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ソニー、通信関連と操作性を向上させた「α9 II」

α7R IVのアップデートを反映

ソニーは35mm判センサー採用のミラーレスカメラ「α9 II」(ILCE-9M2)を11月1日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は税別55万円前後の見込み。

2017年5月に発売され、電子シャッターを基本とした秒間20コマ/秒のブラックアウトフリー連写で話題を呼んだα9(ILCE-9)の後継に位置づけられる機種。メカシャッター利用時のコマ速が向上し、通信インターフェースにも高速なタイプを採用。操作性についても9月に発売されたα7R IVのフィードバックが盛り込まれている。撮像素子にはα9と同じ有効2,420万画素のメモリー内蔵積層型CMOSセンサー「Exmor RS」が採用されている。

手ブレ補正効果が5.5段分に

AFは画面の93%を占める693点に像面位相差検出AFを配置しており、また425点のコントラストAF枠により低照度下でも高い精度を維持できるとしている。このほか高速処理ハードウェアの実装に伴い、AF追従のアルゴリズムもチューニングしており、速度変化に緩急のある被写体などへの追従安定性と精度が向上しているという。

また、動物対応の瞳AFも強化されており、動体撮影時の瞳を捕捉する精度が向上したとしている。

このほか連続撮影時のAF追従に関しては、AF時の絞り駆動をフォーカス優先に設定することで、F16以上に絞り込んだ状態でも被写体を追従するようになったという。これまではF16までが連続撮影時のAF追従上限だった。

連写速度はメカシャッター時で最高約10コマ/秒を達成(フリッカーレスに対応)。先代α9では最高約5コマ/秒だった。電子シャッター使用時は最高約20コマ/秒(AF/AE追従)で変わらず。

手ブレ補正機構は、他のα7(第2、第3世代。初代はR、S含め非搭載)、9シリーズ同様センサーシフト式の5軸手ブレ補正を採用している。補正アルゴリズムの最適化を施したことで、シャッタースピード5.5段分に補正効果が向上しているという。α9では、5段分だった。

アスペクト比は新たに4:3が追加された。また、クリエイティブスタイル選択時のシャープネス設定の上限が、これまでの±3から±5に拡大している。

動画撮影に関しては、全画素読み出しでの4K記録が可能となっており、実際の撮影時に6K相当の情報量を取得することで単純な4K記録以上に高解像で記録できるとしている。

FTP転送など、撮影画像の即時転送機能を強化

今回のモデル更新で最も際立つ特徴となっているのが、通信まわりの進化だ。主眼となっているのは、ワークフローの短縮化と、安定性の向上。

先代同様、ボディ左側面に有線LAN端子とシンクロターミナルを搭載しているが、LANが1000BASE-Tに対応となり、データの転送速度が向上している。また、無線通信モジュールもIEEE802.11acに対応したことで、5GHz帯を利用した高速転送も可能になった。

これら通信まわりの強化によりFTP転送の速度と安定性が向上し、撮影現場からの迅速な画像転送や即時納品ニーズに応えるとしている。

FTP転送はバックグラウンドでも動作可能となっており、転送設定もSDカードに10個、アプリ「Imaging Edge」経由では20個まで保存できる。転送設定は、適宜保存と読み込みが可能となっており、この点からも現場の即納ニーズに応える機能強化となっている。

このほかユニークな機能として、音声メモ機能が搭載された。これは、画像転送時に音声入力で撮影内容などを記録するというもの。モバイル用のアプリ「Transfer & Tagging add-on」を利用することで、転送時に音声をテキストデータに認識・変換して画像とともに送ることも可能。

このTransfer & Tagging add-onアプリは、モバイルへのFTPバックグラウンド転送にも対応するもので、モバイル環境のみの状態でも撮影から転送・納品までのプロセスを完結できる点を強みとしている。

α7R IVの操作性をフィードバック

操作面の改善も盛り込まれている。シャッター機構には低振動かつ高耐久のシャッターユニットを採用したほか、このユニット自体の構造も見直したとしている。改善点は微振動を吸収するダンパーの追加などで、これにより静音化や振動の吸収効果を向上させているという。レリーズ耐久は約50万回を謳う。

このほか、ハードウェア面での変更点としては、露出補正ダイヤルにロックボタンが設けられたこと、マルチセレクターの表面形状の変更、AF-ONボタンの径の拡大などがあげられる。

グリップ部の形状も指がかりの向上を企図して、高さが広げられている。前ダイヤルも上向きの形状になった。

背面モニターは3.0型(約144万ドット)のチルト式。EVFは0.5型(約368万ドット)。

メニュー操作周りでは、メニューボタンから直でマイメニューが表示できるようになったほか、前ダイヤル操作で、メニューの項目移動が可能になった。このほか、Fnボタンのカスタマイズ幅がひろがっており、静止画と動画で、それぞれ呼び出す機能を分けて保存できるようになった。

このほか、フォーカス枠の色をホワイトとレッドから選択できるほか、シャッターボタン判押し時にマルチセレクターによるフォーカス枠の移動も可能になった。

USB端子はUSB Type-C(USB 3.2 Gen1)を搭載。充電と給電に対応する。また、Imaging Edgeでのリモート撮影時でも高速な接続が可能となっているという。

記録メディアはSDカードを使用する。スロットは2つで双方ともにUHS-IIに対応する。番号は上側が1で下側が2。

バッテリーは従来同様NP-FZ100を使用する。静止画撮影時の記録可能枚数は背面モニター使用時が690枚で、ファインダー使用時が500枚。省電力化により、いずれもα9より向上したとしている。

縦位置グリップはα7R IVに対応する「VG-C4EM」と共用。防塵防滴に対応し、各所にシーリング処理が施されている。

主な仕様

撮像素子

有効約2,420万画素 Exmor RS CMOS

映像エンジン

BIONZ X

連写速度

メカシャッター:最高約10コマ/秒
電子シャッター:最高約20コマ/秒

手ブレ補正

ボディ内5軸(補正効果5.5段分)

記録可能枚数

静止画:約690枚(背面モニター使用時)/約500枚(ファインダー使用時)
動画(実撮影):約120分(背面モニター使用時)/約110分(ファインダー使用時)

EVF

0.5型(約368万ドット)
倍率:約0.78倍(50mmレンズ)

背面モニター

3.0型(約144万ドット)
チルト(上約107度・下約41度)対応、タッチパネル式

記録メディア、スロット数

SDカード(UHS-II対応)デュアルスロット

外部端子

有線LAN(1000BASE-T)
USB Type-C(USB 3.2 Gen.1、充電・給電対応)
HDMI(Type D)
シンクロターミナル

無線モジュール

IEEE802.11a/b/g/n/ac

バッテリー

NP-FZ100

外形寸法

約128.9×96.4×77.5mm

質量

バッテリー・メモリーカード込み:約678g
本体のみ:約593g

本誌:宮澤孝周