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【新製品レビュー】キヤノン「PowerShot SX200 IS」

〜初心者から写真好きまで楽しめる12倍ズーム機
Reported by 藤井智弘

PowerShot SX200 IS(ボルドーレッド)
 キヤノンのコンパクトデジタルカメラ「PowerShot」シリーズの高倍率ズーム搭載機だ。これまではレンズが大きく突き出たいわゆる高倍率機のスタイルが主流だったが、「PowerShot SX200 IS」は「PowerShot SX100 IS」に引き続き、通常のコンパクトデジタルカメラの形状だ。ボディカラーはウォームブラックとボルドーレッドがある。

 PowerShot SX200 ISの最も大きな特徴であるズームレンズは12倍。また撮像素子は1/2.3型CCDによる、有効約1,210万画素。本体の重量は約220g。数字だけ見れば軽そうだが、実際手にすると意外にずっしりした重さを感じる。カメラをホールドすると、大柄なレンズと3型液晶モニターのせいか、左側に重量が偏った印象だ。本体上面にはシャッターボタンと同軸にズームレバー、そしてモードダイヤルと電源ボタンが並ぶ。モードダイヤルは大きくとても扱いやすい。反面、電源ボタンは小さい。やや押しづらいと感じたこともあった。ボタンの位置も、もっとシャッターボタン寄りの方が使い勝手が良いだろう。






リトラクタブルライトのような内蔵ストロボ

 正面から見ると、シンプルなデザイン。ただレンズ部分が大きくて目立つ。電源を入れるとレンズバリアが開き、鏡筒が伸びてくるのと共に格納されていたストロボが起ち上がる。これはストロボを使用する、しないに関わらず、電源をオンにすると必ず起ち上がる。まるでかつてスポーツカーで一世を風靡したリトラクタブル・ヘッドライトのようだ。実際の使用では特に邪魔にはならなかったが、ストロボ撮影をしないのに電源をオンにする度に起き上がるのは、何となく効率が悪いような気もする。とはいえ、眺めていると結構楽しい。なおこのストロボは、電源オフにすると自動で格納される。


電源OFF時。ストロボは格納されている 電源をONにするとストロボがポップアップする。電源OFFと同時に自動で格納する

 背面のボタンは、それぞれ小さすぎることもなく押しやすい。また十字ボタンの周囲はコントローラーホイールになっていて、露出補正や絞り値設定、メニュー画面のスクロールなどが行なえる。一眼レフカメラ「EOS」のサブ電子ダイヤルに近い。EOSユーザーなら馴染みやすいはずだ。ただEOSのサブ電子ダイヤルとは異なり、回転させてもクリックがない。これを気にするか気にしないかは個人の好みになるが、筆者自身は軽いクリック感があると、より使いやすくなるように感じた。


背面のボタン。十字キーの周囲にはコントローラーホイール(回転ダイヤル)を備える 露出補正の表示。コントローラーホイールを回して設定する

 ワイド側からズームレバーを回すと、鏡胴が伸びて望遠になる。ただ伸び量は少なく、ズーム比が12倍もあるとは思えないほど。ズーミングの速度はゆっくり。12倍もあるので、ある程度遅い方がフレーミングしやすい。しかし、とっさにワイドからテレにした時、ややイライラすることがあった。ずっとズームレバーを回していると、ズーミングの速度がアップする機能があると便利なのだが……。

 3型の液晶モニターはとても見やすい。直射日光下で液晶モニターの輝度を上げるLCDブースターを採用しているので、晴天の屋外でも視認性は良好だった。


広角端時 望遠端にしたところ

初心者にうれしいシーン自動判別機能を新搭載

 PowerShot SX200 ISでは、カメラを向けるだけでシーンを自動判断する「こだわりオート」を新搭載した。従来からの「フェイスキャッチテクノロジー」や「モーションキャッチテクノロジー」、「ノイズリダクションテクノロジー」に、新たに「シーンキャッチテクノロジー」を追加。4つの技術が連動して働くのが「こだわりオート」だ。設定は、モードダイヤルをハートのマークに合わせるだけだ。

