Eye-Fi、Wireless LAN SD規格に「知財・特許侵害の恐れ」と主張


 アイファイジャパンは24日、「SDAのiSDIO標準化に関する発表について」と題するページを公開した。2012 International CESで発表された「Wirelss LAN SD」標準規格(iSDIO)について「標準化に必要な知財問題に関する手続きを得ていない」、「このままではEye-Fiの特許が侵害される」と主張した内容。

米Eye-FiのCEO、Yuval Koren氏

 ページのテキストは米Eye-FiのCEO、Yuval Koren氏の署名となっており、米Eye-Fiが現地時間19日にブログに掲載した英文をもとにしている。

 ページによると、SDアソシエーション(SDA)は規格の標準化に際して60日間の検討期間を設ける必要があり、その間に加盟企業はSDAの通知した規格に対し、自社の知的財産・特許権を主張したり、特許のライセンスを与えるなど意思表明を行なうことになっている。加盟企業の知的財産・特許権に抵触し、かつライセンス提供を行なわない場合、SDAは規格仕様の改訂しなければならない。

 しかしSDAはWireless LAN SD(iSDIO)について、60日間の検討期限が切れる前にドラフトを公開。検討期間はまだ終わっておらず、規格の採用に関する投票もこれから行なわれるとみられる。標準化の手続きを正式に経ていない以上、この標準規格は成立しないというのがEye-Fiの論拠だ。

 Eye-FiもSDAに加盟しており、検討期間を経ていないことについてEye-FiがSDAに確認すると、「知的財産権・特許レビューが完了すれば、技術の詳細の内容の変更はできず、ライセンス部分の変更のみになるため、過去にも知的財産権・特許レビュー期間中の発表を実施したことがある」との回答で押し切られたという。

 さらにEye-Fiにとって問題なのは、Wireless LAN SDには、Eye-Fiが保有する知財・特許が含まれていること。Eye-Fiはそれらの詳細をSDAに提出している。文中、Eye-Fiは「このままではEye-Fiの重要な特許技術は、この標準規格の技術を実装する全ての企業により侵害されることになってしまいます」と訴えている。

 上記について23日、別件で来日中だったYuval Koren氏が次のように補足してくれた。

 今回の声明は標準規格の策定が正しく行なわれていないことに対して意見したもので、具体的な製品について、今のところ何らかのアクションを起こすことは考えてないという。

 またEye-Fiとしては、規格の策定に拒絶の姿勢を示しているものの、フェアなプロセスを踏まえた上で、互いの経験値を共有するのは問題と思っていない。標準化を拒否しているわけではなく、できれば協力したいとの考えだ。「最も避けたいのは市場での混乱が起きること。すでにスタンダードが2つある(Type-WとType-D)が、我々ですら2つの違いがわからない。ユーザーにとってわかりやすい製品を出す必要がある」(Koren氏)。

 なお、SDA内で当該ワーキンググループの設立時、Eye-Fiに声はかからなかったという。さらにEye-Fiは、東芝が2010年に設立を発表した無線LAN内蔵フラッシュメモリカードの普及団体にも所属していない。そのときも団体からコンタクトはなかったという。

 Eye-Fiは以前よりカメラメーカーや写真関連サイトと連携を進めており、デジタルカメラにおける対応機種も多くなった。Koren氏はEye-Fiの将来について、「モバイル端末、タブレット端末など、見る場所を選ばずどこからでもアクセスでき、シームレスに写真を見るためのソリューション。そこにフォーカスさせて行きたい」と述べている。

 2月にはWireless LAN SDを採用した東芝のSDXCメモリーカード「FlashAir」が発売される見込み。



(本誌:折本幸治)

2012/1/24 17:41