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鉄道写真家の中井精也さんが「ゆる鉄画廊」をオープン

作品は1万円から購入可能 オリジナルバッグなどグッズ販売も

鉄道写真家として、もはや説明不要なほどの知名度を誇る中井精也さん。本サイトにもたびたび登場してもらっている中井さんが、さる5月3日、常設のギャラリーである「ゆる鉄画廊」をオープンした。

都電荒川線の三ノ輪橋駅から徒歩3分、銭湯や八百屋、古書店など、昭和を感じさせるジョイフル三の輪商店街内に、昔からあったかのように馴染んでいるギャラリーがあった。

取材に伺った日は中井さんも在廊しており、様々な話を聞くことができた。決してアクセスがいいとは言えないこの商店街を画廊の場所に選んだ理由は、やはり都電荒川線の存在が大きい。

「ここは大正時代から残っている商店街で、空襲なども耐え抜いた頑丈な建物なんです」

ゆる鉄画廊は5月3日にオープンしたばかりだが、すっかり町のアイコンとして近所の人から認知されている様子。外観の写真を撮っている時には、通行人から「中井さんこんにちは」「テレビに出てた人でしょ」と声をかけられ、握手を求められていた。

画廊内で販売されている写真やグッズも個性的で、値段もリーズナブルだ。値札が貼られていない写真は一律1万円(税別)。

ペイント加工された写真額は1万5,000円、額装されたポラロイドフィルム作品は1万円、そのほか中井さんのびっくり顔写真がプリントされた缶バッジなどもあった。

壁に飾られている写真は、そのままレジに持っていけば購入できるので、たまたま来ていたお客さんが突然写真を外して持ち出した様子を見て驚いた。

子どもだけが1,000円で買える写真もあるそうだ。

さまざまなグッズがある中で、特に凝っていたのが鉄道仕様のカバンだ。開封口がタブレット仕様になっており、中から玉を取り出すことができる。「タブレット」と言っても電化製品ではなく、古い鉄道車両で使われるタブレット閉塞機のこと。「自分用に作ったもの」らしいが、販売もされている。在庫僅少ということもあり、鉄道ファンには喉から手が出るほどほしい一品ではないだろうか。

この画廊を開いたのは、中井さんのある熱い想いがあった。それはそのまま画廊のコンセプトにもなっている。

「パリなど海外には写真を売っているお店がいっぱいあって、駅でもみんな写真を買ってるんです。画家が絵を売るように、写真家も写真を販売して暮らしていければいいなと思っているんです」

「僕も以前はWebサイトで5万円、10万円で売っていたのですが、みなさんが自分の部屋に飾る写真を販売したいと考えると、1万円が限界だろうなと思いました。その値段の中で額をつけてプリントして販売しています」

「やっぱり自分の思い入れがあって『これはいいだろう』と思う写真はここにも並んでいるのですが、それが案外売れなかったり、逆に意外な写真が売れたりします。難しいところですね」

他にも中井さんお気に入りのキャラクターが飾られていたりと、鉄道好きもそうでない人も楽しめる要素が満載の「ゆる鉄画廊」。

ギャラリーは期間ごとにテーマ展が開催され、5月24日までは「ゆる鉄の世界へようこそ!展」。5月25日から31日までは「ワールドフォトツアーズ写真展 中国・芭石鉄路」、6月1日から6月17日までは「都電荒川線作品展」だ。

風情ある商店街の中にたたずむ画廊に、ぜひ一度訪れてみてほしい。

中村僚

編集者・ライター。編集プロダクション勤務後、2017年に独立。在職時代にはじめてカメラ書籍を担当し、以来写真にのめり込む。『フォトコンライフ』元編集長、東京カメラ部写真集『人生を変えた1枚。人生を変える1枚。』などを担当。愛機はNikon D500とFUJIFILM X-T10。