オリンパス、「フォーサーズ機のミラーレス化報道」を否定

~ペンライトE-PL1の発表会で

 オリンパスは4日、レンズ交換式デジタルカメラ「オリンパス・ペンライトE-PL1」およびコンパクトデジタルカメラ春モデルの発表会を表参道ヒルズで開催した。なおE-PL1は2月3日に、コンパクトデジタルカメラ春モデルは2月2日に発表済となっている。

5日に発売するE-PL1(シルバー)。装着レンズは、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8会場の様子

 発表会ではカメラの概要や製品戦略についてのプレゼンテーションを行なったほか、3月5日から放映する新作CMも合わせて発表した。会場には新CMに出演した宮崎あおいさん(※)も応援に駆けつけた。(新作CM発表会の記事はこちら)

 なお、各機種の詳細については記事末の関連リンクを参照されたい。

ミラーレスのリーディングカンパニーを目指す

オリンパスイメージング代表取締役社長の大久保雅治氏

 冒頭、オリンパスイメージング代表取締役社長の大久保雅治氏が挨拶した。

 大久保氏は、「(ペンシリーズで)コンパクトデジタルカメラとデジタル一眼レフカメラの間にあった“デジタル一眼レフカメラは大きくて難しい”という壁を取り除けると信じている。新しい市場に活況を呼べる製品。オリンパスがこのカテゴリーでリーディングカンパニーになる」とペンシリーズにかける意気込みを話した。

 また、「オリンパス90年にわたる技術の粋を集めたタフなカメラのパイオニア」と述べ、タフネスデジカメにおいても牽引役であると強調。この分野にも期待して欲しいと語った。


μTOUGH-8010でエベレスト登山を記録

 続いて、オリンパスイメージング取締役イメージング事業本部 本部長の中嶋正徳氏がE-PL1およびコンパクトデジタルカメラ春モデルの説明を行なった。

オリンパスイメージング取締役イメージング事業本部 本部長の中嶋正徳氏コンパクトデジタルカメラのラインナップ
生活防水コンパクトカメラはオリンパスが世界で初めて製品化した

 中嶋氏は、「μTOUGH、μ、FE、SPの各シリーズで幅広いユーザーに応える」とした。コンパクトデジタルカメラで、特に注力しているタフネスシリーズ「μTOUGH」については、登山家の近藤憲司氏がエベレスト登頂の記録機材として「μTOUGH-8010」を使用した例を紹介。

 μTOUGH-8010の公式の耐寒性能は-10度までだが、エベレストでは-30度に及ぶ中、無事に撮影を終えたという。グローブをしたままでもカメラ本体を叩いて操作できる「タップコントロール」が役だったそうだ。岩場から落としたこともあったが、故障はしなかったとのこと。

μTOUGH-8010でのエベレスト登山記録を紹介μTOUGHは、衝撃、寒さ、水、手ブレのほかにエレガントさを備えているとした
μTOUGH-8010。水深10m、耐落下衝撃2m、耐低温-10度、耐荷重100kgfの性能を有する
μTOUGHシリーズは氷付けにして耐寒性能をアピール石を載せるデモもあった
煉瓦にぶつかるように落ちるデモも実施。そのまま水中に落ちるが、動作に問題は無い
μTOUGH-6020。5m防水、耐落下衝撃1.5m、耐低温-10度μTOUGH-3000。タフネス性能を備えながら、1GBの内蔵メモリーを搭載
防水カメラの歴史μTOUGHのタフ性能
SP-600UZ。単3電池対応の15倍ズーム機μ-5010。広角26mmからの5倍ズームを搭載
μ-7040。広角28mmからの7倍ズーム機μ-9010。光学10倍の1,400万画素機
FE-4020。低価格の1,400万画素機FE-47。単3電池対応の低価格モデル

 また、春モデルの一部から採用している新ソフト「[ib]」も紹介。「デジタルカメラ時代になり、従来とは比べものにならないほど増えた写真をあたかもネットサーフィンのように楽しめる」とした。「オリンパスフォトサーフィン」と名付け、新しいフォトライフとして提案する。

[ib]では、顔、日付などで自動的に写真を整理し閲覧できるカメラ内でフォトサーフィンが楽しめるという

 一方レンズ交換式デジタルカメラについては、「各社からミラーレスカメラが発表されているが、この流れを作ったのはマイクロフォーサーズ陣営。“ミラーレスカメラ=マイクロフォーサーズ”を築き上げた。2009年7月に発売したE-P1は、従来の一眼レフカメラをフルデジタル化したもの。圧倒的な小型化やHD動画にも対応した」とした。

E-PL1(ブラック)。装着レンズは、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6背面。EVFが装着可能
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8を装着したE-PL1(ホワイト)。ポップアップストロボを装着する
直感的に明るさや色合いなどをコントロールできる「ライブガイド」を新搭載したライブガイドで変更できる項目
変えたい項目を選んでバーを操作するだけで簡単に画質を変更できる鮮やかさを変えているところ
他社のデジタル一眼レフカメラのユーザーインターフェース(UI)例。「ライブガイドは画期的UI。各社がわかりやすいUIに取り組んでいるが、まだ難しさから抜け出せていない」(中嶋)アートフィルターも引き続き搭載。E-P1とE-P2には無かった「ジェントルセピア」を新搭載した
レンズ交換式カメラにおけるミラーの有無による違い。マイクロフォーサーズカメラは大幅な小型化が可能
E-PL1専用の防水プロテクター「PT-EP01」E-PL1専用の本革フロント&ボディケース「CS-13FBCBLK」。ワインレッドとブラックを用意
カジュアルカメラバッグ「CBG-4BEG」(5,040円)。帆布風の綿素材で、カメラ用のインナーを内蔵する。ショルダーベルトは取外し可能で、手提げとしても使用可能CBG-4BEG同梱のインナークッション
ラッピングクロス(L)「CS-15」(2,520円)。カメラやレンズを包んで保護できる。バッグに機材を収納する際に便利という包んだところ

