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ソニー「α7R II」国内正式発表 ファーストインプレッション

高解像力モデル“R”が大幅に進化。「最強のα7」へ

すでに海外で発表になっているソニー「α7R II」(ILCE-7RM2)が6月26日、日本でも正式発表された。呼び方は「アルファ セブン アール マークツー」だ。α7 IIに続き、α7シリーズの高解像力モデルである“R”も2世代目に突入した。

筆者は短時間ではあるが、国内発表の前に実機を手にすることができた。ただし実写はできない状態だったので、外観や操作感、進化した点をお伝えしよう。

α7R II(ILCE-7RM2)
発売日:8月7日
希望小売価格:オープン
店頭予想価格:44万円前後(税別)
※バッテリー2個同梱

α7 IIを踏襲する外観。しっかりしたグリップがうれしい

外観から見ていこう。正面には2世代目を示す「II」の文字がないため、従来のα7Rと並べると、一瞬どちらが新型か見分けられないほど似ている。しかしグリップはα7 IIと同様の形状になり、握り心地や操作性を改良していることがうかがえる。

左が従来のα7R。右がα7R II。
グリップはα 7IIと同様の形状になった。

α7シリーズはご存知の通り、フルサイズ機としては小型だ。しかしα7R IIを手にすると、小型ながらずっしりした重さが感じられる。本体には軽量で堅牢なマグネシウム合金を採用しているが、α7Rと比べると150g以上重くなった。その主な理由はボディ内手ブレ補正機構を搭載したからとのこと。ちなみに、α7 IIに比べると30g弱重い。

とはいえ決して重すぎるのではなく、中身が詰まっている印象。かえって高級感が増したように感じた。このクラスの高級機は、軽すぎるより適度な重さがあった方が好ましい。ガッチリしたボディは頼もしさがあり、手にする満足感が味わえる。さらに望遠レンズや大口径レンズなど、重量級のレンズとのバランスにも優れているからだ。

α7Rから形状が変更されたグリップも握りやすく、安定したホールディングが可能だ。グリップ側に移ったシャッターボタンは押しやすく、前ダイヤルも回しやすい。これだけでも、α7Rとは別物であることが感じられた。

フルサイズ初の裏面照射型CMOSセンサー。5軸手ブレ補正も搭載

注目はなんといっても撮像素子だ。α7Rでも35mmフルサイズで有効3,640万画素を実現したのは驚きだったが、α7R IIは同じく35mmフルサイズにして、有効画素数はさらに多い4,240万。しかも35mmフルサイズでは、世界で初めて裏面照射型CMOSセンサーを採用している。

35mmフルサイズ初の裏面照射型CMOSセンサーを採用。有効画素数は4,240万。
左が一般的な撮像素子の断面。フォトダイオードよりも配線が上に設置されている。一方、右の裏面照射型では、フォトダイオードが上、配線が下という構成。フォトダイオードがマイクロレンズに近いことから集光効率が良く、高感度に強いとされる。

画素数が多くなると画素ピッチが狭くなり、高感度に弱い印象がある。ところがα7R IIは最高ISO102400(拡張)を実現。従来比約3.5倍の高速読み出しもでき、画素数を感じさせないレスポンスを可能にしている。しかも光学ローパスフィルターレス仕様。高解像力を突き詰めている造りだ。

画素数が増えて解像力も高まると、わずかなブレも目立ってくる。α7R IIは、α7 IIと同様にボディ内5軸手ブレ補正を搭載している。その効果は約4.5段分。α7 IIも約4.5段分だ。数字だけ見ると同じと思うかもしれない。しかしα7R IIは光学ローパスフィルターレスの4,240万画素。その高解像力で約4.5段分の手ブレ補正効果があるのだ。そしてボディ内タイプの手ブレ補正機構だから、装着したほとんどのレンズで手ブレ補正効果が得られる。おかげで高い機動力と高解像力を活かした、これまでにない表現の可能性が広がった。

ボディ内タイプの5軸手ブレ補正機構を搭載。補正効果は4.5段分だ。

さらにシャッターも新規設計の低振動高耐久シャッター。電子先幕と新開発のブレーキングシステムによりシャッターショックを抑え、レリーズ時の振動によるブレも防いでいる。たしかにα7R IIのシャッターを切ると、振動が少なく、音も静かだ。サイレント撮影機能も備えているので、音が気になる場所でも高解像力を活かした撮影が楽しめる。

新規設計のシャッターユニット。電子先幕も利用できる。

α7R IIはAFも大きく進化した。α7RはコントラストAFのみで、像面位相差AFを持つα7やα7 IIと比べると、AF速度は不利だった。ところがα7R IIにも像面位相差AFとコントラストAFを合わせた「ファストハイブリッドAF」が搭載された。AF速度は、α7Rと比べて約40%も高速化。実際手にしても、全くストレスなくスピーディーに合焦する。

また像面位相差AFの測距点は、世界最多となる399点。そして25点のコントラストAFを備える。しかも測距点は画面中心部だけではなく、広いエリアをカバー。動体予測アルゴリズムも進化したとのことで、AF・AE追従で、約5コマ/秒の高速連写ができる。瞳AFのAF-Cにも対応し、動きのあるポートレート撮影に活躍しそうだ。

緑色の枠が像面位相差AFの測距点。点数は世界最多の399点。水色の枠はコントラストAFの範囲を示している。

Aマウントレンズも使いやすくなった

さてソニーαのマウントは、EマウントとAマウントが存在する。α7シリーズにAマウントレンズを装着する場合、マウントアダプターはLA-EA3、もしくはトランスルーセントミラー・テクノロジーを搭載したLA-EA4を使用する。

