デジカメ Watch

“フルサイズデジタル一眼”を比較する(機能編)

Reported by 大浦タケシ


 2008年はかつて類を見ないほど実にさまざまなデジタル一眼レフが発表、発売された年であった。なかでも際立ったものとして、キヤノン、ニコン、ソニーからフルサイズフォーマットのカメラがリリースされ、それまでよりも選択肢がぐんと広がったことが挙げられる。

 あらためて述べるまでもないが、フルサイズのメリットは、フィルム時代からのユーザーであれば焦点距離と画角の関係をそのまま活かすことができる。50mmのレンズはデジタル一眼レフでも掛け値なしの50mmとして使えるほか、小さなセンサーサイズ専用の広角レンズを新たに用意しなくて済むのもよい。また、イメージセンサーの面積が広いので、フォトダイオードの大きさや画素数の面からたいへん有利である。レンズの真価がシビアに問われることもあるが、何かとメリットの多いフォーマットといえる。

 2008年にリリースが開始されたフルサイズデジタル一眼レフは4機種。キヤノンEOS 5D Mark II、ソニーα900、ニコンD3XおよびD700である。今回はD3Xを除くミドルレンジに属する3機種をピックアップし、それぞれの特徴を私なりの観点であらためて見いだしていくことにする。


3機種の主な仕様
  α900 D700 EOS 5D Mark II
有効画素数 約2,460万 約1,210万 約2,110万
ISO感度 常用 ISO200〜3200 ISO200〜6400 ISO100〜6400
拡張 ISO100〜6400 ISO100〜25600 ISO50〜25600
ファインダー 視野率 約100% 約95% 約98%
倍率 約0.74倍 約0.72倍 約0.71倍
アイポイント 約20mm 18mm 約21mm
スクリーン交換
最高シャッター速度 1/8,000秒
連写速度(本体のみ) 約5コマ/秒 約3.9コマ/秒
測距点数(アシスト除く) 9 51 9
内蔵ストロボ
液晶モニター サイズ 3型
ドット数 92万ドット
記録メディア CF、メモリースティックデュオ CF
本体サイズ 約156.3mm 約147mm 約152mm
奥行き 約81.9mm 約77mm 約75mm
高さ 約116.9mm 約123mm 約113.5mm
本体重量 約850g 約995g 約810g


カメラらしいフォルムのα900とD700

 各カメラの大きさ・重さを見てみると、EOS 5D Mark IIは152×75×113.5mm(幅×高さ×奥行き・以下同)で約810g(バッテリー除く・以下同)、α900は156.3×81.9×116.9mmで約850g、D700は147×77×123mmで約995gとなる。

 視覚的な大きさではD700≧α900>EOS 5D Mark IIで、3台並べるとEOS 5D Mark IIが一回り小さく見える。これはボディフォルムの影響が大きく、やや角張ったα900およびD700に対し随分と丸みを帯びたものであるからだ。

 同様にデザインテイストにも強く影響しており、カメラらしいメカっぽさが感じられるのはα900およびD700で、押しの強いデザインはマニア受けしそうである。一方、EOS 5D Mark IIはデザイン的にシンプルで、ほかの2台と比較するとメカとしてのイメージは弱い。



    α900 D700 EOS 5D Mark II

    α900 D700 EOS 5D Mark II

    α900 D700 EOS 5D Mark II

    α900 D700 EOS 5D Mark II

    α900 D700 EOS 5D Mark II


 重量についてはいうまでもなくD700の重さが圧倒的。これにAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G EDを装着すると、とてもではないがスナップのような撮影ではご勘弁願いたいほどである。ほかの2機種も含めて願わくなら700g台であるとハンドリングはぐっと楽になる。

 グリップは、握ると細く深く感じるのがα900、反対に太く浅く感じられるのがEOS 5D Mark II、D700はα900に近い感じとなる。好みがあるので甲乙は付けられないが、個人的にはα900もしくはD700が好ましく感じられた。


使い易い「サブ電子ダイヤル」

 操作系を見てみることにしよう。ボタン、レバー類は3機種ともそれぞれ同じメーカーのほかの機種に準じたものである。電源のON/OFFボタンは、EOS 5D Mark IIはカメラ背面下部、α900は同じく背面部ファインダーアイピースの左側、D700はシャッターボタンを囲むリング部となる。カメラを構えたまま操作しやすいのはD700となるが、視認性自体はいずれも高い。

