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ソニー、「α6600」「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」など実機を披露

フルサイズ機の強みをAPS-Cに展開 フラッグシップとなるF2.8標準ズームも

左からα6600、α6100。

ソニーは8月29日、海外で先行発表されていたミラーレスカメラ最新モデル「α6600」「α6100」および交換レンズ「E 16-55mm F2.8 G」「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」を日本国内で披露した。全国のソニーストアでも、8月31日から順次先行展示を行うという。

ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社 デジタルイメージング本部 第1ビジネスユニット シニアゼネラルマネジャーの田中健二氏(左)、ソニーマーケティング株式会社 プロダクツビジネス本部 デジタルイメージングビジネス部 統括部長の小笠原啓克氏(右)

プロからコンシューマー、シネマからスチルまでをカバーする"One Mount"の世界

ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社の田中健二氏は、「ソニーの市場拡大は常にイノベーションに支えられている」と説明。成長著しいフルサイズミラーレスの分野において、同社の訴求する「リアルタイム瞳AF」や「リアルタイムトラッキング」といった"Speed×AI"(AIを駆使したリアルタイムイメージング)がクリエーターの撮影体験を劇的に変化させた点が評価されたという。

それらの要素をAPS-Cフォーマットの小型システムに凝縮し、より幅広いユーザーに惜しみなく提供しようというのがソニーの戦略。2019年2月に発売したα6400が世界中で大ヒットしており、「Power in your hands」をキーワードに、今後もAPS-Cのラインナップ強化と顧客基盤の拡大を図っていくとした。

α6600
α6600(11月1日発売)。ボディ単体の店頭予想価格は税別16万円前後。写真の高倍率ズームレンズキットは税別20万円前後の見込み。詳細記事はこちら。

今回発表の新製品では、α6600は新しいAPS-Cフラッグシップと位置づけ、α6100は小型ボディに内蔵AFや最先端のAF性能を盛り込むことで、より幅広くクリエイティブな撮影を楽しんでもらうための手頃な製品としている。どちらもα6400と同じイメージセンサーを搭載しており、同条件の撮影で得られる画質は同等。"ボディ手ブレ補正を搭載しているα6600"、"より手頃でカジュアルなα6100"、といった選択の幅が広がる商品構成となった。

α6100
α6100(10月25日発売)。写真のパワーズームレンズキットは税別10万円前後の見込み。ブラックとホワイトの2色を用意する。詳細記事はこちら。

同時に発表されたAPS-Cフォーマットのレンズ2本は「(最先端技術を盛り込む最上位ラインである)G Masterシリーズの技術をAPS-Cに」が合い言葉。APS-C用ソニーEマウントレンズで初となる開放F2.8通しの標準ズームと、ユーザーから待ち望まれていたというコンパクトな望遠ズームを投入する。

左はE 16-55mm F2.8 G(税別15万3,000円。詳細記事はこちら)、右はE 70-350mm F4.5-6.3 G OSS(税別10万9,000円。詳細記事はこちら)。いずれも10月25日発売。

ソニーがEマウントについてアピールする「One Mount」(ワンマウント)のキーワードについては、フルサイズからAPS-C、プロユースからカジュアルユースまでが1つのEマウントで(アダプターなども介さず)カバーできる点が特徴であり、これが世界のクリエイターに共通プラットフォーマットとしてEマウントが支持されている理由であると説明。加えて田中氏は「イメージングの未来を切り拓くのはソニーの責任だと思っている」と締めくくった。

ソニーが訴求する"ワンマウント"の世界。

ミラーレスカメラの市場は成長。αUniverseのリアルイベントを予告

ソニーマーケティング株式会社 プロダクツビジネス本部 デジタルイメージングビジネス部 統括部長の小笠原啓克氏

2019年第1四半期にレンズ交換式デジタルカメラの市場は金額ベースで前年比85%となったが、ミラーレスカメラに限れば前年比107%に成長し、市場を牽引したと説明。特に単価10万円以上の領域が前年比約2倍に成長しているという。ソニーマーケティング株式会社の小笠原啓克氏は、「スマートフォンのカメラが高機能化する一方で、高価格であってもより高性能のカメラで撮りたいと考える人が増えた」と分析する。