AマウントアダプターのLA-EA3(左)とLA-EA4(右)。LA-EA4よりシンプルな機構のLA-EA3は、より小型軽量で取り回しに優れる。実勢価格も1万円ほど安い。

従来機のα7Rの場合、LA-EA3でAマウントレンズを装着するとフォーカスがマニュアル操作のみになってしまい、AFで撮影したい場合は、より大柄なLA-EA4を使用する必要があった。詳しい仕組みは省くが、これはα7Rが像面位相差AFを搭載していないためだ。

しかし像面位相差AFを搭載するα7R IIは、SSMとSAMレンズに限るものの、LA-EA3でもAFが可能になった。筆者はα7R IIにLA-EA3でAマウントの70-200mm F2.8G SSM IIを装着して試してみたが、AFはα7シリーズ用のFEレンズのように速くてスムーズ。しかもLA-EA3は小型なので、見た目もα7R IIとマッチしている。SSMやSAMレンズを所有している人なら、α7R IIにはLA-EA3がおすすめだ。特にAマウントの大口径ズームレンズや超望遠レンズが、FEマウントレンズと同じ感覚で扱えるのが嬉しい。

EVFは世界最大倍率。T*コーティングで抜けが良くクリア

撮影時の快適さも大きく向上した。電子ビューファインダー(EVF)はデジタルカメラとしては世界最大の倍率0.78倍。やはり広々した視野は見やすい。しかも滑らかな階調を持ち、ヌケが良くクリアだ。それもそのはず、XGA OLED Tru-Finderを採用し、しかもツァイスT*コーティングが施されている。実に贅沢なファインダーだ。

EVFに0.5型のXGA OLED Tru-Finderを搭載。倍率0.78倍は世界最大。光学系は3枚から4枚になった。ドット数は前モデルと同じく約236万。

別売で薄型タイプのアイピースカップも用意(各α7シリーズとα58にも対応)。標準のアイピースカップは出っ張っていて外れやすい、と思っていた人には朗報だ。

薄型構造の別売アイピースカップFDA-EP16(メーカー希望税別価格1,300円)。α7、α7R、α7S、α7 II、α58にも装着できる。

またモードダイヤルは、新たにロック機構を装備。不用意に回ってしまうことがないため、撮影により集中できる。さらに64個の機能を10個のカスタマイズボタンに割り当ても可能。自分の好みに合ったα7R IIに仕上げられる。細かい部分も、これまでのα7シリーズユーザーの声を聞いて、しっかり反映させている印象を受けた。

ボディ上面右手側。モードダイヤルにロック機構がついた。

αシリーズの集大成か。最強のα7が登場

動画機能は4Kに対応。すでにα7Sでも4Kに対応しているが、それには外部レコーダーが必要だった。だがα7R IIは、35mmフルサイズ機としては初めてボディ単独で4Kでの記録が可能だ。フォーマットは高ビットレート100MbpsのXAVC Sに対応している。35mmフルサイズによる4K動画が身近になった。

新アクセサリーのフルHD対応5型モニター「CLM-FHD5」との組み合わせ例。α7Sでは不可能だった、本体内での4K動画記録が可能になった。

気になる静止画の画質だが、先に述べたとおり実写はできなかったため確認はできていない。だがA1サイズクラスの大判プリントによるサンプルを見た限りでは、とても緻密な描写で、4,240万画素の高解像力を感じさせるものだった。階調再現も滑らかだ。新型の裏面照射型CMOSセンサーはもちろん、画像処理エンジンBIONZ Xの存在も大きそうだ。またツァイスレンズとソニーレンズの描写性能の高さも感じた。実写可能になるのが楽しみだ。

α7Rの高解像力とα7 IIの5軸手ブレ補正や高レスポンス、α7Sに近づいた高感度特性、使いやすくなった4K動画機能、さらにα6000で好評のワイドAFエリアなど、これまでのαの特徴を網羅し、しかも進化させたα7R II。エキスパートのハイマチュアをメインターゲットとしているが、プロの使用も意識しているとか。α7シリーズのハイエンドであり、最強のα7の登場と言っても過言ではないだろう。

引き続き3型チルト式の背面液晶モニターを搭載。ドット数は約92万から約123万に引きあげられた。
外装・構造体はマグネシウム合金。
防塵防滴に配慮した設計としている。

主な仕様

  • 撮像素子:Exmor R CMOSセンサー
  • 撮像素子サイズ:35mmフルサイズ(35.9×24.0mm)
  • 画素数:有効4,240万画素
  • 感度:ISO100〜ISO25600
  • 拡張感度:下限ISO50、上限ISO102400
  • AF:ファストハイブリッドAF
  • 手ブレ補正:光学式(4.5段分)
  • 連写速度:最高5コマ/秒
  • EVF:0.5型約236万ドット
  • 液晶モニター3型約123万ドットチルト式
  • 動画記録形式:XAVC S、AVCHD Ver.2、MP4
  • 記録メディア:SDXC/SDHC/SDカード、メモリースティックデュオなど
  • バッテリー:NP-FW50
  • 撮影可能枚数:約290枚(ファインダー使用時)、約340枚(液晶モニター使用時)
  • 外形寸法:約126.9×95.7×60.3mm
  • 重量:582g(本体のみ)、625g(バッテリーと記録メディアを含む)

藤井智弘