NEC、動画記録時の雑音抑制技術がカシオ「EX-ZR10」に採用


 NECは16日、デジタルカメラの動画撮影時に生じる雑音を抑圧する同社の技術が、カシオのコンパクトデジタルカメラ「HIGH SPEED EXILIM EX-ZR10」のシステムLSIの組み込みソフトウェアとして採用されたと発表した。

同技術を採用するカシオHIGH SPEED EXILIM EX-ZR10(2010年11月発売)

 動画記録時にマイクが拾う光学ズームのモーター駆動音をマイク信号から減算し、雑音を抑圧する技術。音声や環境音を残したまま雑音だけを抑制することで、高速にモーターを動作させてビデオカメラ並みに使い勝手のよい動画撮影も実現できるとしている。

 同技術の仕組みは、レンズ駆動で生じる雑音の特徴をあらかじめカメラ内に保持し、実際の雑音に合わせて修正を加えるというもの。演算量を最適化し、動画を撮影しながらリアルタイムの処理を実現したという。演算量は製品が搭載するプロセッサが利用できる範囲に抑えた。

 今回開発した技術では、2009年11月発表の従来技術で実現した雑音抑制に加え、新たに集音マイクの個体差にも対応。入力信号の分析で決定した雑音基準値をカメラ内の抑圧用雑音情報と比較し、個体差を自動補正する。これにより製品の個別調整を行なうことなく、ズーム雑音の消し残りや消しすぎを最小化するという。

 従来のデジタルカメラにおいては、高価な静音モーターの採用、モーター駆動速度の制限、モーター駆動音が目立つ周波数成分を通さないフィルターの適用などを行なってきたが、動きの激しいスポーツシーンなどの撮影時にズーム動作が遅れ、使い勝手の低下や、録音した音が不自然に聞こえるなどの課題があった。



(本誌:鈴木誠)

2011/2/16 12:46