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キヤノン、積層型CMOS搭載のポケットサイズ機「PowerShot G7 X Mark III」

内蔵Wi-FiでYouTubeライブ配信 縦位置動画の撮影機能も

キヤノンは、「PowerShot G7 X Mark III」を8月上旬に発売する。価格はオープン。キヤノンオンラインショップでの販売価格は税込9万9,900円。カラーはブラックとシルバーの2色。

有効約2,010万画素の1型CMOSセンサーを搭載する、ポケットサイズのコンパクトカメラ。同時発表の「PowerShot G5 X Mark II」と並び、キヤノンのデジタルカメラで初めて積層型CMOSセンサーを採用している。画像処理エンジンDIGIC 8との組み合わせで、最大約30コマ/秒の連写が可能な「RAWバーストモード」や、クロップなしの4K/30p動画記録などを実現した。

これまでの裏面照射型CMOSセンサーでは、画素領域の周辺に回路領域を配置。積層型CMOSセンサーは画素領域と回路領域を別々のチップにして上下に積層することで、センサーを小型化できるのが特徴。

キヤノンの説明では、これにより画素部分は高画質化に特化し、回路部分は高機能化に特化できるため、限られたセンサーサイズ内で高画質化と高機能化を同時に実現できるとしている。また、回路プロセスの最適化で高速化も実現した。

レンズは35mm判換算24-100mm相当F1.8-2.8で、前機種PoserShot G7 X Mark IIを継承。

最大約30コマ/秒の「RAWバーストモード」

本機およびPowerShot G5 X Mark IIに共通の新機能として、RAWバーストモードがある。このモードで連写した画像はひとつのCR3形式RAWファイルに記録され、カメラ内もしくはPCソフト上で1枚ずつ現像できる。RAWバーストモードではJPEG画像の同時記録が行われない。

撮影には電子シャッターを利用し、シャッターボタン全押しの瞬間から最大約0.5秒を遡れる「プリ撮影」の設定も可能。

本機の各モードにおける連写速度と連続撮影可能枚数は、RAWバーストモードが約30コマ/秒・最大約70枚まで(電子シャッター、AF固定、RAWのみ)、通常の連写モード(メカシャッター、1枚目でAF固定の「ワンショットAF」、RAWおよびJPEG)で最高約20コマ/秒・約118枚まで、AF追従の連写(メカシャッター、AF追従の「サーボAF」、JPEGのみ)で最高約8.3コマ/秒・約320枚まで。

クロップなしの4K動画撮影に対応

手ブレ補正および自動水平補正をオフにした状態で、レンズの画角を活かした4K/30p動画撮影を可能としている。クロップによる4K動画撮影と異なり、広角側におけるレンズ本来の画角の広さを活かせるのが特徴。

4K動画からのフレーム切り出しにも対応。記録サイズは4K動画(8M)相当に小さくなるが、動画撮影中はAF/AEが効くこともあり、前述のRAWバーストモード(AF/AEが1枚目固定)との使い分けを推奨している。

加えて、キヤノンのコンパクト機で初となるHDR動画に対応。明暗差が大きなシーンでも高輝度側の白飛びが軽減される。

フルHDで120pもしくは100pのハイフレームレート動画撮影も可能。

また新機能として、スマートデバイスやSNSでの縦位置再生を想定した「縦位置動画」の記録に対応。カメラを縦位置にした状態で動画を撮影すると、動画ファイル自体に縦位置情報を付加できる。従来は撮影後に編集ソフト等を使って動画を回転させる必要があり、SNSにアップロードする用途では手間があったという。

マクロ撮影向けの「フォーカスブラケット」拡充

PowerShot G5 X Mark IIと共通で、従来より機能が進化したフォーカスブラケット撮影に対応する。従来は1回のレリーズで3枚を撮影して合成していたが、今回はピントをずらすステップ数と撮影回数を任意に変更できる。合成はPCソフト「Digital Photo Professional」で行える。

露出補正ダイヤルの新機構

上面右手側の2段式ダイヤルは、下段が±3段の露出補正ダイヤルになっている。本機およびPowerShot G5 X Mark IIでは、この露出補正ダイヤルに新規の「割り当てポジション」を追加。「・」のポジションにダイヤルをセットすると、EOSのように背面のコントローラーホイールで露出補正できる。

Wi-Fi経由でYouTubeライブ配信に対応

前機種PowerShot G7 X Mark IIがYouTuberやVloggerに愛用されたという背景から、本機ではカメラ単体でYouTubeにライブ配信できる機能を搭載。アクセスポイントやテザリングを使用したWi-Fi接続から配信できる。内蔵マイクのほか、外付けマイクにも対応する。

一般的なWi-Fi/Bluetoothの通信機能も搭載。「スマートデバイスへの撮影時画像送信」を設定すると、連携させているスマートデバイスに「リサイズした縮小画像」もしくは「オリジナルのJPEGデータ」を自動で転送する。リモートライブビュー撮影にも対応。

そのほかの仕様

EOS Mシリーズなどに搭載されている「クリエイティブアシスト」を同社コンパクトカメラで初搭載。オートモード時に画面右下へ表示されるアイコンから起動できる。また、再生モードからも呼び出せる。

背面モニターは上約180度、下約45度のチルトに対応。

電源はNB-13L。撮影可能枚数は約235枚。

別売の「USB電源アダプターPD-E1」により、Type-C端子からの充電・給電が可能。タイムラプス撮影や、PowerShot G7 X Mark III独自のライブ配信機能に有効としている。

外形寸法は約105×60.9×41.4mm。重量は約304g(バッテリー、SD込み)。従来モデルPowerShot G7 X Mark IIより若干薄く軽量になっている。

別売のソフトケース「CSC-G12」

本誌:鈴木誠