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東京・神田に銀塩モノクロ拠点「THE BASE POINT」がオープン

銀塩デビューから写真展開催まで、"頼れる相談相手"を目指す

THE BASE POINTの神谷店長。

イルフォードやオリエンタルのフィルム・印画紙などを扱うサイバーグラフィックス株式会社が6月にオープンした直営店舗「THE BASE POINT」を訪れ、コンセプトや今後の展開について聞いてきた。

場所は東京都千代田区鍛冶町1-7-11 KCAビル1階。JR神田駅南口から徒歩2分ほどの好立地だ。営業時間は11時〜19時。営業日は現時点では平日のみだが、7月14日からは土日も営業し、毎週月曜定休となるという(7月13日は休業)。

店内には主に、イルフォード、オリエンタルの製品が並ぶ。フィルムや印画紙には、それぞれの特徴が店長のおすすめコメントとして書き添えられており、初めての人を迎え入れようという気持ちが伝わってくる。500円を払って会員登録すると、商品の割引もあるようだ。

販売コーナー。
トラディショナルタイプで感度400の「HP5 PLUS」が最初のオススメ。
印画紙とセットになったバリューパックもある。
オリエンタルのフィルムと印画紙。
パッケージデザインがガラリと変わった、ケントメアのフィルム。中身は従来通りだという。
イルフォードのC-41現像モノクロフィルム「XP2」が入った使い切りカメラ。いきなりモノクロフィルムではハードルが高いと感じる人には、通常のカラーネガのように写真店で現像を依頼できる本製品も勧めるという。

現像薬品やパターソンの現像タンク、アクセサリーも並んでいる。

中古カメラ販売のショーケースもある。35mm一眼レフカメラを中心に、中判カメラやAFコンパクトカメラも揃っている。いわゆるクラカメ趣味的というより、同店を訪れて銀塩写真に興味を持ったら、そのままフィルムや印画紙と一緒に買って帰れるほどの、手頃で実用しやすいラインナップという印象だ。AFコンパクトカメラは数千円からあり、ボリュームゾーンは1万円弱〜数万円程度。実際にここでカメラを買い、そのまま撮影に出かけた人もいるという。

同店のコンセプトと今後について、店長の神谷龍樹氏に話を聞いた。

直営店という構想自体は、サイバーグラフィックス社内に数年前からあったものだという。カメラ店などで暗室用品の売り場が縮小傾向にある中で、自社取り扱い製品を知ってもらい、直接商品を説明するための体制を整えた。

店作りにおいては、自社取り扱い製品を並べるだけでなく「撮影・現像と、さらにその先」をテーマとした。ショップ、暗室、ギャラリーの機能を備えることで、撮影から飾るまでの循環を感じられる空間を目指したという。

暗室には「決して高いスペックのものは入れていない」と神谷氏。暗室ワークに興味のある人がフィルム現像やプリントの講習を受けたり、余暇にちょっと現像を体験してみたい、といったニーズを想定している。

現時点の暗室利用は、35mmフィルムのみ、印画紙は大四つまでのRCのみ対応だという。この条件に合えば、問い合わせ次第でレンタル対応を行うとのこと。本格的なレンタルは今後の展開となる。

暗室講習は、神谷氏がこれまでレンタル暗室で働いていた経験を活かし、自ら講師を務めるとのこと。暗室ワークは人それぞれだが、いきなり極端な技法(静止現像や高温現像など)には行かず、まずは"失敗"にならない一般的な手法と基準を伝え、そこから本人の意向を尊重した作品づくりに進んでいけるよう、幅を持ってサポートしていきたいと話す。

レンタルギャラリーも

作品制作は発表までが楽しみ。他人に作品を見てもらい、今後の作品制作にフィードバックする環境も整えた。一連のサポートを通じて「頼れる相談相手になりたい」というのがTHE BASE POINTのコンセプトだ。

ギャラリースペースはレンタルを行っており、取材当日もレンタルの相談に訪れた人がいた。現在は「スタッフ展」として同社スタッフがサイバーグラフィックス取り扱い製品で制作した写真を展示している。7月14日からは、宇井眞紀子・平林達也写真展「Simbiosis〜共生〜」が始まる。

本誌:鈴木誠