 4方向操作を行なういわゆる“十字キー”は、α900とD700は比較的大きいもので、EOS 5D Mark IIは小振りなものが備わる。EOS 5D Mark IIはサブ電子ダイヤルとその中央のSETボタンでも十字キー同様の働きをするため、設定によっては、ユーザーは使い勝手のよいほうを自由に選ぶことができる。

 ジョイステックタイプであるα900のものはレバーを上下左右にグリグリと回しメニューや設定などの選択を行い、押し込むことで決定となる。操作感に節度があり使い勝手も良好だ。D700も操作性はα900に近いものだが、やや動きが緩慢に感じられるのは惜しいところ。


    いわゆる十字キーは、EOS 5D Mark IIがマルチコントローラー、α900とD700がマルチセレクターと呼ばれる。使い勝手はそれぞれだが、特に具合がよかったのがα900のジョイスティックタイプのもの。節度のある操作感を誇る。


    α900 D700 EOS 5D Mark II


 コマンドダイヤルは3機種とも前後に備える。秀逸に感じられるのはEOS 5D Mark IIの背面サブ電子ダイヤルだろう。キヤノンのミドルレンジ以上の機種に採用されているもので、ファインダーを覗いているときもメニューの設定も操作しやすい。D700はニコンの伝統というべき回転操作がほかの2機種とは反対方向となる。慣れの問題ではあるが、ニコン以外のメーカーから乗り換えた際は戸惑うこともありそうである。ちなみにカスタムメニューでEOS 5D Mark IIやα900などと同じ一般的な回転方向に設定も可能としている。

 露出補正の操作はα900とD700はカメラ上部にある露出補正ボタンを押しながらコマンドダイヤルで設定、EOS 5D Mark IIは背面のサブ電子ダイヤルを回転させるだけだ。操作性がよいのは、もちろんボタンを押す必要のない後者。直感的に素早く露出補正の設定が完了する。しかしながら、α900およびD700ともEOS 5D Mark IIのように、コマンドダイヤルの操作のみで露出補正ができるように設定することも可能である。


    露出補正は露出補正ボタンを押しながらコマンドダイヤルを回すα900とD700、背面のサブ電子ダイヤルを回すだけで露出補正が可能なEOS 5D Mark IIとなる。操作性がよいのはもちろんEOS 5D Mark IIだが、ほかの2機種もコマンドダイヤルを回すのみで補正ができるようカスタムメニューなどで設定できる。


    α900 D700 EOS 5D Mark II


 AEブラケットは、EOS 5D Mark IIは撮影メニューから、α900はドライブモードボタンで、D700はFnボタンで設定を行なう。EOS 5D Mark IIとα900は+側と−側1枚ずつの計3枚の撮影となるが、D700では最大9枚まで撮影が可能。シビアな状況での撮影では重宝しそうだ。

 ホワイトバランスブラケットは、EOS 5D Mark IIとα900は撮影メニューから設定を行なうことができるが、D700は一旦Fnボタンの機能の割り当てを変更しなければならない。人によっては使うことの少ない機能ではあるが、ちょっと面倒に感じるところだ。


    AF-ONボタンは3機種ともカメラを構えたときちょうど親指のところにくる。こちらのほうはD700が最も押しやすく、さすがはD3の直系といえるところ。


    α900 D700 EOS 5D Mark II


上質なα900のファインダー

 一眼レフの要ともいえるのがファインダーである。さすがにこのクラスになると大型のペンタプリズムが採用され、どのカメラも良好な見え具合を誇る。何よりフルサイズであるが故にファインダーの像は大きく、フィルム時代はこうだったよなぁと思わせるものだ。

 3機種のなかで文句のないつくりなのは、いうまでもなく発売以来評価の高いα900。スフェリカルアキュートマットの採用でピントの山が掴みやすく明るい。気になるような収差もほとんどないものである。何より視野率は、3機種のなかで唯一の100%を確保。倍率も0.74倍と大きく、デジタル一眼レフのなかでも随一といっていい上質のファインダーである。


    一眼レフカメラの要、ファインダーの見やすさではα900が圧倒的。視野率100%倍率0.74倍でスフェリカルアキュートマットを搭載する。EOS 5D Mark IIは視野率98%倍率0.71倍、D700は視野率95%倍率0.72倍となる。なお、高級機の証ともいうべきアイピースシャッターはα900とD700に搭載されている。

