銀座ニコンサロン、吉野正起写真展「道路」


 銀座ニコンサロンは、吉野正起写真展「道路」を9月15日から開催する。

(c)吉野正起
 道路はすごい。話はそこにつきる。たとえば津軽の北端の、吹雪も怒濤も真横にすっとんでくる水際に、岩山をぶちぬいた素掘りの隧道が今ものこっている。昔の人の、文字どおり岩をもうがつ根性の産物だ。あるいは、お茶の緑もうるわしい清水の山の天空に、空中ブランコみたいな高架道路が全容をみせはじめている。もう未来世界の曲芸だ。 とにかく昔のでも今のでも、作者はいちいち胸がふるえる。そしてその感動には、恐怖もまじっている。特殊な道路にかぎらない。孤独な山里につづく一本道だって、除雪作業でへしゃげたガードレールだって、意味はおなじだ。

 道路は、無益で無害な机上のお絵かきではない。道路は、ただの強烈な意志だ。ぐちゃぐちゃの敗戦国だった日本の、やけつくような願望を実現したのが、今の日本の道路だ。高温多湿の山岳国で、しかも冬には豪雪地帯で道路の敷設と維持というのは、おそろしいような大事業だ。カラー約50点。(写真展情報より)
  • 名称:道路
  • 会場:銀座ニコンサロン
  • 住所:東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1・2階
  • 期間:2010年9月15日~2010年9月28日
  • 時間:10時~19時(最終日は16時)
  • 休館日:会期中無休

(デジカメWatch編集部)

2010/8/31 00:00