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ライカ、液晶モニターをなくしたデジカメ「ライカM-D」

限定モデルからレギュラー製品に

ライカカメラジャパンは、デジタルレンジファインダーカメラ「ライカM-D」(Typ 262)を5月に発売する。価格は税込87万4,800円。カラーはブラックペイントのみ。

ライカM(Typ 240)を基礎とするデジタルの現行M型ライカにおいて、「液晶モニターを取り除く」というフィルムカメラ的なキャラクターを与えられたモデル。デジタルカメラながら設定や撮影画面を確認するための液晶モニターをなくし、背面にはISO感度の設定ダイヤルだけが目立つ。

同様の先行製品には、2014年にM型ライカ60周年を記念して600台限定で発売した「ライカM Edition 60」がある。発表時の独ライカカメラ社キーマンインタビューでは、「1枚撮るたびに背面モニターを見るデジタルカメラの所作がスマートではない」、「カメラマンであれば誰でも扱える機械式ライカの簡単さを目指した」と、そのコンセプトを語っていた。

型番のTyp 262は、ライカM(Typ 240)からライブビューと動画記録機能を省略したシンプルモデルの「ライカM」(Typ 262)と共通。大まかに言えば、新しいライカM-D(Typ 262)は、そこから更に液晶モニターが取り除かれている。

ライカM-Dには液晶モニターがないが、カメラ上面の右手側にファンクションボタンを装備。それを押すことでファインダー内にバッテリーとSDカードの残量パーセンテージが表示される。 カメラ本体でSDカードのフォーマットはできない。

撮像素子は有効約2,400万画素の35mm判フルサイズCMOSセンサーで、既存のライカMと同様。撮影画像はSDカードに記録されるデータを展開するまで確認できない。

撮影データの記録形式は、DNG形式のロスレス圧縮RAW。ホワイトバランスはオートで固定。感度の設定範囲はISO200~ISO6400(1/3ステップ、ISOオートなし)。

ファインダー倍率は0.68倍で既存のM型デジタルと同じ。28~135mmの6つの画角を示すブライトフレームが備わっていて、LED式採光式なのも既存のライカMと同じ。

外形寸法は約138.6×80×42mm。重量はバッテリー込みで約680g。本革製のキャリングストラップが付属する。

5月9日追記:ライカM-Dの重量について、記事初出時にはプレスリリースなどに記載されていた約720gとテクニカルデータに記載の約680gを併記していましたが、ライカカメラジャパンの確認により約680gが正しいと判明したため、該当部分を改めました。

ライカM Edition 60(ライカM60)との違い

通常のライカM(Typ 240)は背面サムダイヤル(もしくは前面のフォーカスボタンと併用)でAE撮影時に露出補正できたが、ライカM60の背面にはサムダイヤルがなかったため、露出補正ができなかった。

ライカM-Dでは、カメラ上面右手側のファンクションボタン(Typ 240で動画ボタンのある位置)を押しながら背面サムダイヤルを回すことで露出補正が可能になった。

また、カメラ本体の時計設定もライカM60ではファインダー内表示を見ながら1つのボタンで長押しと短押しを繰り返す必要があったが、ライカM-Dではサムダイヤルの併用で迅速な数値設定が可能になった。

本体の外形寸法はどちらも同じ。重量はライカM60が約720g、ライカM(Typ 240)が約686g、ライカM(Typ 262)が約600g(いずれもバッテリー込み)。

ボディ素材はライカM60の特別なステンレススチール外装から通常のライカMと同じになり、省略されていたストラップ取り付け用のアイレットも備わっている。

ライカM-D(Typ 262)の側面

ほかのライカMとの違い

外観上の特徴として、近年のデジタルライカではモデルにより省略されがちなフレームプレビューレバー(ファインダー内で任意のブライトフレームをプレビューできる操作部)がライカM-Dには備わっている。

また、トップカバーにライカクラシックロゴがあるのも注目点。フレームプレビューレバーと同様、フィルムライカをイメージして残されたと考えられる。

ライカM-D(Typ 262)の上面

同じTyp 262のライカMではトップカバーがアルミのブラックアルマイトで、全体的にブラッククロームに近い風合いだったが、ライカM-Dは定番的な真鍮トップカバー+ブラックペイントになっている。

ライカM-Dのバッファメモリーは1GBで、ライカMのTyp 240やTyp 262と同じ。ライカM-Pなどはプロ仕様として2GBに増量している。連続撮影速度は単写で2コマ/秒、連写で3コマ/秒で、Typ 262のライカMと同様。

モデル名「M-D」の由来は明言されていないが、かつてプロ向けに少数生産されたと言われるライカMP(1956年。現行の同名機種とは異なる)をイメージさせる「ライカM-P」のように、特殊な撮影用途に向けて販売されたライカMDシリーズ(1964年~)のファインダー非搭載という特徴を、ライカM-Dの液晶モニター非搭載というイメージに重ねたとも考えられる。

(本誌:鈴木誠)