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ペンタックス、4,000万画素の中判デジタルカメラ「645D」を正式発表

〜実売80万円台半ば。ローパスフィルターレスCCD採用

 ペンタックスは、撮像素子一体型レンズ交換式中判デジタル一眼レフカメラ「PENTAX 645D」を5月中旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は80万円台半ばの見込み。最初の開発発表から5年2カ月を経ての発売となる。

645D。装着レンズは、D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AW

 有効4,000万画素CCDセンサーや645AF2マウントなどを採用する中判デジタル一眼レフカメラ。これまで同社が「645 Digital(仮称)」として各イベントなどに参考出品していたもので、正式発表とともに機種名を“645D”に改めた。同社が2月10日からティザーサイトで登場を告知していた「超高解像・大型イメージセンサー搭載製品」に当たる。主に風景撮影などを行なうハイアマチュアに向ける。月産500台でスタートする。

 なおペンタックスは、645Dおよび同時発表の交換レンズ「D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AW」を3月11日からパシフィコ横浜で開催する写真映像関連イベント「CP+2010」に出品する。ペンタックスブースでは、645Dのタッチアンドトライコーナーも設ける(撮影画像の持ち帰りは不可)。CP+2010は、一般のユーザーが645Dに触れることができる最初のイベントになる。

 なお、D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AWの詳細については別記事を参照されたい

645AF2マウントを採用する D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AWを装着したところ

「フィールドカメラの頂点を目指した」

 645Dは、これまで業務用途に限られていた大型イメージセンサーを比較的低価格のボディに収めたデジタルカメラ。コンセプトは、“フィールドに持ち出せる超高画質機”。本体は70カ所に及ぶシーリングを施した防塵・防滴仕様に加え、-10度までの耐寒性能を持たせるなど屋外での風景撮影を強く意識している。

ボディには70カ所のシーリング(赤部分)を施し、防塵防滴とした

 ペンタックスでは、「画質はデジタルバックに匹敵するが、価格は35mmフルサイズセンサーを搭載する画質重視タイプのハイエンドデジタル一眼レフカメラ並」とする。ハイエンドの35mmフルサイズ機の画質に満足できないユーザーなどに向ける。またフィルムカメラユーザーのうち、画質の観点からデジタルカメラへの移行を躊躇している層にもアピールする。

 レンズは645AF2に加え、従来のFA645とA645レンズが使用可能。そのため、ペンタックスのフィルム645カメラのユーザーに対して「これまでのレンズ資産を有効活用できる」としている。

645Dのポジション。高画質だが、価格は抑えたという

 同社では、「プロにも十分使ってもらえるが、あくまでメインターゲットは写真を趣味とするアマチュアカメラマン」としており、従来の中判デジタルカメラ(あるいはデジタルバック)のようなプロ市場を積極的に狙う考えは無いとしている。

 業務用カメラに必須とされる専門の保守サービス(修理時の代替機貸与などのいわゆるプロサービス)は省き、一般のデジタルカメラと同様のアフターサービスとすることなどで価格を抑えた。これによりある程度の販売台数が見込めることから、実売80万円代半ばという価格設定が可能になったとしている。また、交換レンズを併せて販売するビジネスという点も、ボディ本体の低価格化を実現できた一要因とする。

 市場投入に関しては、センサーの性能向上が落ち着くのに加え超高解像度画像を扱えるインフラが整った時期との判断から決定した。また、メインターゲットであるアマチュアユーザーが購入できる価格を実現できたタイミングだったともする。

新カスタムイメージ「リバーサルフィルム」を搭載

 645Dはカメラ本体に撮像素子を内蔵した一体型ボディを採用。構図の確認は内蔵のアイレベルファインダーで行なう。アイレベルファインダーの着脱はできない。アイレベルファインダーにはレフレックスミラーにより光を導く。露光時にはレフレックスミラーが跳ね上がる「クイックリターンミラー方式」を採用した。

