オリンパス、「OLYMPUS PEN E-P3」の新製品発表会を開催


 オリンパスは30日、7月22日に発売する「OLYMPUS PEN E-P3」などマイクロフォーサーズカメラの新製品発表会を都内で実施した。会場にはタッチ&トライコーナーも設けられていたため、新製品のフォトレポートも追って掲載する。

E-P3(中央)、E-PL3(右)、E-PM1(左)M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2を装着したE-P3

医療機器のようなトップブランドに

 オリンパスイメージング代表取締役社長の高山修一氏が登壇。4月に同社代表取締役となって初の発表会という高山氏は、まず自身の経歴を紹介した。

オリンパスイメージング代表取締役社長の高山修一氏就任までの経歴などを紹介した

 入社当時は内視鏡の写真撮影システムを開発していた高山氏。手術装置など、医療関係機器の開発が長かったという。カメラレンズの小型化開発や、3年ほど人事部長として制度改革も行なってきた。近年は医療ロボットや再生医療の技術開発に携わっていたという。

 写真部に所属していたという学生時代は、オリンパス光学工業のハーフ判一眼レフカメラ「ペンFT」を使用。入社当時は世界最小最軽量を謳っていた35mm一眼レフカメラ「OM-1」を山登りなどに持参していたという。高山氏は「(カメラ事業は)まったくの素人だが、カメラの愛好家でもある」と自身を紹介した。

学生時代に使用していたという「オリンパス・ペンFT」を手にする高山氏

 OM-1の頃から“世界No.1”を目指すオリンパスの社風はデジタルカメラにも継承されているといい、超音波式ダストリダクションシステムやライブビュー機能の開発にもつながる。併せて手ブレ補正機構の高度化、AFの高速化といった基本性能の充実も図ってきた。ノイズ低減、ダイナミックレンジ拡大、「アートフィルター」の導入など、先端デジタル技術の融合にも力を入れてきたと高山氏は語る。

 また、フォーサーズレンズの画質の高さには定評があるとし、デジタル一眼レフカメラ「E-1」の登場時にも、画像処理技術の進歩を見据えてレンズ開発を行なっていたと強調。「伝統の光学技術と最先端のデジタル技術の融合」で高い評価を得てきたとアピールした。

オリンパス一眼事業の変遷。青い製品名が「No.1」を持つカメラOpto-Digital Technologyをコアコンピタンスとする

 高山氏は、同社が医療機器において世界的なシェアを獲得していることに触れ、映像事業においても商品価値を最大化し、トップブランドに育てていきたいと話した。

 ここで、会場では新製品のアンベールを実施。PENブランドのフラッグシップ機「E-P3」を含む3台を披露した。

新製品を披露した

E-P3は「ほかと一線を画す味わいのあるデザイン」

 続いてオリンパスイメージング取締役マーケティング本部長の小川治男氏が登壇。新製品の紹介を行なった。

オリンパスイメージング取締役マーケティング本部長の小川治男氏

 2009年7月発売の「E-P1」や“女子カメラブーム”を巻き起こしたという「E-PL1」などが属する「ミラーレスカメラ」の分野は、競合他社からも製品が登場する大混戦の成長市場という。

同社マイクロフォーサーズカメラの歩みデジタル一眼レフ市場におけるマイクロ一眼比率の伸び

 そこへ投入するE-P3は「PENの最高峰」とし、力の限りに開発した最高の作品と自信を見せる。小川氏は「時を超えても飽きが来ず、ほかとは一線を画す味わいのあるデザイン」だと語った。

「PEN第3世代プロジェクト」をE-PL1導入後に発足したという初代のデザインを継承
E-P3が特徴とするAF速度の比較新開発のLive MOSセンサーを採用
タッチパネル式の有機ELモニターを搭載した交換式グリップを採用

 新たに投入する交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2」との組み合わせは「PEN史上最高画質」といい、「デジタル一眼で最上位の画質を提供できる」と断言した。また、「今後はより個性的な特徴を持つレンズを開発していきたい」とし、子どもを撮る母親に向くレンズという「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」も発表した。