    ※ファインダー内の写真は表示内容の目安として用意したものであり、見やすさ、広さ、歪曲などを厳密に比べたものではありません。


    α900のファインダー内表示

    アイピースシャッターを開いたところ アイピースシャッターを閉じたところ

    D700のファインダー内表示

    アイピースシャッターを開いたところ アイピースシャッターを閉じたところ

    EOS 5D Mark IIのファインダー内表示

    アイピースシャッターは非搭載


 EOS 5D Mark IIとD700はα900のファインダーと比べてしまうと、今一歩物足りなさを感じてしまう。EOS 5D Mark IIは、同社のデジタル一眼レフ全てにもいえることなのだが、ファインダーの像は明るいもののピントの山がつかみやすいとはいいがたい。視野率は98%とかなり頑張ってはいるのだが、倍率も0.71倍と3機種のなかで最も小さくちょっと惜しいといった感じだ。

 一方D700はピントの山はEOS 5D Mark IIに比べれば掴みやすいのだが、視野率が95%とクラスを考えればちょっと苦しい。デジタルとなってホームプリントを楽しむ場合、ノートリミングでプリントする機会も多い。そのため、ファインダー視野率は100%もしくは限りなくそれに近いものが相応しいと考えられるからだ。倍率も0.72倍に留まっているのは残念。

 しかしながら、D700のファインダーは悪いところばかりでもない。ファインダー画面上に格子線を液晶によって表示することができるからである。格子線の入ったスクリーンに交換する手間も費用もかからないのはたいへん便利だ。なお、α900およびD700にはアイピースシャッターが備わっている。

 ファインダー画面に表示されるフォーカスエリアについては、D700はD3XおよびD3と同じく51点となる。画面の広い範囲をカバーし被写体を補足しやすい。EOS 5D Mark IIはAPS-Cサイズ機であるEOS 50Dと同じ9点となる。フルサイズのファインダー画面だとカバーする範囲はちょっと心もとない感じで、できることならEOS-1D系の45点を搭載して欲しかったところだ。α900は9点。中央以外のフォーカスエリアは短い罫線で表示されるため、被写体によっては認識しづらくなることがある。


便利な背面液晶への情報表示

 3機種ともカメラ上部に撮影情報を表示する液晶パネルを備える。特にα900はソニーのαシリーズとしては初めて搭載されることになる。が、あくまでも情報表示は液晶モニター側が主で、液晶パネルでの表示は絞りとシャッタースピード、それにホワイトバランスなど極限られたものとなる。そのためか、液晶パネルに表示される英文字は一昔前のデジタル時計のようなもので、ちょっと品位に欠けてしまうのは残念。

 EOS 5D Mark IIとD700の液晶パネルはほぼ従来どおりの表示内容であるが、どちらもいえるのがホワイトバランスのアイコンが小さく見づらいこと。筆者はすでに老眼がはじまっているのだが、「太陽光」と「白熱電球」が裸眼では区別できないのだ。特にD700の場合では、ホワイトバランスの並び順として「オート」の次に「太陽光」ではなく「白熱電球」となるため間違いやすい。実際にも、うっかり「太陽光」と思いこんで設定を行ない撮影してしまった経験があるほどで、もう少し大きい表示を希望したい。


    カメラ上部の液晶パネルではEOS 5D Mark IIとD700がほぼ同じ情報量。ただし、ホワイトバランスなど表示されるアイコンが小さく見づらいこともある。必要最小限の情報のみとなるα900は、文字は大きいものの英文字は読みづらい。


    α900 D700 EOS 5D Mark II


 ところで、そのようなユーザーのためなのだろう、EOS 5D Mark IIおよびD700とも撮影情報をα900同様、主要なカメラ設定情報を液晶モニターに表示することができる。しかもEOS 5D Mark IIはα900と同じくその画面から撮影等の設定の変更が可能であるほか、シャッターを切った後も電源を入れ直しても表示されるのは便利だ。


    情報表示画面。EOS 5D Mark IIとα900はこの画面から設定を行なうことが可能だ。


    α900 D700 EOS 5D Mark II


 液晶モニターは3機種とも3型、約92万ドットとなる。いずれも視野角が充分で見やすいものである。欲をいえば、どのカメラも3.2ないし3.3インチ程度のもうワンサイズ大きな液晶モニターが搭載できそうである。個人的には液晶モニターは大きければ大きいほどよいと考えるが、どこのメーカーが3.0インチの壁を破るか楽しみが残されたところといえる。