 撮像素子はコダック製の有効4,000万画素CCD。サイズは44×33mm。面積比で35mmフルサイズの約1.7倍となる。これまでの参考出品で語られなかった撮像素子のサイズが、今回初めて明らかになった。「大型センサーならではの立体的な描写ができる」(ペンタックス)としている。645判換算の焦点距離は実焦点距離の約1.3倍。最大記録解像度は7,264×5,440ピクセル。ファイルサイズの目安は、TIFFで120MB前後、RAW+JPEGで50〜60MB程度(いずれも被写体によって異なる)。A/Dコンバーターは14bit。RAWは、PEF形式とDNG形式から選択できる。カメラ内RAW現像も可能。

645Dが搭載するコダック製の有効4,000万画素CCD 撮像素子のマウント構造。シャシーを介して効果的に放熱する

 画素ピッチは6μm。広範なダイナミックレンジによる階調性再現や質感の描写に優れるとしている。感度はISO200〜1000。拡張設定時はISO100〜1600が利用できる。

 撮像素子をローパスフィルターレスとすることで、レンズと撮像素子が持つ本来の解像力を引き出せるとしている。ローパスフィルターは空間周波数の高い成分が通過するのを防ぎ、モアレの発生を抑えるための光学フィルター。現在、一般的なデジタルカメラのほとんどが搭載しているが、細かい部分の描写が甘くなるといった副作用があった。なお、ローパスフィルターを後から装着することはできない。

 画素ピッチが比較的広いことから、モアレは発生しにくいとしている。また645Dのメインターゲットとなる風景写真では、モアレが起きにくい被写体であるとの判断もローパスフィルターを廃した理由とする。「高解像度を活かした克明な描写を優先した。風景を撮る限りでは、よほどパターン化したものでなければモアレが気になることはない」(ペンタックス)。細かいパターン状の被写体ではモアレが発生する場合もあるとしているが、645D本体や付属のソフトウェアにモアレ除去機能は搭載していない。同社では市販のモアレ低減ソフトなどを使ってほしいとしている。

 超音波振動による撮像素子のゴミ除去機能「DR II」(Dust Removal II、ダストリムーバルII)を採用する。ローパスフィルターが無いため、CCD最前面のUV・IRカットフィルターを振動させる。ゴミの付着状況を液晶モニターで確認できる「ダストアラート」機能も採用。粘着質のゴミが付いた場合には、イメージセンサークリーニングキット「O-ICK1」の使用を勧めている。

DR IIユニット DR IIユニットの構成。青色はIR吸収フィルター、赤色はUV・IRカットフィルター。645DのDR IIでは、最前面にあるUV・IRカットフィルターを振動させる

 なお、ライブビュー機能と動画撮影機能は搭載していない。CCDからの読み出し速度が間に合わないことから搭載を見送った。動画撮影機能を搭載しないことについては、「高解像度の静止画を得ることを優先した」(ペンタックス)と説明している。

 また、撮像素子が大型のためCCDシフト式手ブレ補正機構も非搭載となる。そのため新開発のミラーブレーキ機構を採用することで、カメラブレの原因となるミラーショックを抑える工夫をした。併せてミラーの動作音も低減している。

 画像処理エンジンには「PRIME II」(PENTAX Real Image Engine II、プライムII)を採用。K-7に搭載したPRIME IIをさらにブラッシュアップした。ノイズの低減を図ったほか、中判デジタル一眼レフカメラ用アルゴリズムを搭載することで、高画質画像の高速処理を実現したという。PRIME IIは、当初から中判デジタルカメラへの搭載を想定して開発したとする。そのためK-7にはオーバースペックなエンジンだったというが、645Dでもストレスなくカメラ内RAW現像などができるとしている。

K-7からブラッシュアップした「PRIME II」 カメラ内RAW現像の画面。ストレス無く現像できるという

 RAW現像ソフトとして「PENTAX Digital Camera Utility 4」を同梱する。現像エンジンは、市川ソフトラボラトリーの「SILKYPIX」シリーズがベースになっている。

 絵作りに関してはK-7のナチュラルモードをベースにしているが、ダイナミックレンジなどセンサーの性能などが違ってくるためK-7とは別物になるという。ただ基本的な色味などは、ある程度K-7に合わせている。