「ハイグレードスナップレンズ」を謳うM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の特徴

 発表会では7月22日の発売が決定したE-P3に合わせ、開発中の2機種も紹介した。「生まれ変わるPEN Lite」という「E-PL3」は、これまでエントリー向けとしていたPEN Liteシリーズの名を冠しつつ、よりアクティブに写真を楽しむ層に向けた製品という。チルト式の液晶モニターや5.5枚/秒の連写速度を特徴とする。

 新ラインナップの「PEN mini E-PM1」は、「アート画質を超軽量ボディに」がコンセプト。背景のぼけ、明るさ、濃淡、色合いを簡単に操作できるというライブガイドを搭載し、3D撮影にも対応。6色のカラーバリエーションも特徴という。

E-PL3のモックアップE-PM1のモックアップ
E-PL3、E-PM1にもE-P3の特徴的な機能を継承する専用の防水プロテクターを用意

 小川氏は、「ペンは開拓者として、上質な持ち物、操作性、表現力といった初代からのコンセプトを継承した。単なる女子カメラブームだけでなく、様々な方に楽しんでいただけると確信している」と語った。

アジア以外のシェア拡大も狙う

 質疑応答でオリンパスイメージング取締役営業本部長の五味俊明氏は、ミラーレスカメラは香港・台湾・韓国で最も成功しているとし、それらの地域ではカメラ全体の3割がペンシリーズだという。ヨーロッパにおいてもイギリスでは20%近いシェアを獲得しており、アジアで成功した手法を使って、同様にシェア拡大を目指していきたいとした。

 また、E-PL3およびE-PM1で内蔵ストロボを省いたことについては、「E-P1の頃から物議をかもして申し訳なく思っている。E-PL2からの小型化にあたり、使用頻度が低いと思われるストロボを着脱式とした。意見をもらって今後の開発に活かしていきたい」(小川氏)と回答した。

 今回発表の3機種のシェア予測については「これまでのペンシリーズにおいてペンライトシリーズがエントリー層を多く獲得している点から、E-PL3およびE-PM1が多くのユーザーに使ってもらえるのでは」(小川氏)とした。その一方で「カメラファンには味わいのあるカメラとしてE-P2が人気なので、E-PL3とE-PM1がある程度ボリュームを取り、E-P3はフラッグシップ的にご愛顧頂けるのでは」(小川氏)と予測を述べた。

E-P1ユーザーの宮崎あおいさんも高速AFに注目

 E-P3のテレビCMにも、引き続き宮崎あおいさんを起用。下北沢の本多劇場に出演中のため発表会への出演は叶わず、ビデオメッセージで出演した。なお、会場におけるビデオメッセージおよびテレビCMの写真撮影は禁止されていた。

 宮崎さんはビデオメッセージの中で、まずE-P3を触った印象として「ピントが合うのがすごく速い。今までのと比べてもすぐわかるぐらい『ぱっ』て合う」。「E-P1をずっと使っているが、形は似ていて、中身だけ今までより良くなっている撮りたい写真が今まで以上に撮れて、これを使うとまた写真が上手になったような気がする」と述べた。

 また、CM撮影のエピソードも紹介。撮影は上海の映画村にある古い町並みを再現したセットで実施。「少し寒かったけど、かっこいいCMになった。美味しい食べ物も食べて、楽しい撮影だった」とエピソードを話し、「みなさんももっと、写真を、カメラを、好きになってください」と締めくくった。

 同CMでは、ハンドストラップを付けたシルバーのE-P3を手にする宮崎さんが登場する。テーマは「変わらないこと。変わること。」。CMはWebサイトで公開している。

テレビCMやカタログには引き続き宮崎あおいさんを起用

※高山修一氏の「高」と宮崎あおいさんの「崎」は本来は異なる漢字で表記しますが、閲覧環境により表示できないため、それぞれ代用文字を使用しています。

(本誌:鈴木誠)

2011/6/30 19:42