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ソニー、"グローバルシャッター機能"搭載のCMOSセンサーを開発

「画素並列A/D変換」でフォーカルプレーン歪みを解消

開発品のチップ写真。左:接合部断面構造、右上:画素基板、右下:ロジック基板

ソニー株式会社とソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は2月13日、新方式でローリングシャッター歪みを解消したという有効146万画素の裏面照射型CMOSセンサーを開発発表した。

各画素にA/D変換器を持たせる「画素並列A/D変換」の採用により、一般的な「カラムA/D変換」で起こるフォーカルプレーン歪み(画面内の1行ごとに信号を読み出すことでタイミングにズレが生じ、被写体の歪みとなって画像に現れる)を解消したという。

ソニーではこれを「グローバルシャッター機能」と表現。全画素同時に露光したアナログ信号を即座にデジタル変換したあと、デジタルメモリーで信号を一時保持する仕組みになっている。各画素のA/D変換器とデジタルメモリーは、積層型構造で下部チップに配置される。

画素並列A/D変換器によるグローバルシャッター機能を実現したCMOSセンサー(100万画素以上の高感度な裏面照射型)は業界初としている。

フォーカルプレーン歪みは、デジタルカメラでの電子シャッター撮影や、メカシャッターを持たないスマートフォンで動きの速い被写体を撮影すると目立つことが知られている。ソニーではこれまでDRAMメモリーを積層したCMOSセンサーの高速読み出しを活かした「アンチディストーションシャッター」機能で、一般的なCMOSセンサーよりフォーカルプレーン歪みを抑えた電子シャッター撮影を実現。2017年発売の「α9」において、メカシャッターを使わないことによる"高速AF連写+ブラックアウトしないファインダー"のメリットを活かしたミラーレスカメラを製品化してきた。

本誌:鈴木誠