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触ってきました「RICOH GR III」

見た目そのままフルモデルチェンジの詳細

リコーが2019年春に発売する「RICOH GR III」の試作機を手にする機会があったため、外観写真を中心にお届けする。本機はフォトキナ2018に合わせて9月25日に開発発表され、スペック表と外観が明らかになっていた。イメージセンサーや搭載レンズも含め、一新されている。

リコーイメージングスクエア新宿で12月4日に行われたイベント「GR NIGHT」。写真家と報道関係者が招かれた。
イベントのために用意された、特製ラベルのワイン。
GR IIIの展示は12月4日限りだが、12月5日からは同会場で「GR T-snaps展」を開催。写真家27名の作品を、その場でTシャツにプリントして販売するという趣旨。

GRのイメージを継承

APS-Cセンサー搭載の最新世代であるGR/GR IIに比べて横幅が小さくなり、手の中での存在感は1/1.7型センサーを搭載していた「GR DIGITAL IV」などに近づいた印象。そのほか細かなシェイプやボタン/ダイヤル部材にも変更点は多いが、正面から見れば間違いなく「GRだな」と感じられるもので、正面だけを見れば新機種であることすら気付かれないレベルと言える。

GR III(左)と、従来のAPS-Cセンサー搭載GR(写真は2世代前のモデル)のサイズ比較。
上面。GR IIIは内蔵ストロボがなくなった。
背面。右手親指位置にあった上下ボタンがなくなり、十字キー周囲がホイールになった。
右手親指側の配置。
撮影時のレンズ突出量。

ワイドコンバージョンレンズを用意

別売のGW-4を装着。

従来通り、35mm判換算21mm相当となるワイドコンバージョンレンズを用意。従来品との互換性はなく、新規の「GW-4」(価格未定)というモデルが対応する。マクロモード時の鏡筒繰り出しが従来より長くなったため、そのストロークを確保するためにアダプター部分が長くなっている。

これを取り付けるとカメラの電子接点が自動で認識し、スナップフォーカス時のレンズ駆動量、レンズ光学補正、手ブレ補正が最適化される。ワイコン以外のアクセサリーは「検討中」としていた。

取り付け部。
フードはゴムの伸縮性で固定される。

新たに構成されたメニュー画面

フォトキナでの担当者インタビューで「1から作り直した」「既存のGRユーザーは、若干慣れを要するかも」という話を聞いていたので、その辺りを確認してきた。

メニュー画面。

左側のタブを示すアイコンと、右側の各設定項目が大きく表示されるようになっていた。タッチ操作を取り入れているため、指で押しやすくしたのだろう。スクロールは上下フリック、選択はタップ操作で可能だ。

確かに、お馴染みのGRシリーズだと思って操作しようとすると項目の配置などに違和感があるけれど、「タッチで操作できる」ということを体が覚えれば、すぐに迅速な操作ができそうだ。

GR III(左)のメニューと従来機種。文字が大きくなり、構成も変わった。タブ選択のアイコンが大きくなったのはタッチ操作のためだろう。

また、設定項目の数は(今時のデジタルカメラらしく)それなりに多かったが、項目の名称はどれもわかりやすい言葉に改められていたように思う。メニュー画面をさまよっているだけで視力と気力が消耗してくるようなケースもあるので、GR IIIのやり方は好ましい。

以前のインタビューで聞いた話では、このGR IIIをきっかけとして今後のリコーイメージングのカメラにも同様のコンセプトを展開していくそうだから、他社に与える影響も含めて期待したい。

再生画面

再生画面。左右フリックでの画像送り、ピンチ操作での拡大縮小、ダブルタップでの中央拡大が可能。
DISPボタンで詳細なパラメーターが出る。

撮影画面

タッチAFを試してみた。軽量なコンパクトカメラなので、左手親指でタッチAF、右手で半押し・レリーズという撮り方がスムーズで使いやすい。これまで筆者は基本的に中央1点AFでカメラを振っていたが、GR IIIであればタッチAFでの測距点移動を積極的に使いたい。像面位相差AFによる恩恵か、合焦にも迷いがない。

タッチパネル操作はオン/オフの選択が可能。
タッチAFの機能選択。いわゆるタッチシャッターも可能。

発売までに改善してほしいのは、撮影画面に並ぶ文字とアイコンの小ささだ。画面下に並ぶ露出設定の数字は従来のGRよりも小さく、見づらいと感じた。ファインダー内の見渡しやすさや情報の一覧性を意識してのことであれば、せめて文字が大きいバージョンの表示スタイルも用意してほしい。もっとも、今回展示された個体のファームウェアはVer.0.00だ。本格的にUIを仕上げる前の状態なのかもしれない。

ADJメニューは右側に展開されるが、項目名の表示だけは左上に離れていて、大きな視線移動を求められる。ここにも、まだ美しくなる余地がある。
撮影時/再生時の表示設定。
モニターの明るさと色の調整画面。緻密に調整できる。
ISO感度選択時はホイールで数値を選ぶほか、FnボタンでISOオートのオンオフができる。

メニュー設定項目をチェック

たとえばホワイトバランスを「電球」に設定しても、実際の色は電球によってそれぞれ。その差を色温度の自動調整で吸収(補正)するか、あくまでプリセット値の固定された色温度で撮るかの選択。
ホワイトバランスには「マルチパターンオート」も健在。Fnボタンで微調整。
ノイズリダクション設定。
高感度ノイズ低減のカスタム設定。
ダイナミックレンジ補正はシャドー/ハイライトそれぞれで「オート/弱/中/強/オフ」に調節が可能。
イメージコントロールの詳細設定。コントラストは明部と暗部で独立するなど細かい。
モノクロには調色(従来GRでいう「TE」)のパラメーターもある。
いわゆるカメラ内RAW現像だけでなく、JPEG画像を編集できる機能もあった。
JPEG記録サイズの設定。スマートフォンへの転送を想定して、RAW+小さいJPEGで撮ることもできる。
35mm/50mm相当の画角となるクロップ機能を継承。
SR(Shake Reduction=手ブレ補正)の自動オフ。カメラがしばらく静止していることを認識すると、手ブレ補正が誤作動しないようにSR動作を自動的にオフにするそうだ。
ローパスセレクターは「強/弱/オフ」。センサーシフト式手ブレ補正「SR」の搭載により、手ブレ補正やゴミ取りと共に利用可能となった。
フォーカスモード。これに加えてマルチAFがある。
フォーカスモード「スナップ」時の撮影距離設定。
フォーカスアシスト。エッジ強調はいわゆるピーキング表示で、エッジ抽出はピーキングの線だけが表示されるようなイメージ。
十字キーをショートカットに使うか、測距点移動に使うかの選択。
プログラムAE(Pモード)時のプログラムラインを選べる。
「連動外の自動補正」は、従来の「絞り自動シフト」と同様の機能。

Fnボタンに割り当てられる機能

インターフェースなど

USB Type-C端子を新搭載。急速充電ではないが、汎用性の高い端子になったことを歓迎したい。
Bluetooth設定があった。公開されているスペック表にはなかった機能だ。これで画像の自動転送が実現する。
バッテリーは新規の「DB-110」。従来のDB-60/65とは形状も異なる。

本誌:鈴木誠