 画質設定「カスタムイメージ」には、新モードとなる「リバーサルフィルム」を追加。リバーサルフィルムの良さに親しんだ銀塩カメラユーザーなどに向ける。「非常に色が濃く陰影に富んだ、風景写真に人気のあるフィルム銘柄をデジタルで再現したモード」という。リバーサルフィルムモードはほかのカスタムイメージと異なり、設定できる調整項目をシャープネスのみとした。「フィルムとはこういうものだ、という提案」(ペンタックス)。従来からの、ほのか、雅、鮮やか、ナチュラル、人物、風景、モノトーンも利用できる。

新たにカスタムイメージ「リバーサルフィルム」を搭載した

 デジタルフィルターは、モノトーン、色抽出、カラー、ベースメイク、ソフトが利用可能。また、夕日などの色成分を強調する「CTEモード」も引き続き搭載した。なお、ホワイトバランスには「電球色蛍光灯」を追加した。

マニュアルでのホワイトバランス設定画面

2軸の電子水準器を新搭載

 ファインダーは、視野率約98%、倍率約0.62倍(D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AW装着時)、アイポイントはファインダー枠から約21mm。視度調節機構も内蔵する。アイカップは、標準品のほかに大型タイプも付属する。

 プリズムには、ガラス製のケプラーテレスコープ式トラピゾイドプリズムを採用。トラピゾイドプリズムは、一般的な一眼レフカメラが採用しているペンタプリズムとは異なる台形をしたプリズム。レフレックスミラーからの光を垂直に上げずに、斜め上方に反射してファインダーに画像を導く。ケプラーテレスコープ式トラピゾイドプリズムは、トラピゾイドプリズムにケプラー式望遠鏡を組み合わせた独自の光学系で、同じ性能のペンタプリズム式ファインダーに比べて高さを抑え、軽量化できるのが特徴。同社のフィルム中判デジタルカメラ「645シリーズ」でも同様のプリズムを搭載していた。

 

ファインダーへの光路 ファインダー内表示。AFは11点

 フォーカシングスクリーンには、明るさとピントの併せやすさを両立したという「ナチュラルブライトマット」を採用。同社フィルム中判カメラ「645N II」に続いての搭載となる。標準ではAFフレームマット「DF-80」が付属する。フォーカシングスクリーンは交換可能で、方眼マット「DG-80」と黄金分割マット「DK-80」も装着できる。

 AFは位相差検出式。測距用の光学系を一新した「SAFOX IX+」(サフォックス ナイン プラス)を搭載。AFポイントは11点で、うち中央の9点はクロスセンサーとした。従来に比べてさらに精度を向上させ、ピントにシビアな中判デジタルカメラに対応させた。SAFOX IX+の“+”は、撮影時に光源情報を加味する機能を表す。シングルAFのほか、コンティニュアスAFも可能。

 測光センサーには、77分割素子を採用。本体内のセンサー情報により、構図の縦横情報、被写体までの距離情報、被写体の撮影倍率情報などを加え、露出精度を高めたとしている。そのほか、中央重点測光とスポット測光も使用できる。

フォーカシングスクリーンは全3種類 測光分布イメージ
液晶モニターの配色は、ユニバーサルデザインになっており変更可能

 ユーザーインターフェースは、K-7など同社のデジタル一眼レフカメラを受け継いだ。「K-7が使えるユーザーなら、645Dをお使いいただける」(ペンタックス)としている。また、カラーユニバーサルデザインを意識した配色を採用。ステータス画面も表示色の変更が可能。見やすい色遣いの操作系とした。

 プログラムAE、絞り優先AE、シャッター速度優先AE、マニュアル露出を搭載。露出補正は±5EV。プログラムモードでグリップ前後の電子ダイヤルを回すと、シャッター速度優先AEまたは絞り優先AEに素早く移行できる「ハイパープログラム」やマニュアルモードでグリーンボタンを押すと適切な露出に設定できる「ハイパーマニュアル」も採用した。また、「感度優先モード」や「シャッター速度&絞り優先モード」も引き続き搭載する。

 レンズ収差補正機能も備える。D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AWを始め、FA645レンズすべてでディストーションと倍率色収差の補正が可能。


ディストーション補正の例 倍率色収差補正も可能

 電子水準器も搭載する。K-7では左右の傾きのみだったが、645Dでは左右と前後の2軸表示に対応した。液晶モニターのほか、ファインダー内にも表示可能。縦位置でも機能する。

