ロモグラフィーのLC-Aが中判カメラになった!

Lomography LC-A 120実写レビュー

コンパクトなボディ、そしてLC-A+の楽しさと機能はそのままに、120フィルムが使える中判カメラとして誕生したのがLC-A 120です。

LC-A+(右)をそのままノッポにしたような風貌のLC-A 120(左)

レンズは38mm f/4.5 Minigon XL。マルチコーティングの施されたガラス製で、35mm判換算で約21mm相当の超広角レンズです。

現在、全世界で500台のプレオーダーを受け付け中となっています。

中判カメラって……?

 中判カメラとは、120フィルムというロールフィルムを使うカメラのこと。ブローニーフィルムとも呼ばれます。

 LC-A+で使う35mmフィルムに比べ、約4倍のフィルム面積があるため、その分、情報量たっぷりの写真になります。

35mmフィルムを使うLC-A+(右)同様に、とても軽くて薄いので、普段使っているバッグにも気軽に入れられます。

 中判カメラは、カメラごとにそれぞれ撮れる写真のフォーマットが違い、6×4.5、6×6、6×7、6×9、6×12などの縦横比があり、フォーマットによって、1本のフィルムで撮影できる枚数が異なってきます。

 LC-A 120は6×6、つまりスクエアフォーマットの写真を撮ることができます。デジタルカメラのアスペクト比でいう1:1です。120フィルムで約12枚の写真を撮ることができます。

シンプルで迷うことなく操作できるボディ

 LC-A+を使っている人なら、ボディの操作感はほぼ変わりありません。とてもシンプルな作りとなっており、初めて使う人も操作に迷うことはないでしょう。

 ただ。中判カメラの場合、フィルムが35mmのようにパトローネに収まっていないため、フィルムの装填には多少の慣れが必要かもしれません。

カメラの左側にあるレバーで裏蓋を開け、フィルムを装填します。フィルムの先端を右側にあるスプールに差し込み、右上にあるダイヤルを回します。
120フィルムは、フィルムの外側に紙が巻かれているので、この紙に「START」などそれに準じる言葉や記号が記載されています(スタートマークといいます)。その矢印を、カメラの裏蓋を開けた中央部にある目印に合わせて、裏蓋を閉じ、フィルムカウンターが「1」になるまでさらにダイヤルを回します。
中央にあるのが、フィルム巻き上げダイヤル。左にあるのがフィルムカウンターで、撮影枚数が表示されます。その奥にある銀色のボタンがシャッターボタンです。シャッターボタンには、ケーブルレリーズ(付属)を装着できます。シャッターボタンの右にある「MX」は多重露光スイッチ。このレバーを下げると、同じコマで何度でもシャッターを切ることができます。
小さな窓に見えている数字は、フィルムのISO感度です。装填したフィルムのISO感度の数値が表示されるまで、ダイヤルを回します。設定できる感度はISO100-1600となっています。
LC-A 120はゾーンフォーカス方式となっており、上から0.6m、1m、2.5m、無限となっています。撮影時に被写体との距離を見て適宜設定します。
カメラの底部には、三脚穴もあります。スタンダードな1/4インチサイズですので、さまざまな三脚に装着が可能です。暗い場所での撮影や、多重露光時にはぜひ三脚を利用しましょう。
ホットシューもあります。フラッシュを接続して撮影することが可能です。

手持ちでサクサクスナップできるコンパクト中判カメラ

 中判カメラとは思えないくらい、薄くて軽いので、手持ちで気軽にスナップ撮影を楽しめます。また、35mmカメラ換算で21mm相当という超広角レンズは、広い景色をそのまま収めることができるので、旅先などでも楽しめそうです。

撮影時には、レンズカバーを下方向にスライドさせます。レンズカバーを閉じている状態ではシャッターが切れないようになっているのも安心です。

 最短撮影距離は60cm。気になる被写体にはどんどん近づいて撮影してみて下さい。

 ピントはゾーンフォーカス式。明るさに応じて、絞りはf/4.5-16まで、シャッタースピードは最高1/500秒までの間で自動的に調整されます。

21mm相当の画角となる超広角レンズは、肉眼ではあまりはっきり見えていないところまで写してくれます。スケール感のある広々とした風景写真が撮れます。
レンズはガラス製で、ピントの合った部分はシャープに、それ以外は超広角ながらも、ゆるやかにボケていきます(絞り値により変化)。ロモならではの“トンネル効果”は、中判カメラでも健在です。

 暗い場所では、シャッタースピードが遅くなりますので、三脚やレリーズを利用して、長時間露光(任意の秒数には設定できません)を楽しむといいでしょう。

 「MX」スイッチを利用すれば、多重露光もできます。このスイッチを入れている間は、何度でも同じコマ上でシャッターを切ることができますが、露出補正など細かな設定はできないため、オーバーになり過ぎないよう、被写体の明るさを考慮に入れて重ねる枚数を決めましょう。

街のなかにいた、大きなうさぎのオブジェ。顔にグっと近付いて撮影しました。ふさふさの毛や、赤いリボンのモコモコ感がとてもよく出ています。
クリスマスツリーの根元に並んでいた飾りに、ツリーが反射してキレイだったので、撮った一枚。中央のピントの合った部分はツリーの写り込みもシャープに写っており、前後のなだらかなボケがきれいです。
露出はカメラ側で自動的に設定してくれるので、暗い場所ではシャッター速度が遅くなり、長秒露光となります。だいぶ陽が傾き、暗かったので、三脚にレリーズを装着して撮影しました。
MXスイッチを入れ、多重露光しました。レンズが21mmと広角なので、テーブルフォト的な小さな被写体を重ねるよりも、景色と人、景色と景色など、その画角を生かした被写体を選ぶとより楽しめます。

どんどん外に持ち出して撮影したくなるカメラ

中判カメラは、大きく、重いものが多いなか、小型軽量で片手でも撮影できてしまうLC-A 120は、普段使いの中判カメラにピッタリです。

21mmというワイドアングルで、旅先での撮影や、友人との記念撮影にも重宝します。
いつもバッグに入れて、日常を、そして旅先などでも、どんどん撮影したくなるカメラです。

現在、ロモグラフィで限定500台の受注を受け付け中。気になる方はこの機会にぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。

(2014/12/15)
笠井里香
出版社の編集者として、メカニカルカメラのムック編集、ライティング、『旅するカメラ(渡部さとる)』、『旅、ときどきライカ(稲垣徳文)』など、多数の書籍編集に携わる。2008年、出産と同時に独立。現在は、カメラ関連の雑誌、書籍、ウェブサイトを中心に編集、ライティング、撮影を務める。渡部さとる氏のworkshop2B/42期、平間至氏のフォトスタンダード/1期に参加。