白神政史写真展「光海」(銀座ニコンサロン)


数ある写真表現のうち、長秒露光によって時間を凝縮させる行為ほど作者の心を捉えるものはない。
静止しているものはただ静かに存在し、動体はその形態を激しく変容させる。
鉄の塊は溶けた蝋の如くやわらかく歪み、掴めない光は一瞬の存在を証明するかの如くに、その軌跡を克明に記録する。
露光間に人為的ブレを印可する行為によって静止体は相対的に動体と化し、更に次元拘束型のブレを動体に対し印可すると、人間の知覚を超越した複合変容体となって具現化する。
時には太古の針葉樹の如くに鬱蒼と生い茂り、羊水に浮かぶ胎児の鼓動を海馬のシナプスと重ね合わせ、光海をさまよう流星の如くに深海を漂う水母となる。
とめどもなく紡ぎ出される巨視と微視との交合は、観るものに生命の営みや存在意義を静かに問い掛けてくる。モノクロ22点。
(写真展情報より)

  • 名称:白神政史写真展「光海」
  • 会場:銀座ニコンサロン
  • 住所:東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA(ストラータ ギンザ)1階・2階「ニコンプラザ銀座内」
  • 会期:2011年11月9日~2011年11月22日
  • 時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:鈴木誠)

2011/10/26 00:00