ソニーは2月にα6400を投入し、日本のミラーレスカメラ市場で販売金額シェア36%を獲得。リアルタイム瞳AF、リアルタイムトラッキングや4K動画記録が高い評価を受けているという。その基本性能をベースとしてAPS-C機のラインナップを上下に展開したのがα6600およびα6100となる。

α6400の購入者が重点を置いた項目。
フルサイズで好評を得た部分をAPS-Cにも展開。より幅広いユーザーに届ける。
シャッターボタン半押しでリアルタイム瞳AFが動作しているところ。カメラに近いほうの瞳を自動的に追いかける。
AF速度0.02秒はレンズ交換式APS-Cカメラで業界最速としている。
α6600はα9/α7 IIIなどと同じバッテリーを採用し、従来機種比で約2倍の撮影枚数を実現。"ミラーレス最長のバッテリーライフ"とアピールする。
α6600はオーバーサンプリングによる高画質の4K動画記録に対応。動画記録時にもリアルタイム瞳AFやリアルタイムトラッキングといった最新機能を使える。
小型ボディにマイク端子/ヘッドホン端子などを詰め込んだ(α6600)。
Eマウントミラーレスカメラのラインナップ。
APS-Cならではの小型軽量を意識したレンズ。
新レンズ2本は、フルサイズ用に展開する最上位シリーズの「G Master」レンズと同様のアクチュエーターを採用。
カスタム可能なフォーカスホールドボタンや防塵防滴構造も、G Master譲りといえる仕様。
ソニーが提供するEマウントレンズは54本。
α9のソフトウェアアップデート。1月の発表時に予告していた内容で、9月公開予定となった。

同社は10月12日・13日に、Eマウント最新ラインナップの体感イベント「αUniverse 2019 PREMIUM EVENT」をソニーシティ大崎で開催。内容はトークショーや撮影体験企画などで、EマウントユーザーやEマウントに興味のある人を対象とする。続けて各ソニーストアでも連動イベントを実施するとのこと。

写真家2名のトークショー

新製品発表会の締めくくりに、α6600とE 16-55mm F2.8 Gでの撮影を試したハービー・山口氏、川音真矢氏のトークショーが行われた。

ハービー・山口氏、川音真矢氏

ハービー・山口氏は、フルサイズ機を使う機会が多いものの、APS-Cカメラのサイズ感は写真家にとって負担が少なく、作品の仕上がりも十分だと感じているそうだ。AIが撮影を助けるようになっても、写真家はカメラを熟知して絞りなどの工夫を加える必要があり、目の前の場面を最高の状態にするには、写真家ならではの技量や視点があると述べた。

また、写真を真面目にやるほどカメラを持つ時間は長くなり、それにはカメラに"格"が必要だという。写真を撮っていて楽しいのは、そのカメラの格に満足しているかどうかが大きく、α6600の外装はそれにかなう質感だという。

川音真矢氏は、普段α9を使っているが、α6600はAF速度や画質といったα9の頼もしい点を継承していると感触を語った。バッテリーの持ちもよく、約1,500カットを撮れたという。また、タッチ操作と組み合わせたAF機能は、作品を撮ることに集中できて好ましいと強調した。

ハービー・山口氏の作品。後ろに黒い模造紙を配置し、窓からの光だけで撮ったというポートレート。スタジオ撮影のような雰囲気が出ている。「高校写真部で、光をちょっと工夫するだけでドラマチックなポートレートが撮れると教えた」「手前の瞳にピントがくることにより写真に生命力が与えられる。α6600の機能がこの瞳をキャッチしてくれる」
川音真矢氏の作品。渋谷のスクランブル交差点を俯瞰撮影した。軽いからホールディングがよく、つま先立ちのハイアングル撮影でも撮りやすかった。「手ブレ補正の強力さもあり、ブレることなく緻密に描写された」

本誌:鈴木誠