寺倉弓恵写真展「御蚕様と」

岐阜県郡上市で養蚕を続ける、80歳を超えた養蚕農家のご夫妻に出会いました。

近年は高齢化とともに後継者不足から廃業されていく方が多く、私の亡くなった祖父も養蚕農家でした。晩年は赤字続きで、廃業後は多くの道具を処分しました。しかし、今になって無くなっていくものを残したいという、義務感に似た願望が芽生え、撮り始めました。昔からある桑畑と蚕のいる風景は、昭和の匂いがしました。

ある日、郡上のおばあちゃんに電話をすると、おじいちゃんが入院して、「もう蚕はやらない」と言われました。今回の展示では、この姿を残すことの意味を考えて、ここに表現します。

（写真展情報より）