渡邊遊可写真展「朝陽を知らない。」(ニコンサロンbis大阪)


私の見つめるという行為は、多分、終らない。
私の中の小さな虫は、まだ朝陽を知らない。

作者は幼い頃、自身の物体としての存在というものに対して、疑問を抱いていた。
本当に個体として存在するのだろうか。もしかしたら、この世界も、自分も存在しないのではないか。形を成さないくらい小さな存在の夢なのではないか。
そういうことを考えては、妙な浮遊感を感じていた。
その後も、成長の過程でこの存在に対する疑問は消えることなく問い掛けは続いた。学校では「みな平等」「無限の可能性」を押し付けられ、ではなぜこんなにも個体差があるのか、という問いには答えてもらえず、結果や相対的評価という無言の圧力でそれを示されてきた。いつしか疑問は自身と社会との関係に発展し、人間の生きるという生業に向いた。
カメラを手にしたとき、興味が湧く被写体はバラバラだった。何を撮っているのか、それはつい最近まで作者自身よく分かっていなかった。
十数年の中で撮影した写真の山。カメラを覗き、生まれた無意識を反芻した。それは「生きるとは何か」という問い掛けに対する作者自身の答えだった。それは正確かどうかは分からないが、手元に出たその一枚一枚を客観視したとき、頭の中に引っ掛かって出てこなかった言葉をそこに見つけられたような気持ちになったという。カラー約40点。
(写真展情報より引用)

  • 名称:渡邊遊可写真展「朝陽を知らない。」
  • 会場:ニコンサロンbis大阪
  • 住所:大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • 会期:2012年6月14日〜2012年6月20日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:鈴木誠)

2012/5/31 00:00