ニコンサロン連続企画展 Remembrance 3.11 新井卓「Here and There -明日の島」(銀座ニコンサロン)


岩手、宮城、福島は、ここ数年の間くり返し訪れ撮りつづけてきた、作者の愛する場所である。
昨年3月11日の震災以降、被災した沿岸部や福島第一原発の周辺でめまぐるしく変化する状況に圧倒されながら、そのとき見たいと思ったもの、遺しておきたいと願うものを、1枚ずつ手探りで、銀板写真(ダゲレオタイプ)に記録してきた。
写真は、写しとられた現実に劇的な効果を与える。津波に襲われた街区の言葉を失うほどの光景であっても、それは同様である。
写真という行為によってふたつの現実─写真の中の現実と、その映像に触れる人々の日常─を分断することなく、なにが可能なのか。
昨年4月、樹齢1,200年の三春滝桜を撮影するため福島を訪れた。津波の被害が甚大だった沿岸部とは違って、事故を起こした原発の周辺は奇妙な静寂に覆われ、山野は、まるで何事もなかったかのように浅い春を迎えていた。
作者は、これからこの場所で起こるであろう永く目に見えない変化を、自分という極小の存在を通して見つめてみたいと思っている。200年の時空を超える銀板写真が、きっとこの試みの役にたつことを信じて。ダゲレオタイプ10~20点。
(写真展情報より)

  • 名称:ニコンサロン連続企画展 Remembrance 3.11 新井卓「Here and There -明日の島」
  • 会場:銀座ニコンサロン
  • 住所:東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA(ストラータ ギンザ)1・2階
  • 開催日:2012年3月14日~2012年3月20日
  • 時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休




(本誌:武石修)

2012/2/29 17:08