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細身で軽量、造りも良し…カーボントラベル三脚の新星現る!

Leofoto(レオフォト)LS-225Cを持って撮影に出かけてみた

高感度性能や手ブレ補正がいくら進化しても、三脚が無ければ撮れない被写体やシーンはまだ多々ある。とはいえ写真教室などで生徒に聞くと、「折角カメラが小さくなったのに、大きな三脚を持って歩くのがおっくうだ」という話が意外と多い。

確かに一昔前は大きな三脚を使うことで機動力が落ちていたが、最近は三脚の設計や素材がよくなり、小型の三脚でも十分実用的なものがある。

というわけで今回は、最近注目度がアップしているLeofoto(レオフォト)の小型三脚「LS-225C」と小型雲台「LH-25」をご紹介したいと思う。

まずはLeofotoというブランドはご存じだろうか。中国Zhongshan Laitu photographic Equipment Co., Ltdの傘下のブランドで、昨年から日本で本格展開を始めた。10年以上も撮影機材を作っており、三脚を始め、パノラマヘッド、Lブラケット、クイックシューなどを得意としている。まだ広くは知られていないが、近い将来ユーザーが増えることは間違いなさそうな今注目のブランドだ。

その中でも紹介したいのは、三脚LS-225Cと雲台LH-25の組み合わせだ。特徴はセンターポールがないところ。そのメリットは、収納した際に非常にコンパクトになる点だ。

脚を折り畳んだ状態。センターポールがないため脚をぴったり閉じることができ、収納時に細くまとまる。

現在、いわゆるトラベル三脚と呼ばれる製品の多くは、センターポールを中心に脚部を逆に折りたたむのが主流だ。この場合、全長は短くなるが収納径が大きくなり、意外と無駄なスペースが生じる。機内持ち込み用のトランクなどに入れると、そのスペースが勿体無く感じられる。

しかしセンターポールのないLS-225Cは、一般的なトラベル三脚より収納時に細くまとまり無駄がない。日常的に持って歩ける上、公共交通機関でも楽に持ち運ぶことができること間違いなの三脚なのだ。

満足できる造りの良さ

とはいえ、重要なのは三脚として使った時の性能だろう。

耐荷重は三脚(LS-225)が4kg、雲台(LH-25)が6kgとなっている。小さいながらかなりの数値といえる。D850とAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRもしっかり載せられた。

脚部は直径10〜22mm。三脚素材はカーボン10層巻きになっており、堅牢性に優れている。

Leofoto製品全般にいえることだが、ゴムのパーツが少なく、金属を採用している点も評価が高い。金属パーツも鋳造ではなく金属削り出しを使用。造り・質感とも満足できるものだ。

三脚の付け根部分は緩みやすくなるため、一般的なステンレスワッシャーではなく、銅製のワッシャーが採用されている。その結果、可動部がとても滑らかに動く。

別付けのセンターポールがないときの全伸長は119cm(LH-25を含むと約127cm)だ。今回のレビューではセンターポールなしでも問題なく使えたが、つけると全高が約32cm伸びる。ただし構造上、載せる機材が重めだと多少ブレやすくなるので、基本は使わない方が良いだろう。

なおセンターポールが無いこともあって、ローポジションにはめっぽう強い。最低高は5.3cmとなっており、高さは3段階で調整可能だ。

雲台のLH-25はクイックリリースに対応しており、クイックシュークランプの部分はアルカタイプ互換を採用。プレートが付属している。

締め付けは大変強固で安定感が高い。LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.を装着したLUMIX G9もこの通りだ。

付属のプレートはコンパクトなため、D850など比較的重めのカメラに付けると、1点に力が掛かり過ぎることから緩みやすくなる。大型カメラを使う場合は、大きめのアルカタイプ互換のプレートを使用するか、Lブラケットを使用すると良いだろう。

さらに大きな機材を載せたい場合は、同じくLeofotoのクイックリリースプレート「NR-140」を併用する方法がある。ロングプレートとアルカスイスタイプ互換のクイックシュークランプを一緒にしたもので、カメラ+レンズのカウンターバランスが取りやすくなる。ありそうで無かった製品だ。