2軸の電子水準器を搭載した 電子水準器の表示例

 HDR(ハイダイナミックレンジ)機能もK-7から引き継いだ。露出の違う3コマを自動合成することで、HDRイメージを作成できる。HDR機能は、「標準モード」に加えてより効果の高い「誇張モード」が利用できる。

 また、白トビと黒ツブレの両方を補正できる「ダイナミックレンジ補正」機能も搭載した。

HDR機能の例

最高1/4,000秒の新開発シャッターを搭載

 ボディの構成は645N IIなどと同様に、(撮影者側から見て)ミラーボックスに対して前側にレンズマウント、上側にアイレベルファインダー、右側にグリップ、下および左側に三脚穴というスタイルを採った。最上部にはP-TTL調光に対応したホットシューも備える。

ボディ側面には縦位置用の三脚穴を備える グリップ部分
D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AWを装着したところ
上面

 デザインはPIE2005で提案した3つのデザイン案のうち、B案を元にしたものを採用。上部左右のえぐられた造形は拳銃のリボルバー(回転式弾倉)がモチーフという。また、ファインダー両脇のツマミはスポーツカー「フェラーリ」の後部をイメージしているという。645N IIに比べると全体的に丸みを帯びたデザインになった。

 電子ダイヤルはグリップの前後に備える。また、一時的に記録形式をRAWにできる「RAWボタン」も装備した。ストラップは、三角環による2点吊り。

 645Dの本体色はブラックのみとなる。K-xにあった「コレジャナイロボモデル」や「100 colors, 100 styles.」といったカラーバリエーションモデルの予定はないという。

 ボディの外装はK-7と同様にマグネシウム合金製で、堅牢性を謳う。一方シャシーは、熱による変化が少ないとされるアルミダイキャスト製とした。アルミダイキャストには、センサーの熱を外装に伝えるのに優れる意味もある。645N IIなどの外装は、ガラス繊維入りの強化樹脂だった。


外装はマグネシウム合金製 シャシーはアルミダイキャスト製
メタル羽根になったシャッター

 レンズマウントは「645AF2マウント」。AFカプラーや情報接点のほか、超音波レンズを駆動するための電源接点を備える。FA645レンズはすべてAFで使用可能。「67レンズ用アダプター645」を使用することで、同社の67用レンズの一部を装着できる。

 シャッターは、新開発の縦走りメタルフォーカルプレーンシャッターを搭載。シャッター速度は30〜1/4,000秒およびバルブ。シンクロ速度は1/125秒以下。レリーズ耐久回数は5万回としている。ミラーアップも可能。なお645N IIは縦走行ながら布幕シャッターを使用していたため、最高で1/1,000秒までだった。


シャッター動作の様子

 1コマ、連続、セルフタイマー、リモコン、インターバル、多重露光、露出ブラケット、拡張ブラケットの各ドライブモードを備える。連写速度は1.1コマ/秒。連続撮影可能枚数は、JPEGで15コマ、RAWおよびRAW+JPEGで13コマ。セルフタイマーは12秒後と2秒後のレリーズを選択できる。なお、防水リモートコントロール「O-RC1」(ワイヤレスタイプ、近日発売)を使用すると、本体と併せて防塵防滴で使用可能。645Dにケーブル式のレリーズを使用した場合は、防塵防滴ではなくなる。

 絞りを絞り込んだ状態をファインダーで確認できる「光学プレビュー」のほか、実際に撮影した画像を表示する「デジタルプレビュー」が利用可能。

デュアルSDHC/SDメモリーカードスロットを初採用

 背面の液晶モニターは約92.1万ドットの3型TFT。視野角は上下左右170度。ARコートも施した。上部の表示パネルと併せて、保護パネルには強化ガラスを使用した。液晶モニターに対して、ピンポイントで50kgfの荷重をかけても耐えられるとしている。液晶パネルの強化ガラスは、「K-7 Limited Silver」に続いての採用となる。

