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1923年製のライカ試作機が3億円超で落札

カメラの世界最高額を更新 ウィーンのオークションにて

落札された「Leica 0-series no.122」

オーストリアのウィーンで3月10日に行われた第32回ヴェストリヒト・カメラオークションで、カメラとして世界最高額となる240万ユーロ(およそ3億1,500万円)の落札が行われた。

対象は「Leica 0-series no.122」。初代ライカが1925年に発売される前に試作された1台で、通称"ヌル・ライカ"などとも呼ばれている。ヴェストリヒトの発表によると、同種のカメラは25台制作され、現存するオリジナルコンディションのものは3台だという。

開始価格は40万ユーロ。今回出品された個体は1923年当時のオリジナルコンディションが保たれていた点が落札価格上昇のポイントとなった。落札者はアジアの個人コレクター。

独ライカカメラAGの社主であるアンドレアス・カウフマン氏は、「この240万ユーロという世界記録は、ライカブランドの神話が今後ますます発達することを示している」とコメントしている。

これまで世界最高額だったカメラは、2012年に同オークションにて216万ユーロで落札された「Leica 0-series no.116」。今回落札されたものと同じ"ヌル・ライカ"の1台だが、ファインダーの形式が異なる。

"ヌル・ライカ"はライカの始祖と呼ばれる試作機「Ur-Leica」(ウア・ライカ。1914年製作とされる)から製品版のライカ(1925年登場。のちにI型もしくはA型と区別される)にかけて試作されたモデルで、ドイツで量産試作品を指す「Nullserie」「0-serie」(ヌルゼリエ)の直訳と見られる"0-series"、"0型ライカ"などという呼び方でも知られる。ドイツ語でnullは0(ゼロ)、serieはシリーズのこと。

なお、今回落札されたものと同じ"ヌル・ライカ"の1台は、東京・半蔵門の日本カメラ博物館にも収蔵されている。

本誌:鈴木誠