ニコン、タイ生産工場が洪水被害で操業停止中


 ニコンは11日、7月以降の豪雨による洪水により、デジタル一眼レフカメラおよび交換レンズなどの生産を行なう連結子会社のNikon(Thailand)Co.,Ltd.(ニコンタイランド社)が浸水被害を受けていると発表した。10月6日から操業を停止しており、復旧の時期は未定という。

 なお、レンズ交換式デジタルカメラの新製品「Nikon 1 V1」と「Nikon 1 J1」は中国の工場で生産しているため予定通り20日から順次発売する。これに対応したレンズ「1 Nikkor」も中国で生産している。

ニコンタイランド社(いずれも被災前)

 ニコンタイランド社は、タイ中部アユタヤ県のロジャナ工業団地に所在。デジタル一眼レフカメラでは「D300S」、「D7000」、「D5100」、「D3100」を生産しており、台数ベースではニコン全体の約92%を占める。交換レンズも約66%を手がける主力工場。

 すべての建物で1階部分が浸水被害を受け、被害の詳細については情報収集中としている。「(13日現在も)退避命令が出ており、工場内部を見ることができない」(ニコン)。工場の水位は12日夜の段階で約2mだという。

 13日までに、従業員の人的被害は報告されていない。

 ニコンは、12日付けで木村眞琴社長を本部長とした緊急対策本部を設置。情報収集や対応策の検討を行なっているとした。代替生産も可能性の1つとしさまざまな対策を検討しているが、13日現在で具体的な施策を発表できる段階ではないという。

 市場への影響に対しては、「生産停止の期間によるのでコメントは控える」(ニコン、13日)とした。D300S、D7000、D5100、D3100の生産拠点はタイ工場のみ。在庫については、ニコンが持つ在庫と市中在庫だけとなっている。「市中在庫の量はそれぞれの販売店などによって異なる」(ニコン、13日)ためとし、在庫が払拭するまでの期間は明らかにしていない。

 当該工場では、基本的に完成品在庫の保管は行なっていないという。ただ、出荷前の在庫がどれだけあったのかについては調査中だとしている。

 工業団地の排水については、ロジャナ工業団地当局および団地内の他社、独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)らと協力し、タイ政府に要請を行なっているという。ただ、13日現在も排水や復旧の見通しは立っていない。JETROによれば、ロジャナ工業団地に入居する全218社のうち日系企業は147社。

 ニコンでは、上位機種の「D3X」、「D3S」、「D700」を仙台ニコン(宮城県名取市)で生産している。仙台ニコンは東日本大震災で被災し操業を停止していたが、3月中に復旧している。

【2011年10月13日】タイ工場の詳細と工場の外観画像を追加しました。



(本誌:鈴木誠)

2011/10/11 15:30