 なお、EOS 5D Mark IIには専用の外光センサーが備わり、周囲の明るさに応じて自動的に液晶モニターの明るさを調整する機能が搭載されている。


動画機能まで搭載したEOS 5D Mark II

 ライブビュー機能はEOS 5D Mark IIとD700に搭載されている。どちらも位相差方式とコントラスト方式のAFモードを備えており、EOS 5D Mark IIでは「クイックモード」と「ライブモード」、D700では「手持ち撮影」と「三脚撮影」とそれぞれ呼んでいる。

 EOS 5D Mark IIでは、さらに人の顔を検知してピントと露出を決定する「顔優先モード」を備えている。記念写真などでは便利に思うユーザーもいることだろう。D700では、ライブビュー時にも水準器の表示が可能。風景撮影などでライブビューを使うことのあるユーザーには便利だ。ちなみに、光学ファインダーを使用した通常の撮影でも水準器機能は使用できる。

 EOS 5D Mark IIの動画撮影機能はライブビューの状態から行なう。記録サイズは640×480ピクセルの4:3標準画質のほか、1,920×1,080ピクセルのフルHDにも対応。AFも可能としており、本格的な動画撮影が楽しめる。ただし、フルハイビジョンの動画を鑑賞するには、Intel Core2 Duo(2.6GHz以上)のCPUを搭載したパソコンを使用するか、カメラでの再生が推奨されている。


    EOS 5D Mark IIとD700にはライブビュー機能を備える。どのくらいのユーザーが実用として使っているかは疑問の残るところだが、じっくり被写体と向き合うときなど重宝するユーザーもいることだろう。また、EOS 5D Mark IIにはフルハイビジョンでの録画も可能な動画撮影機能が、D700にはライブビュー時にも機能する水準器も備わる。


    D700のライブビュー画面 ライブビュー中にも電子水準器が利用できる

    ライブビュー中にも電子水準器が利用できる 1080iでの動画記録が行なえる


 α900であるが、ライブビュー機能も動画撮影機能も搭載されていない。しかしながら、このクラスのユーザーがどの程度ライブビューを使っているかは気になるところ。必然性があって使うのではなく、たまたま搭載されていたので使ってみました的な使用が多いのではないだろうか。実際、α900で撮影していても、ライブビューや動画機能が搭載されていないことに対する不足は個人的にまったく感じられなかったことを付け加えておきたい。


充実したカスタマイズ性能を備えるD700

 カスタムメニューの豊富さでは圧倒的にD700だ。AFや露出などに関するさまざまな設定が備わり、全てを把握するのが困難なほどである。ユーザーへの細かな配慮も多く、前述のコマンドダイヤルの回転操作の方向の変更やファインダー内の格子線表示の有無、液晶パネルやファインダー内に表示される露出補正用インディケーターの+側と-側の入れ換えなども可能。正に痒いところに手が届くものといってよい。

 EOS 5D Mark IIもカスタムメニューは不足のないところである。メーカーの思想の違いからか、D700では階調補正機能の「アクティブD-ライティング」は撮影メニューの中に入っているが、EOS 5D Mark IIは「オートライティングオプティマイザ」も「高輝度側・階調優先」もこのカスタムメニューの中にも入っている。

 α700はカスタムメニューと呼ばれる設定項目は存在しないものの、いくつかの設定は撮影メニューや再生メニューのなどのなかに分散されて搭載されている。そのボリュームはニコンのカスタムメニューの豊富さにくらべれば非常に少なく感じるが、使用においては不足を感じるようなことはなく、必要にして充分。むしろ潔いものといえる。カスタムメニューに関しては少ないからダメというのではなく、カメラの個性として考えてみたいところである。


    仕上り設定画面。α900のクリエイティブブスタイルは13種類、D700のピクチャーコントロールは4種類、EOS 5D Mark IIのピクチャースタイルは6種類となっている。それぞれ各設定に対し、詳細な調整が可能。


    α900 D700 EOS 5D Mark II


    画像補正機能は、EOS 5D Mark II:オートライティングオプティマイザおよび高輝度側・階調優先、α900:Dレンジオプティマイザー、D700:アクティブD-ライティングとなる。それぞれの効果のほどは次回掲載する画像編で。


    α900(Dレンジオプティマイザー) D700(ピクチャーコントロール)