 こだわりオートでは被写体を18のシーンに分類し、それをカメラが自動判断する。例えば被写体は人物なのか、花などの接写なのか、また背景は明るくしかも逆光なのか、それとも青空の順光なのか、などだ。さらに被写体が動いているのを感知すれば、自動で被写体ブレを抑えるように設定。誰でも簡単に美しい写真が撮れる。

 実際にこだわりオートに設定し、カメラを人物に向けると確かに顔認識が作動し、遠景では通常の撮影モードになる。「この場合は、カメラの設定はどうすればいいのか?」と悩む必要はない。言うまでもないだろうが、こだわりオートのようなシーン認識機能は、初心者やカメラに詳しくない人に向いている。カメラに詳しくない人は、撮影する時にその状況に最も合った設定を導き出すのが非常に難しい。だがシーン認識なら完全にカメラ任せ。マクロモードを知らないために、接写ができなくて困った、ということもないのだ。

 PowerShot SX200 ISには、ほかにもシャドー部を明るくする「暗部補正」機能や0cmまで寄れるスーパーマクロなど多彩な機能を持つ。暗部補正は、撮影時は「切」と「自動」のみ。再生時に「強」「中」「弱」が選択できる。自動に設定すると、輝度差がある条件でかなり効く。ただハイライト部も明るくなる傾向があり、全体的にオーバーになりやすいのが気になった。撮影時にいちいち確認しながら撮影できない状況では、再生時に調整する方がおすすめだ。

 撮影モードはプログラムAEのほか、シャッター速度優先AEや絞り優先AE、マニュアル露出も可能。このクラスのコンパクトに本格的な撮影モードが必要かどうかは一概に言えないが、写真を知っている人には楽しいだろう。撮像素子の小さなコンパクトデジタルカメラはボケを生かすのが難しいが、テレ側336mm相当で被写体に近づけば、さすがに背景はボケる。絞り優先AEで被写界深度のコントロールが可能だ。またシャッター速度優先AEでブレ量を調整したり、マニュアル露出で撮影者のイメージを強調したり、さまざまな使い方ができる。


撮影時の液晶表示。ズーミングすると、画面上にズームの位置を示すバーが表示。最短撮影距離も確認できる ガイド機能を装備し、設定を変更するとそれについての説明が表示できる。初心者には嬉しい配慮だ

マニュアル露出では、画面右下に露出インジケーターが現れる

28〜336mm相当のレンズで旅にビッタリ

電源はリチウムイオン充電池
 画質は高倍率モデルながら解像力が高い。ワイド側とテレ側の画質の差もあまりないようだ。またディストーションが少ないのも好感が持てた。全体的にやや柔らかい印象の写りで、ハイライトが飛びやすいようにも感じるが、12倍ズームのコンパクトと考えれば優秀と言えるだろう。

 高感度ノイズは、ノイズリダクションの効果が高い。ピクセル等倍で見ればISO200からノイズを消しているような跡が感じられるが、ISO1600の画像をA4サイズにプリントしてみても、滑らかさは落ちるものの十分鑑賞できるレベルだった。実用上はどの感度でもノイズをあまり気にすることなく写真が楽しめるだろう。


ボディ背面のイージープリントボタンには、よく使用する機能を割り当てられる
 コンパクトなボディに本格的広角の28mm相当から超望遠に迫る336mm相当の光学12倍ズームを搭載し、光学式手ブレ補正も内蔵。初心者でも「こだわりオート」で手軽に写真が撮れる。しかも多彩な撮影モードや自分好みの仕上がりが得られるマイカラーも持つなど、機能も豊富。さらに1280×720ピクセル30fpsのHD動画も撮れる。

 PowerShot SX200 ISは初めてデジタルカメラを持つ人にも、すでに一眼レフで本格的に写真を撮っている人にも、幅広く楽しめるカメラだ。今は行楽シーズン真っ盛り。旅行の記録にピッタリだ。日常のスナップや行事など、様々なシーンで活躍できる。


