松井一泰写真展「幻の島」(新宿ニコンサロン)


作者は生業である牛乳配達の最中、気になる場所や時間帯に車を停めて暫く撮影したり、休日には車で各地を巡り、野宿で海の匂いや山の静けさを感じながら撮影している。

撮影していると、不意に写真だけが持っている特有の楽しく怪しい時空間ともいえる「ふっ」と今とは違う時間軸の様なものに入れる瞬間がある。

それは、まるで子供の頃の夏休みに異形の虫や爬虫類を捕獲するのに没頭した時間の様に。また、怖くてたまらない映画をゾクゾクワクワクしながら見てしまった様に。あるいは後の事は考えず、無茶ないたずらを企てて興奮した時の様に。

そんな幼い日々に感じた軽いトラウマや興奮の記憶を求めて繰り返し撮影し、徘徊し続けているのかもしれない。

そうした過程を経て現れてきた作品を並べてみると、まるで幻の孤島を徘徊していたかのような怪しい興奮に満ちあふれている。
(写真展情報より)

  • 名称:松井一泰写真展「幻の島」
  • 会場:新宿ニコンサロン
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28階
  • 開催日:2012年8月28日~2012年9月10日
  • 時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:武石修)

2012/8/10 00:00