液晶モニターと上部表示パネルには強化ガラスを採用 デュアルSDHC/SDメモリーカードスロットを搭載する

 再生画面では最大32倍まで拡大可能。またサムネイルは、1画面当り最大81コマまで表示できる。スライドショー表示も可能。ヒストグラムおよび白トビ黒ツブレ警告も出すことができる。

 記録メディアは、SDHC/SDメモリーカード。ペンタックスで初となるデュアルスロットを備え、順次書き込み、記録形式別書き込み、同時書き込み(バックアップのため)などが可能。各カードスロットの書き込み設定は、本体上部左側(撮影者から見て)の「ダイレクトボタン」で行なう。内蔵メモリーは搭載していない。また、SDXCメモリーカードには非対応となる。

 あらかじめ「撮影者名」と「著作権者名」をカメラに登録しておき、画像ファイルに記録できる機能もK-7に引き続き搭載した。同梱ソフト「PENTAX Digital Cmaera Utility 4」を使用することで、撮影者名および著作権者名が改ざんされているかの判定ができる。

撮影者名と著作権者名の登録が可能 同梱のソフトで、撮影者名または著作権者名に改ざんがあったかを判定できる

 電源は、K-7と同じリチウムイオン充電池「D-LI90」。CIPA準拠の撮影可能枚数は約800枚。バッテリーを揃えることで、645DとK-7の両方を使用するユーザーに配慮した。「マウントアダプターにより645レンズをK-7に装着する、といった使われ方も想定した」(ペンタックス)。なおKマウントのカメラに645レンズを装着する場合は、「645レンズ用アダプターK」が使用できる。

 HDMI(タイプC mini)、USB、ビデオ出力、外部電源、外部レリーズ、Xシンクロソケットの各端子を備える。付属品は、リチウムイオン充電池、充電器、USBケーブル、ストラップ、大型アイカップ、ソフトウェアCD-ROM。

電源はD-LI90で、K-7と同じ 端子カバーを開けたところ

 本体サイズは、156×119×117mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約1,400g(本体のみ)、1,480g(バッテリーとSDメモリーカード×2枚を含む)。645N IIに比べると幅が6mm、奥行が2mm、高さが6mm増加している。645N IIの重量は、フィルムバック付きで1,280g(バッテリーとフィルムは含まず)だった。

開発凍結を乗り越えてついに製品化

 ペンタックスによる中判デジタルカメラの開発発表は2005年に遡る。

 同年に行なわれたフォトイメージングエキスポ2005(PIE2005、3月17日開幕、東京ビックサイト)で、「645 Digital」(仮称)としてイメージモックアップを初めて一般に公開。詳細な仕様を始め、価格や発売時期は未定ながらも有効1,800万画素のコダック製大型CCD(実寸は非公開)や、645AFマウントを採用したレンズ交換式中判デジタル一眼レフカメラとアナウンスした。

PIE2005で展示していたイメージモックアップ。左からA案、B案、C案

 この発表に先立つ2005年2月25日に弊誌で掲載した本田雅一氏によるインタビューで、ペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長の鳥越興氏(当時)は、「645や67などのレンズ資産をデジタル時代に活用できるラインナップを整えていきたい」と話していた。

 PIE2005の参考展示では、A案、B案、C案という3種類の外観デザインを提示。PIE会場では開発のためのリサーチの一貫として、一般ユーザーからアンケートを実施した。製品版の645Dでは、このときに人気の高かったB案を元にしたデザインに仕上がっている。

PMA06で展示したモックアップ。PIE2005の投票結果を受け、デザインの方向性はB案に決まった

 続くPMA06(2月26日開幕、米フロリダ州オーランド)では、PIE2005での投票結果を踏まえて先のB案によるモックアップを展示。この際もスペックに関しては、有効1,800万画素のコダック製大型CCD搭載などPIE2005と同様の発表に留まっていた。

 弊誌が掲載したPMA06会場における鳥越氏へのインタビュー(本田雅一氏による)では、「スタジオ、コマーシャルフォト、印刷関係などの現場に(中判デジタルカメラを)提供するだけでなく、加工、保存、出力と言ったトータルソリューションを提供しなければならない」と話しており、当時は中判デジタルカメラを業務向け分野に投入する意向があったと見られる。