●再生時の表示

 レビュー情報を「非表示」にすると、撮影直後のレビュー時には撮影画像全体が表示されるだけ。


レビュー情報:非表示 「非表示」の再生画面

 「詳細表示」にすると、撮影データやヒストグラムが表示され、画像の状態が確認できる。


レビュー情報:詳細表示 「詳細表示」の再生画面

 「ピント確認」では、ピントを合わせた部分が拡大され、ピントやブレが確認できる。


レビュー情報:ピント確認 「ピント確認」再生画面

 

●作例

※サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウインドウで表示します。


画角


広角端(28mm相当)
4,000x3,000 / 1/200秒 / F7 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 5mm
望遠端(336mm相当)
4,000x3,000 / 1/200秒 / F7 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 60mm

暗部補正

撮影時の暗部補正の設定は「切」か「自動」のみ

暗部補正「切」で撮影。手前の明るい部分に露出が合っているため、椅子の背もたれやボトルはアンダーだ
3,000x4,000 / 1/25秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / マニュアル露出 / WB:オート / 17.5mm
暗部補正を「自動」にすると、シャドーも明るくなった
3,000x4,000 / 1/25秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / マニュアル露出 / WB:オート / 17.5mm

スーパーマクロ

スーパーマクロにすると、被写体からレンズ先端までの距離は1cmを切るほど接近できる 小さな花も、スーパーマクロで画面からはみ出るほど大きく撮影できた
4,000x3,000 / 1/60秒 / F3.4 / +0.3EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 5mm

ISO感度

ISO80
4,000x3,000 / 1/15秒 / F8 / -0.7EV / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm

ISO100
4,000x3,000 / 1/20秒 / F8 / -0.7EV / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm

ISO200
4,000x3,000 / 1/50秒 / F8 / -0.7EV / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm


ISO400
4,000x3,000 / 1/100秒 / F8 / -0.7EV / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm

ISO800
4,000x3,000 / 1/160秒 / F8 / -0.7EV / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm

ISO1600
4,000x3,000 / 1/400秒 / F8 / -0.7EV / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm


マイカラー

※共通設定:4,000×3,000 / 1/320秒 / F5 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 39.7mm


マイカラー切 くっきりカラー すっきりカラー

セピア 白黒 ポジフィルムカラー

色白肌 褐色肌 あざやかブルー

あざやかグリーン あざやかレッド カスタムカラー(シャープ、コントラスト、彩度をそれぞれ+2に設定)

一般作例

4,000x3,000 / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 5mm

4,000x3,000 / 1/160秒 / F4 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 5mm


4,000x3,000 / 1/400秒 / F4 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 5mm

4,000x3,000 / 1/160秒 / F5.3 / -0.3EV / ISO80 / プログラム / WB:太陽光 / 60mm


4,000x3,000 / 1/80秒 / F5.3 / -0.3EV / ISO80 / プログラム / WB:太陽光 / 60mm

4,000x3,000 / 1/80秒 / F4 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 7.3mm


4,000x3,000 / 1/13秒 / F5.3 / -1EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 60mm

3,000x4,000 / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 5mm


3,000x4,000 / 1/200秒 / F4 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 13.3mm

3,000x4,000 / 1/60秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 18.3mm


3,000x4,000 / 1/30秒 / F6.3 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 5mm

3,000x4,000 / 1/30秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 26mm


4,000x3,000 / 1/500秒 / F5.3 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 60mm

4,000x3,000 / 1/60秒 / F4.5 / -1EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 24mm


4,000x3,000 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / マニュアル露出 / WB:太陽光 / 7.3mm

3,000x4,000 / 1/50秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO80 / プログラム / WB:太陽光 / 21.8mm



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/cgi-bin/camera/dcam/spec.cgi?pr=pssx200is

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藤井智弘
(ふじいともひろ)1968年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年、コニカプラザで写真展「PEOPLE」を開催後フリー写真家になる。現在はカメラ雑誌での撮影、執筆を中心に、国内や海外の街のスナップを撮影。社団法人日本写真家協会会員。ホームページはhttp://www.fujiitomohiro.com/

2009/05/14 01:23
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