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バッファローのNAS「TeraStation」が誕生15周年

HDD交換不可からホットスワップ対応へ 歴史を振り返る

株式会社バッファローは4月12日、NASシリーズ「TeraStation」の誕生15周年を記念したプレス向け発表会を都内で開催した。

TeraStationは、バッファローがラインナップするネットワーク対応ストレージのうち、数十人から百人を超える規模のデータ共有に対応したモデル。2018年にはシリーズ累計の出荷台数が100万台を達成している。なお、ストレージのベイ数が少なく、数人規模での個人用途がメインの製品としては「LinkStation」がある。

初代TeraStation「HD-HTGL/R5」。金庫を彷彿とさせる外観が特徴的。

同社のストレージプロダクト&サービス事業部長をつとめる石丸正弥氏は、2004年12月に発売した初代TeraStation「HD-HTGL/R5」シリーズから現行機にいたるまでの歩みを紹介。当時の市場から得た評価や、製品ラインナップの変遷を振り返った。

ストレージプロダクト&サービス事業部長の石丸正弥氏。

初代TeraStationが発売された2000年代前半は、通信回線が高速化し、PCのストレージもネットワークに繋がり始めた時代。ユーザー同士でのファイル共有やバックアップのニーズが高まっていたことから「ネットワーク対応HDD」として2003年にLinkStationを発売した。より大容量の製品ニーズを受けて翌2004年に発売したのがTeraStationだった。

「初代TeraStationでは、10万円を切る価格で1TBの容量を実現していました。当時としてはかなり値ごろ感のある値付けの製品で、個人・法人問わずお客様からの評判は良かったものの、同時に様々なご指摘・ご要望もいただきました。本当に色々ありまして、今でも最初で最後のシルバーボディを採用した初代TeraStation、通称"銀テラ"を見ると、懐かしい思い出とともに、胸が痛くなる思いもあります」

初代TeraStationに関して最も多かった指摘としては「HDDが交換できない」ことを挙げた。これはユーザーによるHDDの交換を前提とした構造をしていなかったためで、実際には交換が不可能なわけではないが、交換のためにはTeraStation本体を分解する必要があった。

2代目の「TS-TGL/R5」シリーズからは簡易カートリッジによるHDDの換装に対応。4代目にあたる「TS-XL/R5」、「TS-RXL/R5」シリーズからはホットスワップが可能になっている。石丸氏は当時を振り返る中で、ストレージ製品を「データを溜めるバケツ」と表現し、2005年から2008年にかけては「バケツの改良」に注力したと話した。2011年以降の製品については性能の改良に加えてラインナップの拡充を続けており、2017年にはデータ復旧サービスの提供を始めている。

資料提供:株式会社バッファロー
資料提供:株式会社バッファロー
資料提供:株式会社バッファロー
資料提供:株式会社バッファロー

バッファローではTVで写真や動画を鑑賞する用途に向けたストレージ内蔵デジタルフォトアルバム「おもいでばこ」を用意しているが、おもいでばこではRAWファイルの表示に非対応であり、NASとして運用することは現実的ではない。

TeraStationでは一部の他社製品にあるようなメディアファイルの表示・整理・管理機能を備えていないので、もし写真や動画のRAWファイルを扱いたい場合は、シンプルな「大容量データ」として扱うことになるが、共同作業時に素材を共有するファイルサーバーなどの用途であれば問題なく使えるだろう。

バッファローのNASはHDDを内蔵した状態で販売しているので、NASとしての強みは、買ったまますぐに使い始められる運用スタート時の利便性と、NAS本体に加えて中身のHDDも込みでのサポートが受けられる点。発表会にいた商品開発の担当者に聞いてみたところ、他社にあるようなメディアファイルの管理機能についてはいまのところ用意する予定はないとのことだ。

2003年発売の初代LinkStation「HD-LAN」シリーズ
初代の反省を活かしてHDD交換が可能になった2代目TeraStation「TS-HTGL/R5」。
ホットスワップに対応した4代目TeraStation「TS-XL/R5」。
今夏に出荷予定のTeraStationの最新機種「TS6000」シリーズでは「スナップショット機能」を備えている。資料提供:株式会社バッファロー
無料で利用できる法人向けNAS管理サービス「キキNavi」も近日スタート。

関根慎一