 PMA06直後のPIE2006(3月23日開幕、東京ビッグサイト)では、PMA06と同様にB案を元にしたモックアップを展示。PIE2006の会場でも、前回に続いて645 Digitalの製品化に関するアンケートを行なった。

 さらに同年秋のフォトキナ2006(Photokina 2006、9月26日開幕、独ケルン)では、PIE2006から液晶モニターの大型化と“PENTAX”ロゴを変更した新モックアップを展示。撮像素子についてはこれまでの有効1,800万画素から有効3,000万画素クラスへの変更を明らかにするも、発売時期は引き続き未定とした。


PIE2006でのモックアップ フォトキナ2006でのモックアップ

 翌年のPMA07(3月8日開幕、米ネバダ州ラスベガス)では、有効3,000万画素CCDやCFとSDメモリーカードのデュアルスロットを新たに搭載したモックアップを展示。また、645 Digitalの標準レンズとして開発した「D FA 645 55mm F2.8」(仮称)を実機に装着して公開した。

PMA07に出品したモックアップ。CFとSDメモリーカードのデュアルスロットだった

 同月に行なわれたPIE2007(3月22日開幕、東京ビッグサイト)では、初めて645 Digitalの実働モデル(試作品)を公開。来場者が触れることはできなかったが、ステージで撮影のデモンストレーションを見ることができた。さらにこの頃、100万円を切る程度のボディ価格を目指していることを明らかにするなど開発は順調かに見えた。

PIE2007でお披露目された初の実働モデル。撮影デモを実施した

 だが明くる2008年3月、状況は一転する。ペンタックスは突如、645 Digitalの開発凍結を表明。PMA08(1月31日開幕、米ネバダ州ラスベガス)に続き、PIE2008(3月19日開幕、東京ビッグサイト)でも645 Digitalの展示を取りやめた。開発リソースをデジタル一眼レフカメラ「Kシリーズ」に集中させるのが目的で、既に2007年秋の時点で開発凍結を決定していたことが判明する。しかし、中判デジタルカメラの開発自体は継続するとコメントした。

 2008年3月28日に弊誌が掲載したペンタックスへのインタビュー(本田雅一氏による)で鳥越氏は、「645システムを使用したデジタル一眼レフカメラは、早期に開発を再開したい」と述べていた。また同氏は「業務用途で使えるトータルソリューションを揃えたものになる」とする一方で、アマチュアの中判カメラユーザーが趣味の道具として使える中判デジタルカメラの必要性も説いていた。

 しかしその後も開発凍結は続き、フォトキナ2008(9月23日開幕、独ケルン)でも中判デジタルカメラの出品は無かった。だがこの頃ペンタックスでは、開発凍結の解除に向けた準備を進めつつあったという。

 そして、645 Digitalが最後に一般公開されたPIE2007から2年。ペンタックスは、正式に開発凍結の解除を宣言。PIE2009(3月26日開幕、東京ビッグサイト)のペンタックスブースにはふたたび645 Digitalが姿を現した。参考出品で価格は未定ながら、2010年の発売を告知。撮像素子には、有効3,000万画素以上の撮像素子を搭載するとした。また、「smc PENTAX-D FA 645 55mm F2.8」(仮称)も出品し、645 Digitalと同時に発売することを明かした。このときは、645 Digitalおよびsmc PENTAX-D FA 645 55mm F2.8は透明ケース内での展示だった。

PIE2009では2年ぶりに645 Digitalを展示。2010年の発売を決定した

 弊誌が2009年12月24日に掲載したHOYA PENTAXイメージング・システム事業部・副事業部長兼開発統括部長の北沢利之氏へのインタビュー(本田雅一氏による)では、現行のデジタル一眼レフカメラK-7およびK-xの後継モデルと平行して645 Digitalを開発中だとした。また開発凍結の前後では、ほぼすべてのパートで開発をやり直していると話している。

 年が明けてのPMA 2010(2月21日開幕、米カリフォルニア州アナハイム)には不参加だったペンタックスだが、国内では2月10日から645Dのティザー広告を開始。CP+2010での展示などを経て、5月中旬に市場投入する。

ついに正式発表を迎えた645D



(本誌:武石修)

2010/3/10 10:11