重心の取り方を動画に撮影しているので、ぜひ参考にしてもらいたい。

使用後のメンテナンスにも配慮されている。というのもLS-225をはじめとするLeofoto三脚は簡単に分解ができるからだ。

他ブランドの三脚も分解は可能だが、脚を内側で固定するパーツを付けるのが難しく、しかも紛失しやすい。Leofotoは固定パーツが脚と一体化しているため扱いやすく、紛失の危険性もない。水や砂が入り動きが悪くなった場合、自分でメンテナンスしやすいは高ポイントだ。

メインのノブは一時的に引き出して、締めるとき、または緩めるときに、自分の回しやすい角度にできる。この仕組みのおかげで、小さな雲台なのに手がシューなどに干渉しにくい。

その他、本体上部の雲台用ネジがユニークだ。雲台のネジ径としては1/4と3/8の2種類があり、雲台に合わせてネジ径を変換することがある。三脚には大抵そのためのアダプターが付属するのだが、LS-225Cのネジはそのままだと3/8だが、1/4の雲台を取り付けようとするとネジの外側が下に引っ込み、1/4になる仕組み。雲台を外した時、変換アダプターが雲台側に残るなどの不都合がなくて便利だ。

三脚を持って公共交通機関を利用

今回は列車、バス、飛行機と様々な公共交通機関を利用して撮影をしてきたので、移動時の印象も含めてレポートしよう。

神戸(夜景)

神戸までは旅客機で移動。旅客機の場合、基本的には収納高が60cmを超える三脚は持ち込めないが、LS-225+とLH-25なら全長40cmを切るので余裕だ。

なお保安検査を通るとき、三脚は基本的にバッグから取り出しておかなければならない。そこで、パソコンと一緒にトレーに出しておけば、素早く通過可能だ。機内では、バッグに入れたまま収納棚に入れておける。

LUMIX G9 PRO / LUMIX G VARIO 12-60mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S. / 20mm(40mm相当) / 絞り優先AE(F8.0・1秒・-0.3EV) / ISO 200
LUMIX G9 PRO / LUMIX G VARIO 12-60mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S. / 16mm(32mm相当) / 絞り優先AE(F8・3.2秒・±0.0EV) / ISO 200

千葉(望遠)

バスで小湊鐵道の撮影へ。路線バスやツアーバスでも、三脚をリュックに入れたまま、頭上の荷物収納入れに収納できるのはありがたい。

構図を決めたまま、30分に1本くらいしか来ない列車を待つには、三脚があると便利だ。もちろん、人の往来に注意する必要はあるし、畑や道路にはみ出さないようにしたいが、場所さえ確保できれば撮影が楽に行える。

自由雲台のクランプを少し緩めるだけで滑らかにパン(カメラを左右に動かせる)できたので、車輌を追うのも楽だった。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S. / 224mm(448mm相当) / 絞り優先AE(F5.2・1/1,000秒・+0.3EV) / ISO 640

横浜(タイムラプス)

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、LS-225C、LH-25をリュックに入れ、列車を乗り継ぎながら横浜に向かう。いままでD850を持ち歩く際はやや大きめの三脚がメインだったが、NR-140で重心をとることで、LS-225Cのような小さなシステムでも安心して使用できる。休日とあって車内は少し混雑していたが、三脚をリュックにしまい込めるため安心だった。

ここではタイムラプスムービーを撮影した。インターバルタイマーを使い、素材を撮影してソフトウエアを使って約50分の変化を表現してみた。比較的重いカメラボディとレンズだが、ブレることなくシャープに撮影できた。

まとめ

軽量コンパクトでありながら、細部までの拘りが感じられ、移動の多い方には是非オススメしたい1本。大きな三脚はたしかにメリットもあるが、移動が多い方はあえて軽量コンパクトな三脚を選び、重心をとって使っていただいた方が機動力も落ちずストレスなく撮影に集中できるはずだ。カメラの性能が上がっても、まだまだ三脚がなければできないことも多いので、ぜひ機動力を損なわないLS-225C+LH-25を持って撮影に出かけていただきたい。

制作協力:株式会社ワイドトレード

上田晃司

1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。