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●コストパフォーマンスと機能のバランスはピカイチ
キヤノン「EOS 40D」 / 小山安博

EOS 40D
 2007年もいろいろなデジタルカメラが登場して、いろいろと目移りをした1年だった。そんな中で今年はEOS 40Dを購入。実際に使ってみて感じたことを振り返ってみたい。

 もともと筆者はキヤノンユーザーであったため、レンズ資産の関係上、デジタル一眼レフはキヤノンをメインで使っている。キヤノンのデジタル一眼レフカメラといえば、プロ向けから初心者向けまでラインナップがそろっているが、その中で、筆者の用途としてはEOS 40Dクラスがちょうどいい。

 というわけで、EOS 40Dの登場に合わせて購入したのだが、当時購入を悩んでいたのがオリンパスのE-410。なんといってもその小ささが筆者の心を引きつけた。E-410で悩ましいのが、ボディ内手ブレ補正がないという点。兄弟機のE-510には内蔵されているが、E-410は小型化を優先したため手ブレ補正が搭載されなかった。

 小ささとボディ内手ブレ補正。どちらを優先するかというと、(筆者としては)確実に小ささを選択するのだが、それでもオリンパスならばE-410サイズでボディ内手ブレ補正を入れてくれるのではないかという期待があったため、ひとまず既存の「E-330」で我慢することにした、というのが正直なところ。普段であれば待つまでもなく購入していたのだが、今年はちょっと特殊事情があってあきらめた。


意外に使いやすい「24-105mm F4 L」

 さて、そうした中でもEOS 40Dを選んだのは、ライブビューへの期待があったからだ。今年のデジタル一眼レフのトレンドといえば、やはりフルタイムライブビューだろう。「FinePix S3 Pro」や「EOS 20Da」とは異なる、常用できるライブビューの元祖といえばオリンパスのE-330だが、当初はややキワモノ的な扱いをされていたようにも思う。

 それが今年後半、買収騒ぎで新製品が出なかったペンタックスと、ソニーを除き各社がライブビューを搭載。キヤノンも「EOS-1D Mark III」に続いてEOS 40Dでライブビューを採用した。もちろん、ほかのメーカーのライブビューも興味はあるが、今回は環境が整っているキヤノンを第一希望にした、というのが実際のところだ。

 キヤノンのライブビュー搭載デジタル一眼というとEOS-1Dシリーズもあるが、個人的には焦点距離がレンズ表記の約1.6倍となるAPS-Cサイズが仕事で使いやすい。筆者は取材記者としてよく出歩いている関係上、取材席から微妙に離れた壇上で話す人を撮る機会が多い。そうなると望遠レンズが有利だが、登壇者のプレゼンテーションのスライドも撮るので、ある程度ワイド側も必要となる。レンズ交換という手もあるが、取材内容をその場でPCを使ってまとめながらなので、レンズ交換を最小限にするために、たいてい「EF 24-105mm F4 L IS USM」を使っている。

 40Dだと、焦点距離がレンズ表記の1.6倍になるので、EF 24-105mm F4 L IS USMの場合、35mm判換算で約38~168mmとなり、個人的には使いやすい焦点距離になる。取材場所はやや暗い場所が多いので、光学式手ブレ補正付きというのもありがたい。


完成度の高いライブビュー

 というわけで、購入後は取材、ブツ撮り、プライベートと実際に使ってみて、1番の目的であったEOS 40Dのライブビューが意外に使いやすい、というのが感想だ。MFのピント合わせもやりやすいし、グリッド表示も使いやすい。撮影のたびにミラーがばたばたするということもなく、全体的に完成度は高いと思う。

 ライブビューとしてはE-330の方が機能は上ではあるものの、E-330はライブビュー用のセンサーも搭載するちょっと特殊なカメラということもあったので、おおむねEOS 40Dのライブビューには満足している。環境が整っているキヤノン製のカメラで使えるので、レビュー時のブツ撮りでは大活躍してくれた。個人的には、この1点だけでも購入した価値があったと思う。

 ほかにもダストリダクション機能も追加されているし、液晶モニターも3型と大きく、操作性も悪くはない。コストパフォーマンスと機能のバランスはピカイチというのがEOS 40Dの評価だ。

 もっとも、EOS 40Dはあくまで「仕事のツール」だと思う。奇抜なアイデアや独特の魅力という意味では物足りない部分も感じる。遊び心が少ないものの、仕事で使うにはほとんど問題を感じないし、プライベートで使っていても特に不満はない。ただ、感覚的な部分でちょっと物足りないと感じるのだ。無い物ねだりという印象もあるが、こうした感覚の部分でどきっとするようなキヤノン製のデジタル一眼レフを使ってみたいと思っている。


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小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2007/12/25 12:22
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