キヤノン、RAW記録に対応した薄型モデル「PowerShot S90」

~広角端でF2のレンズを採用

 キヤノンは、広角端で開放F2のレンズを搭載したコンパクトデジタルカメラ「PowerShot S90」を10月中旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は5万円前後の見込み。

PowerShot S90PowerShot S90

 広角端が開放F2のズームレンズや、レンズ部にコントローラーリングを搭載するなど撮影へのこだわりを追求したというPowerShotシリーズのニューライン。

 撮像素子は、同時発表の「PowerShot G11」と同じ1/1.7型有効1,000万画素CCD。画素数を1,000万に抑えることで、画素当たりの面積を従来より大きく確保し、ノイズの低減を図った。新たに2009年上半期モデルからノイズリダクションのアルゴリズムを向上させた映像処理エンジン「DIGIC4」を搭載した。新撮像素子と新DIGIC4によるノイズ低減機能を「すっきりクリアフォト」の名称で訴求する。

 すっきりクリアフォトでは、PowerShot G10と比べて、感度が同じであればノイズレベルが1/4になるほか、同じノイズレベルで2段高い感度での撮影が可能としている。さらに、すっきりクリアフォトではダイナミックレンジが拡大し、従来より白トビや黒ツブレが軽減できる。ダイナミックレンジは、PowerShot G10の4倍という。感度はISO80~3200。ローライトモードでは250万画素相当で最大ISO12800まで増感できる。動画は最大640×480ピクセル、30fpsのMOV(H.264)形式。

 CR2形式のRAWデータ記録も可能。RAWデータは、同梱ソフト「Digital Photo Professional」(DPP)による現像が可能。DPPでピクチャースタイルの適用もできる。

 レンズには、薄型化を実現するために両面非球面UAレンズや高屈折率高分散材を使用した。レンズ構成は6群7枚。35mm判換算の焦点距離は28~105mm、F2~4.9の3.8倍ズーム。沈胴時の各レンズ群の最適配置に加えて、鏡胴にIXY DIGITALシリーズと同じズームタイプを採用し、コンパクト化を図った。シャッター速度換算約4段分の光学式手ブレ補正機構(IS)も搭載する。最短撮影距離は50cm。マクロ時は5cmまでの接写が可能。

内蔵ストロボは設定のON/OFFによって、またオートの場合は必要に応じて自動的にポップアップ/ダウンする同梱品

 自動シーン認識機能「こだわりオート」には、新たに人物が動いている場合の認識に関わる4シーンを追加した。これにより、合計22シーンからカメラが最適なシーンを選択するようになる。また、こだわりオート中にシャッターボタンを半押した後でも、AFおよびAEを追従し続ける「サーボAF/AE」も追加した。同機能は被写体が人物の場合のみ有効。従来、シャッターボタンを半押し後は、AFとAEが固定してしまうため、被写体が動いた場合ピントや露出が合わないことがあった。なお、目つむり検出(レックレビュー)も新搭載した。目をつむった顔を検出した場合、アイコンを表示して知らせる。

 「暗部補正」機能には「ダイナミックレンジ拡張」機能を追加。より階調のある表現が可能としている。また、撮影設定を切り替えるたびに機能ガイダンスを表示する機能も備えた。

 外観は天面にレザートーン、ボディにはマット調の仕上げを施し高級感を出している。新搭載のコントローラーリングは、レンズ根元のリングを撮影中に回すことで様々なパラメーターを変えることができる操作系。対応するパラメーターはノスタルジックモード、ISO感度、撮影モード切替、焦点距離切替え、ホワイトバランス補正、セルフタイマー、マニュアルフォーカス、ダイレクトジャンプ。いずれか1つを割り当てて使用できる。また、背面にはコントローラーホイールも設けた。

新搭載のコントロールリングを操作しているところ背面の十字キー部分にはコントロールホイールも備えた

 ノスタルジックモードは、彩度を段階的に落としつつフィルム写真特有の粒状感とぼかしを強めることで、時を経てきたかのような写真を撮影できる新機能。コントロールダイヤルを回しながら、彩度と粒状感の具合をリアルタイムで確認しながら撮影できる。

 焦点距離切り替えも新機能。レンズの焦点距離を28mm相当、35mm相当、50mm相当、85mm相当、105mm相当に素早く切り替えできる。あたかも、単焦点レンズを交換するように撮影を楽しめるとしている。

 また、コントローラーリングとコントローラーホイールにより、ホワイトバランスを2軸マトリックス上で調整することも可能。再生時には、コントローラーリングで、撮影した日付ごとに画像を送ることができる。

 液晶モニターは約46万1,000ドットの3型クリアライブ液晶II。記録メディアはSDHC/SDメモリーカード、MMC、MMCplus、HC MMCplus。HDMI端子を備える。電源はリチウムイオン充電池「NB-6L」。CIPA準拠の撮影可能枚数は約220枚。

 本体サイズは100×30.9×58.4mm(幅×奥行き×高さ)、本体のみの重量は約175g。

 専用ケース「PSC-2500」も同日発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は4,800円前後の見込み。また、会員制サイト「キヤノンイメージゲートウェイ」限定のケースも用意する。ラインナップは「PSC-2600A」と「PSC-2600B」で、価格はいずれも5,000円。限定数は各1,000個。

PSC-2500防水ハウジング「WP-DC35」も用意する。価格は2万6,250円。

(本誌:武石修)

2009/8/20 13:00