リコー、写真展「GR DIGITAL III × STUSSY」参加者3名に聞く


 リコーは14日、東京・銀座のフォトギャラリー「RING CUBE」(リングキューブ)において、写真展「GR DIGITAL III × STUSSY」を開催した。

 リコーが2月に500台限定で発売した限定モデルのコンパクトデジタルカメラ「GR DIGITAL III × STUSSY」に関連して開催する写真展。ファッションブランド「STUSSY」と交友のある10人の写真家による作品約50点を展示する。写真展の概要は下記の通り。

  • 名称:ARTIST PROJECT写真展「GR DIGITAL III×STUSSY」
  • 期間:2010年4月14日~2010年4月25日
  • 時間:11時~20時(最終日17時まで)
  • 場所:RING CUBEギャラリーゾーン
  • 住所:東京都中央区銀座5-7-2 三愛ドリームセンター8・9階
  • 休刊日:火曜日
  • 入場料:無料

 参加写真家は、アンジェラ・ボートライト、ケネス・カペッロ、レジー・カサグランデ、ジョシュ・チューズ、アティバ・ジェファーソン、タイロン・ルボン、アリ・マルコポロス、ユアン・プエンテ、ピーター・サザーランド、リップ・ジンガー(アルファベット順、敬称略)。

 今回は出展写真家のうち、ケネス・カペッロ氏、ジョシュ・チューズ氏、リップ・ジンガー氏の来日記者会見を行なった。それぞれの作家の写真観やGR DIGITALの使用感などについてプレゼンする趣旨。

展示の様子GR DIGITAL III × STUSSYも展示する。発売後ひと月たらずで完売したという

大事なのは「写真家が何をどう見ているか」

ケネス・カペッロ氏

 ケネス・カペッロ氏の作品のほとんどは、ロサンゼルスの自宅やその周辺で撮ったものだという。友人をはじめ、ペットや栽培している植物が主な被写体となっている。

 カペッロ氏の撮影スタイルは、フィルムカメラに近い感覚で使うというもの。背面モニターを点灯しない設定とし、撮影した画像はPCに転送するまでは見ない。モニターを点灯させていると、モニターが気になってしまって次のショットに集中できないからという理由のほかに、PCで初めて画像を見たときに、フィルムと同じように、ある種の驚きをもって見ることができるからだという。

 またカペッロ氏は「写真とは、正確な露出や技術的なことにこだわるものではない」との持論も披露。今回の展示作品を撮影する際にも、露出など細かいことには注意を払わずに臨んだという。

「よく若い写真家から、『どんなカメラやレンズを使っているの?』という質問を受けることがありますが、まったくばかげた質問だと思います。重要なのは道具ではなく、『写真家の眼』だと思う。確かに私も必要に応じて色んなレンズを使うし、たぶん私も若かったらそういう質問をするかもしれないのだけど、やはり重要なのは『写真家が何をどう見ているか』だと思っています」

 GR DIGITAL IIIについては、「ほかのデジタルカメラと比べてとても小さいところと、旅行や街歩きのときに、いつでもポケットから取り出せるので使いやすいところが気に入っています。実は落としたり、ドリンクをこぼしたりしたこともあるのだけど、問題なく動くので助かっています」とコメントした。

被写体に対して情熱を持つこと

ジョシュ・チューズ氏

 ジョシュ・チューズ氏の作品は、ロックバンドのメンバーの姿や、風景を写したもの。ロバート・フランク氏や森山大道氏をヒーローと仰ぐチューズ氏の作品らしく、展示作品はすべてモノクロで撮影されている。

 GR DIGITAL IIIに関しては、「デジタルフォトを始めるにあたっては、最高のカメラだと思う」と評価。カメラ自体がコンパクトな点をふまえ、「自由さと柔軟さを与えてくれる」という。

「よく、いい写真を撮るにはどうしたらいいかを聞かれるが、大事なのは、撮るものに情熱を持つことだと思う。また、何を撮るかも非常に重要。たとえば私は音楽に情熱を持っていて、被写体に対峙したときは、純粋で、意味のあることをとらえたいと思っている。GR DIGITALはあまり技術的なことに煩わされないし、自分が情熱を持ってる被写体を撮ることに集中できるカメラだと思っている」

GRのシンプルな操作性に惹かれた

リップ・ジンガー氏

 リップ・ジンガー氏は、フィルム時代から「GR」のユーザーだという。当時使っていたカメラは「GR1s」で、操作性のよさに惹かれたと話した。

「当時のGRの優れていたところは、露出補正スイッチがある、絞りを変えられる、ストロボのON/OFFをマニュアルで操作できる『だけ』、というところ。たとえば当時の他のカメラだと、ストロボを出したくないときに、あるボタンを3回押した後、また他のボタンを2回押さなければそういう設定にできなかったんです。それだけに、機能的なコントロールのデザインがすごくシンプルに仕上がっている点が気に入りました」

 GRを手に入れたことによって、撮影現場に着いてからカメラを取り出す撮影スタイルから、家のドアを開けてすぐに被写体が眼前に広がるという世界に変わったのだという。

「GR DIGITALはIIからサポートしていただいています。リコーの方とお話しているときに一度改善リストを提出したのですが、IIIではそこに挙げた点がすべて改善されていたので驚きました。その中のひとつにISO感度に関するものがあって、ISO400以上に上げたときにはどうしても粒子が荒れてきてしまって、作品として写真を撮るときには使いづらかったのですが、そういうところが改善されていました」

 ジンガー氏の撮影スタイルは、スケートボードで街を流しながら作品を撮るというもの。自動車や自転車では両手がふさがってしまうが、スケートボードならば両手が使えることで自分の好きなように撮影できるのだそう。

「デジタル一眼レフカメラくらいの大きさになると、どうしてもハンドリングに制約が出てくる。特に僕の撮影スタイルだと、GR DIGITALくらいの大きさが丁度いいんです」

リップ・ジンガー氏のGR1s


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2010/4/15 12:57