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キヤノン、ポップアップ式EVFになった1型コンパクト「PowerShot G5 X Mark II」

積層型CMOS採用 クロップなしの4K/30p動画記録も

キヤノンは、「PowerShot G5 X Mark II」を8月上旬に発売する。価格はオープン。キヤノンオンラインショップでの販売価格は税込11万3,400円。

有効約2,010万画素の1型CMOSセンサーを搭載するコンパクトカメラ。従来モデル「PowerShot G5 X」との大きな違いとして、ポップアップ式の内蔵EVFを搭載している点がある。

同時発表の小型機「PowerShot G7 X Mark III」と並び、キヤノンのデジタルカメラで初めて積層型CMOSセンサーを採用。画像処理エンジンDIGIC 8との組み合わせで、最大約30コマ/秒の連写が可能な「RAWバーストモード」や、クロップなしの4K/30p動画記録などを実現した。

これまでの裏面照射型CMOSセンサーでは、画素領域の周辺に回路領域を配置。積層型CMOSセンサーは画素領域と回路領域を別々のチップにして上下に積層することで、センサーを小型化できるのが特徴。

キヤノンの説明では、これにより画素部分は高画質化に特化し、回路部分は高機能化に特化できるため、限られたセンサーサイズ内で高画質化と高機能化を同時に実現できるとしている。また、回路プロセスの最適化で高速化も実現した。

レンズは35mm判換算24-120mm相当F1.8-2.8。PowerShot G5 Xは24-100mm相当のレンズを搭載していた。

ポップアップ式EVFを新搭載

前機種のPowerShot G5 Xは一眼レフカメラのように中央部が盛り上がったスタイリングだったが、本機では本体上部をフラットな形状とし、EVFが本体内に収まるポップアップ式とした。背面から見て左側面のスライドスイッチでポップアップし、接眼部を引き出す。これにより本体サイズは高さが15.5mm低くなっている。

EVFのスペックは0.39型約236万ドットの有機EL。アイセンサーを備え、表示先を背面モニターと自動で切り換える。表示タイムラグを低減する120fpsの「なめらかさ優先」モードを搭載している。

EVFを覗きながら背面モニターを操作してAFフレーム位置を変更する「タッチ&ドラッグAF」を使える。

最大約30コマ/秒の「RAWバーストモード」

本機およびPowerShot G7 X Mark IIIに共通の新機能として、RAWバーストモードがある。このモードで連写した画像はひとつのCR3形式RAWファイルに記録され、カメラ内もしくはPCソフト上で1枚ずつ現像できる。RAWバーストモードではJPEG画像の同時記録が行われない。

撮影には電子シャッターを利用し、シャッターボタン全押しの瞬間から最大約0.5秒を遡れる「プリ撮影」の設定も可能。

本機の各モードにおける連写速度と連続撮影可能枚数は、RAWバーストモードが約30コマ/秒・最大約70枚まで(電子シャッター、AF固定、RAWのみ)、通常の連写モード(メカシャッター、1枚目でAF固定の「ワンショットAF」、RAWおよびJPEG)で最高約20コマ/秒・約118枚まで、AF追従の連写(メカシャッター、AF追従の「サーボAF」、JPEGのみ)で最高約8コマ/秒・約320枚まで。

クロップなしの4K動画撮影に対応

手ブレ補正および自動水平補正をオフにした状態で、レンズの画角を活かした4K/30p動画撮影を可能としている。クロップによる4K動画撮影と異なり、広角側におけるレンズ本来の画角の広さを活かせるのが特徴。

4K動画からのフレーム切り出しにも対応。記録サイズは4K動画(8M)相当に小さくなるが、動画撮影中はAF/AEが効くこともあり、前述のRAWバーストモード(AF/AEが1枚目固定)との使い分けを推奨している。

加えて、キヤノンのコンパクト機で初となるHDR動画に対応。明暗差が大きなシーンでも高輝度側の白飛びが軽減される。

フルHDで120pもしくは100pのハイフレームレート動画撮影も可能。

マクロ撮影向けの「フォーカスブラケット」拡充

PowerShot G7 X Mark IIIと共通で、従来より機能が進化したフォーカスブラケット撮影に対応する。従来は1回のレリーズで3枚を撮影して合成していたが、今回はピントをずらすステップ数と撮影回数を任意に変更できる。合成はPCソフト「Digital Photo Professional」で行える。

露出補正ダイヤルの新機構

上面右手側の2段式ダイヤルは、下段が±3段の露出補正ダイヤルになっている。本機およびPowerShot G7 X Mark IIIでは、この露出補正ダイヤルに新規の「割り当てポジション」を追加。「・」のポジションにダイヤルをセットすると、EOSのように背面のコントローラーホイールで露出補正できる。

スマートフォン連携機能

Wi-Fi/Bluetoothの通信機能を搭載。「スマートデバイスへの撮影時画像送信」を設定すると、連携させているスマートデバイスに「リサイズした縮小画像」もしくは「オリジナルのJPEGデータ」を自動で転送する。リモートライブビュー撮影にも対応。

そのほかの仕様

背面モニターはチルト式。PowerShot G5 Xのバリアングル式から切り替わった。

電源はNB-13L。撮影可能枚数はモニター表示時約230枚、ファインダー表示時約180枚。

別売の「USB電源アダプターPD-E1」により、Type-C端子からの充電・給電が可能。タイムラプス撮影などに有効としている。

外形寸法は約110.9×60.9×46mm。重量は約340g(バッテリー、SD込み)。従来モデルのPowerShot G5 Xは、同112.4×76.4×44.2mm・約377gだった。

別売のソフトケース「CSC-G11」

本誌:鈴木誠