、F2に絞るとほぼ目立たなくなる。

 デジタルのM型ライカは、純正レンズでは6bitコードにより、そのレンズに最適化した補正が行なわれるのはご存知だろう。また6bitコードがない純正レンズは、マニュアルでレンズの設定が行なえる。しかし純正でないこのレンズは、レンズ検出はオフ。カメラ側では全く補正をしていない。それで絞り開放から良好な描写性能を発揮するのは、いかに優れたレンズかがわかる。絞り羽根を10枚も使用したボケも自然だ。また驚いたのが逆光に強いこと。レンズに強い光が入る条件でも、フレアやゴーストが発生しにくかった。

 NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VMは、クラシカルなデザインと最新の描写性能を併せ持つレンズだ。35mmフルサイズ対応なので、ライカMやライカM9シリーズなど、フルサイズデジタルレンジファインダー機ユーザーも見逃せないだろう。ライカの純正レンズとは異なるスタイリングや味わいが楽しめる。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約8.3MB / 5,952×3,968 / 1/360秒 / F1.5 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約11.3MB / 5,952×3,968 / 1/125秒 / F4 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約11MB / 3,968×5,952 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約8.1MB / 5,952×3,968 / 1/60秒 / F2 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約8.4MB / 3,968×5,952 / 1/60秒 / F4 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約9.5MB / 3,968×5,952 / 1/125秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約9.3MB / 5,952×3,968 / 1/500秒 / F8 / +1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約13.5MB / 5,952×3,968 / 1/750秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約12.1MB / 5,952×3,968 / 1/125秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約9.2MB / 3,968×5,952 / 1/500秒 / F2 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約9MB / 5,952×3,968 / 1/1,500秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約10.7MB / 3,968×5,952 / 1/750秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約8.6MB / 5,952×3,968 / 1/750秒 / F1.5 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm
LEICA M(Typ 240) / NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM / 約8MB / 3,968×5,952 / 1/1,500秒 / F1.5 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 50mm

藤井智弘

(ふじいともひろ)1968年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年、コニカプラザで写真展「PEOPLE」を開催後フリー写真家になる。現在はカメラ雑誌での撮影、執筆を中心に、国内や海外の街のスナップを撮影。公益社団法人日本写真家協会会員。