Baby & Kidsのマンネリ写真脱出術

夏本番! と言わんばかりの暑さが続いていますが、みなさんお元気ですか? お子さんたちが夏休みに入って賑やかな毎日を過ごされていることでしょう。

年齢別にBaby & Kidsの写真の撮り方をお送りしていたこの企画ですが、今回は夏休みバージョンとして「水遊びを撮ろう」をテーマに、レンズの画角別に撮影ポイントを取り上げてみたいと思います。毎年同じような写真ばかり撮っている方、この夏はマンネリ写真を脱出しちゃってください!

一番撮りやすい標準画角

絞りは開放で被写体が揺れていてもピントは目に合わせましょう。笑い過ぎて目が無くなっていたらまつ毛にピントを合わせる気持ちで頑張りましょう!

人間の目の画角は35mm判換算で50mmのレンズが近いと言われています。もっと詳細に言うと、ぼーっと前方を見ているときは35mm前後の広角になって、一点を集中して見ると50mmよりも望遠側になります。この普段自分が見ている画角に近い標準画角のレンズは、被写体との距離感が掴みやすいので動き回る子どもを撮るときに一番おススメです。

フルサイズ機でしたらレンズ表記はそのまま50mm、APS-C機でしたら35mmのレンズが一般的な標準画角になります。この標準画角の単焦点レンズをお持ちでしたらぜひ使って頂きたいのですが、砂が舞う海辺のレジャーであまりレンズ交換をしたくないという気持ちもわかりますので、18-55mmのような標準のズームレンズでももちろんOKです。画角はレンズの上部に書いてある数字を見ながら35〜55mmの間で調節するといいでしょう。

まず押さえて欲しいのは、やっぱりアップで楽しそうに遊んでいる写真ですね。浮き輪などに乗せて自分が浜辺側から撮るとカメラの水没も防げます。カメラは両手でしっかりと構えましょう。写真を撮っていないパートナーが浮き輪を軽く支えると転覆の危険や流されてしまう心配がなくなりますし、被写体の揺れも抑えることができます。

遊び始めはまずは波打ち際で軽く体慣らし。少しの波にも逃げているような様子ですがこの後は大胆に水と戯れていました

標準画角で撮りやすいのは実は全身のカットです。レンズの歪みが少ないので四隅に余計なパースがかからず見たままに近い画を撮ることができます。全身を撮るときは手前に波、奥に海の全景を入れるとどんな所に水遊びに行ったかを思い出として残すことができます。この時、カメラは立ったまま構えるのではなく、しゃがんでお子さんのおへその位置とレンズが水平になるような低さで撮影して、雲と空も構図に入れるようにするとより夏らしい写真になります。

100mm前後の望遠画角

波が足にかかるたびに大はしゃぎしている子どもの表情は絶対に残しておきたい1枚ですね

海辺でのレジャーの悩みは、防塵防滴ではないカメラを持って行って水がかかることだったりしますね。そんな悩みは望遠レンズで解消です。100mm前後の望遠レンズなら思いっきり水しぶきをあげられてもカメラがびしょびしょになる可能性は低い! ということで、お子さんには水中よりも水しぶきを上げやすい波打ち際で思いっきり遊んでもらいましょう。

撮影者は子どもよりも沖に行くことになります。遠浅の海でしたら膝下くらいまで水に浸かって、お子さんの前寄り斜めの位置から撮るようにしましょう。水着を着ていること前提ですが、中腰位のなるべく低い位置から撮ると手前の波との距離が近くなるのでキラキラとボカしやすくなります。

にっこり笑っている表情もいいですが、波を受けて思わず目をつぶってしまうようなシーンは逆に目をつぶっている瞬間を狙ってみましょう
体全体を構図に入れようとすると画に動きが無くなるので、手や頭などがフレームアウトする勢いで大胆なフレーミングにしてみましょう

200mm以上の望遠画角

手に持った砂が何もしなくてもハラハラと落ちていくほど風が強かった撮影日。でも子どもはそんな何気ない砂の動きにも興味を惹かれるんですね

200〜300mm位の望遠ですと、お子さんも撮られていることに意識が行きにくいので自然な表情を撮ることができます。たとえば集中して砂遊びをしているところを遠くからこっそりと写すと、子どもらしい高い集中力で遊んでいる姿を捉えることができます。ただ、画角が望遠になるほど手振れも起こりやすくなりますので、しゃがんで自分の膝を一脚代わりにするなどしてしっかりホールドして撮影しましょう。また、お子さんから離れて撮影することになりますので、パートナーがお子さんの傍にいるか、周囲の安全を確認してから撮影しましょう。

それはもう一生懸命に砂を運んでいました! この表情が撮れたのは、撮られていることを意識させない望遠レンズならではです

広角画角

いきなり始まったフライボードに驚いて釘付けに。どんな海に行ったかがわかるような写真も残しておきたいですね

子どもとの水遊びで広角の単焦点レンズまでは必要ないので、ズームレンズの広角側での撮影についてお話しします。この画角で撮って欲しいのはどんな海に行ったかがわかるような風景写真ですが、そこにさりげなく子どもも写し込んでしまいましょう。ただ何気ない海の写真よりも、小さくても子どもの遊んでいる姿が写っているほうが後から見返したときに楽しいことは間違いありません。

絞りはF5.6〜F8位を基準に調節しましょう。ピントは写し込んでいる子どもに合わせます。構図としては黄金分割の交点のどこかに子どもを配置するとおさまりがよくなります。ピクチャーコントロールなどの画づくり設定は子どもを撮るときは「ポートレート」がおススメですが、風景の割合が多いこの場合は「風景」に設定するとより鮮やかな色合いになるのでぜひ試してみてください。

奥の水平線は水平に、手前の波は斜めになるような構図にすると写真として安定します。水平線の位置は画面内に空の青さの割合を増やしたかったのであまり上にせず、中央よりも少しだけ上にしました

いかがでしたか? デジタル一眼レフで海辺での撮影というと腰が重くなる方はいらっしゃると思いますが、レンズ交換式だからこそ撮れるレンズの特性を活かした写真はとても沢山あります。今年は防水コンデジだけでなく、デジタル一眼レフカメラも水遊びに一緒に連れて行ってくださいね!

使用機材:ニコンD5500

(2015/8/3)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com