    EOS 5D Mark II(高輝度側・階調優先) EOS 5D Mark II(オートライティングオプティマイザ)


3者3様のシャッターフィーリング

 主観的な評価が強くなるが、キレのよいシャッター(音)に感じるのはD700だ。重厚なボディに相応しいといえるもので、写真を大いに撮る気にさせる。コマ速も5コマ/秒と速く、ポートレートやスポーツなどの撮影にも有利。AEブラケットの撮影も素早く完了する。さらにマルチパワーバッテリーパックMB-D10を装着すると8コマ/秒も可能。画素数がほかの2機種にくらべ少なく画像処理の負担が少ないこともあるのだが、文句ないコマ速を誇る。

 α900のシャッター音は、同社の音響部門とつくりあげたというα700のものとよくに似た感じである。重くもなく軽くもないといった感じで比較的キレはよい。こちらもD700同様、カメラに見合ったものといえる。コマ速は5コマ/秒を達成する。D700の約2倍もの画素数にも関わらず、この速さはスゴイといっていいだろう。大容量のメモリーカードを用意しないと連写の場合ではあっという間に容量を使い果たしそうだ。

 EOS 5D Mark IIは、よくいえば軽快、悪くいえば剛性感のない軽い感じのシャッター音で好みの大きく分かれそうな感じだ。シャッター音のみ聞いているとコマ速は速く感じられるが、実は3機種のうちで一番遅い3.9コマ/秒。風景やスナップなどの撮影ではコマ速の不足は感じることはないが、スポーツやポートレートではちょっと不満が残りそうである。


強い個性と充分な基本性能

 3機種のなかでα900は、唯一イメージセンサー方式の手ブレ補正機能を備えている。EOS 5D Mark IIやD700には手ブレ補正を内蔵するレンズがいくつか用意されているが、そのほとんどが望遠レンズやズームレンズなど。短い焦点距離の単焦点レンズなどは光学設計上補正レンズを設置できないものが多く、ほとんど搭載されていないといってよい状態である。

 そのため手ブレ補正に関しては、すべてのαレンズで機能するα900の優位性は疑いようがないものだ(ごく一部だが手ブレ補正が機能しないレンズもある)。高画素機であればあるほど手ブレが描写に影響しやすくなるが、同機能の搭載はたいへん心強い。しかも、三脚にセットした際も機能するのはうれしい限りである。

 また、D700のみ内蔵ストロボを搭載する。あればあったで使用することもあるかもしれないが、このクラスを購入するユーザーのスキルや所有すると思われる機材を考慮すると正直不要に思える。ストロボを内蔵したことでペンタ部が異様に大きく不格好になってしまったことも否めない。EOS 5D Mark IIやα900のペンタ部はスッキリしていてデザイン的にまとまりのよいフォルムに思うのは私ばかりではないはずだ。


    3機種のなかで唯一ストロボを内蔵するD700。ライブビューと同じようにどれだけのユーザーが実用とするかは不明だ。ストロボを搭載したために視野率の大きなペンタプリズムの搭載が見送られたほか、ペンタ部がほかの2機種と比較して異様に大きくなってしまったのは残念といわざるを得ない。


    D700は内蔵ストロボを備える
    α900はCFのほかメモリースティックのスロットも備える。ただし、ハイエンド機に見られるような両方同時の記録やRAWとJPEGを振り分けての記録はできない。メモリースティックのスロット搭載は、いうまでもなく大人の事情のようだ。


    α900のダブルスロット


 以上いろいろと私なりにミドルレンジフルサイズ3機種の機能を比較してみた。単純に順位をつけることは憚られるし、一概な考え方を当てはめられるものでもないが、それぞれが強い個性を放ち申し分のない性能や機能を誇るものばかりである。

 独断と偏見から率直な各機種の印象をひと言で述べると、外観や機能などからカメラというメカを強く意識させるD700、ファインダーをはじめ上質なつくりで撮る気にさせるα900、軽快かつそつのないつくりで万人受けしそうなEOS 5D Mark IIといったところだろう。選択肢の広がったミドルレンジクラスのフルサイズフォーマット機であるが、実際に触り撮影してみた感じではどれもたいへん愉快であった。

(近日公開の実写編に続く)



URL
  キヤノンEOS 5D Mark II関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/10/07/9241.html
  ソニーα900関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/09/18/9194.html
  ニコンD700関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/07/03/8783.html



大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2009/01/05 12:34
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