雄大な風景に感動! 古いレンズ1本で撮ったアメリカ・アリゾナ州撮影記

Leica M9と共にアメリカのアリゾナへと旅立ちました。レンズはJUPITER-12 35mm F2.8。雄大なアメリカを撮影するには、もう少し広角がいいかなぁっと思いながらも35mm一本で出かけました。

ほとんど旅に持っていくレンズは一本。一つの画角を頭の中に入れて、被写体を探すが好きだからです。

今回のレンズはJUPITERという旧ソ連のオールドレンズを持っていきました。1958年頃に作られたレンズだそうです。描写がシャープなので、このレンズを持っていくことに決めました。


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ラスベガス→フラッグスタッフ→カエンタ

成田からロサンゼルスまで飛行機で約10時間。それから国内線に乗り換えて、ラスベガスへ。1日目は移動日。そのままラスベガスに一泊しました。レンタカーでラスベガスからルート66を通り、アリゾナ北部に位置するモニュメントバレーを目指しました。

ラスベガスを南東に進んだところにある町、キングマンから約160マイル離れたフラッグスタッフまでルート66を走りました。

ルート66は高速道路の発達を理由に1985年に廃線となってしまいましたが、今まで映画や音楽など、たくさんの文化がルート66を中心として生まれてきました。特に、映画のワンシーンに映るルート66には強い印象が残っています。そんなルート66を楽しみにしていました。

車を停めてスナップをしていると、こんな被写体を見つけました。

古くて、もう動かない車。そして、近づいて写真を撮っていると、フロントガラスには銃弾の跡。

いつ何があったのかなぁ。なんて考えながらシャッターを押しました。
見過ごしてしまうようなことも、写真を撮っていると、いろんな発見があります。それも旅スナップの楽しさかもしれません。

ルート66を抜けて、フラッグスタッフから北東へ約160マイル進むとカエンタという町が見えてきます。

ラスベガスから車を走らせて、約420マイル。寄り道をしながら移動したものあって、カエンタに到着する頃には真っ暗になっていました。ここまで来ると、もうモニュメントバレーはすぐそこです。

カエンタ→アガスラピーク→モニュメントバレー

翌朝、早速モニュメントバレーへ向かいました。

モニュメントバレー入口にアガスラピーク(Agathla Peak)と呼ばれる大きな岩山が地平線の先に見えてきます。見渡す限りどこまでも続く地平線が360度に広がっていました。

さらに岩山へ近づくと、野生の子犬に出会いました。生まれたばかりなのか、まだ小さな2匹。でもアリゾナを背景に生きる姿はたくましくも見えました。

そして、ついにモニュメントバレーに到着。赤土の大地に大きな岩山が並び、まるで地球とは違う他の星に着陸したような気持ちになりました。

岩山は風化と浸食によって、長い年月かけて今の形になったようです。今でも風化は進んでいて、またきっと月日を経て、形が変わっていくのだと思います。

さっきまで晴れていたのに、急に天気が悪くなり、風が強くなり始めました。空を早く流れていく雲や霧のように細かく舞う砂、そして遠くの方で降っている雨がとても幻想的でした。

粉のような砂嵐のおかげで、目を開けているのもやっとでしたが、夢中で写真を撮りました。

この日は早めに寝て、次の日は夜明けから撮影することになりました。朝1時に起きて。再度モニュメントバレーへ。

(ふたたび)モニュメントバレー

昨日訪れた場所と同じはずなのに、時間帯が違うだけでぜんぜん違う場所みたいです。空を見た瞬間「星ってこんなに多いんだ」と呟いてしまうくらい、空一面が星で埋め尽くされていました。

ぼーっと星を眺めていたら、少しずつ辺りが明るくなり始めました。

そして、夜が明けます。

どんなに耳をすましても、辺りからは何も聞こえません。本当に静かな静かな夜明けでした。

すーっと太陽が上がっていき、徐々に赤い大地を照らしていきます。

真っ暗だった世界から、岩山や木々が現れ、空も青みを増してきました。

この日見た朝焼けはとても神秘的で、大自然の力強さを感じました。こんなに素晴らしい「朝」を見たのは初めてかもしれません。昨日の嵐とは打って変わって、今日のモニュメントバレーは静かでゆっくりとした時間が流れていました。

そして、これがモニュメントバレーで撮影した一番印象に残っている写真です。
帰り道を探している途中、迷って偶然見つけたビューポイントです。

ただ目の前にあるのは広がる地平線。

ここはまた訪れたい場所の一つになりました。

ラスベガス→ロサンゼルス→サンタモニカ

帰りはルート66を通らず、高速道路を通りラスベガスへ。そして、国内線を利用し、ロサンゼルスへ。

そして、最後はサンタモニカ。ルート66はシカゴとサンタモニカをつないでいます。End of Route 66がこの旅の終わりになりました。

アメリカは想像していた以上に雄大で、見るものすべてに感動してしまいました。次はルート66をサンタモニカからシカゴまで撮影してみたいです。きっといろんな表情のアメリカを見ることができることでしょう。

(2013/7/3)
コムロミホ
文化服装学院でファッションを学び、ファッションの道へ。傍らモデルとしても活動。撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。現在、人物を中心として広告や雑誌等で撮影をする一方、カメラ専門誌等で海外、国内で街スナップを撮り歩いている。