ミラーレスカメラ市場への他社参入を歓迎

 ミラーレスデジタルカメラの発表が相次いでいることに対しては、「他社の発表は非常に喜ばしいこと。市場がより活性化すると思う」(中嶋氏)と歓迎の意向を表した。その上で中嶋氏は、「他社のフォーマットはマイクロフォーサーズとは違うと考えているが、やはり小型軽量化に適しているのはマイクロフォーサーズ陣営と考えている。小型軽量化をさらに進めていく」と答えた。

 この点に関してオリンパスイメージング イメージング事業本部 副本部長の小川治男氏は、「E-P1の発売から1年もしない中で、こんなに色めき立った。1社ではできなかった」と話し、中嶋氏と同様に市場拡大を見込める他社のミラーレス参入は歓迎するとした。他社のミラーレス機との差別化については、本体の小型化のみならず、手ブレ補正機構をボディ側に搭載していることでレンズを小型軽量に作れる点も挙げた。

 小川氏は35mm判への焦点距離換算が簡単なこと(2倍すればよい)も、マイクロフォーサーズ(あるいはフォーサーズ)の大きなメリットと話す。サムスンの「NX10」やソニーが開発発表したミラーレス機は、APS-Cサイズ相当の撮像素子を搭載するためだ。

会場ではマイクロフォーサーズに並んで、フォーサーズシステムも展示していた

 なお、PMA 2010の期間中に一部の海外メディアが「2年以内にフォーサーズ機からミラーが無くなるだろう」と報じたことについて、「何かの誤解でああいった記事が出てしまったようだが、2年でフォーサーズが変わるなどとは全く考えていない」(小川氏)と先の報道を否定。また、「フォーサーズはこれまで通り続けていく」(小川氏)と従来からの見解を改めて強調した。

 ミラーレス機が今後、レンズ交換式カメラの主流になっていくのか? の問いには、「普及機はミラーレスにという方向はあるのかもしれないが、今でも海外ではE-520やE-420もよく売れている。もう少し分析が必要だ」と慎重な見方を示した。

 一方で、「ペンシリーズは想定以上に受け入れられており、嬉しい誤算だ。この加速は止まらないだろう。ミラーレス機は第3の軸になる。これが意外に大きい。矢継ぎ早に新機種を出しているが、初めはこのくらいの勢いが必要」(小川氏)とも話した。

会場ではE-PL1で撮影した作品も展示していた

攻めの姿勢で積極的にプロモーションを行なう

 最後に、オリンパスイメージング取締役国内営業本部長の五味俊明氏が国内でのマーケティング戦略について話した。

オリンパスイメージング取締役国内営業本部長の五味俊明氏「攻」の字を挙げ、積極的なプロモーション展開を宣言
ペンシリーズは宮崎あおいさんが、μシリーズは浅田舞さんと浅田真央さんが引き続きイメージキャラクターを務める
会場には宮崎あおいさんの大きな垂れ幕を飾っていた

 E-PL1のイメージキャラクターに宮崎あおいさんを引き続き採用した理由については、「女優として大役を務めている。好感度も高く、前回から市場での評価が非常に高かった。E-PL1のコンセプトやユーザーにベストマッチング」とした。

 プロモーションは幅広いメディアに対して行なっていくという。「(スクリーンに示した)攻めのアイコンが象徴するように、積極的にアピールしていきたいと話した。

レンズ交換式カメラの絶対数量は伸びているが、デジタルカメラ全体に占める割合は低下しているレンズ交換式カメラ伸び悩みの原因は、難しい、重い、大きいが3大理由
そうした中、ペンシリーズは女性の購入割合も多く、難しい、重い、大きいと言った障壁を克服できたとしているまた、ペンシリーズは20代、30代と言った若い層の購入が増えているのも特徴とする
新規ユーザーも多いレンズ交換式カメラ市場におけるペンシリーズのポジション
さまざまな媒体を通して多面的なプロモーションを行なうという
3月11日からのカメライベント「CP+」への出展を始め、ワークショップなども行なう予定フォトムービー作成ソフト「LiFE*with PhotoCinema 3」とのタイアップ企画も実施
カメラの購入でメモリーカードが当たるキャンペーンも開催中だ
発表会の出席者には、記念品としてLEDライト付きのロゴ入りボールペンが配られた。“ペン”と“ライト”で、「ペンライト」という洒落になっているようだ発表会の会場となった表参道ヒルズ

※宮崎あおいさんの「崎」は、本来は異なる漢字で表記しますが、パソコンの環境により表示できないため、崎を代用文字としています。




(本誌:武石修)

2010/3/5 15:13