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「LUMIX DMC-G1スペシャルギャラリー」――ニューヨーク

Reported by 塙真一

G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 4,000×2,248 / 1/25秒 / F3.5 / +0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 14mm
(16:9で撮影)




LUMIX DMC-G1。装着レンズはG Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.
 私は、ライフワークとしてアメリカの風景や人物を撮り続けている。当たり前だが、アメリカには日本では出会うことのできない風景や人たちがいっぱいいて、それに惹かれているからだ。

 普段、日本でも人物を撮ることが多いが、日本にいるときは、いわゆるプロ機と呼ばれる重く大きなデジタル一眼レフカメラを使うことが多い。だが、アメリカに行くときにこれらのカメラを持って行くことはほとんどない。一番の理由は、やはり少しでも軽い荷物で動きたいからだ。ほかにもあまり高価なカメラを持って行くと盗難の危険があることや、機材が大がかりなために目立ってしまうことなどがあげられる。

 アメリカの撮影旅行は、日本での仕事では考えられないほどよく歩く。ほとんどの場合は、朝食を摂ってから撮影を始め、ナイトスナップまでずっとホテルに戻らない。たまにではあるが、夜明け前にホテルを出て、深夜まで撮り続けることもある。

 そんなわけで、とにかく撮影機材は、軽くてコンパクトなものほどありがたいのである。

 今回のアメリカ旅行に持って行ったのは、発売されてまだ間もない「LUMIX DMC-G1」。レンズは、Wズームキットとして同梱される「G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.」と「G Vario 45-200mm F4.0-5.6 MEGA O.I.S.」の2本。それに加え、開放F値がF1.4と明るい「Leica D Summilux 25mm F1.4 ASPH.」という単焦点レンズだ。このレンズはフォーサーズマウントを採用するため、純正として用意されるマウントアダプター「DMW-MA1」を用いることでDMC-G1に装着できる。

 ボディと3本のレンズ、アダプター、それにメモリーカードなどを全部1つのバッグに収納しても非常に軽く、そしてコンパクトに収まることに驚く。とても一眼レフカメラを持って、作品撮りに行くとは思えないほどの軽さだ。(DMC-G1は構造上、一眼レフとは呼ばないのだが、気持ちの上ではあまり違いはない)

 撮影期間はわずか4日間ほどではあったが、この間に荷物が重いと感じることはほとんどなかった。厳密に言えば、大雨が降っていた日は、肩からかけている小型のバッグですら邪魔だと感じていたのだが、これは仕方がないだろう。これ以上、軽量化を望むならレンズ交換のできないコンパクトデジカメを持ち歩くしかないと思う。

 DMC-G1の最大の特徴といえば、光学式のファインダーを廃し、その代わりに約144万ドット相当の液晶ライブビューファインダー(LVF)を搭載したことだろう。はじめてこのカメラを触ったときには、やっぱり光学ファインダーの方が自然で見やすいかなぁと思ったものだが、慣れてしまえばまったくどうということはない。どちらが良いか悪いかではなく、「このカメラはこういうもの」と割り切ってしまえば、何ら不満に思うことはない。むしろ、露出や色味が分かる分だけ、ファインダーを覗きながら画作りを行なうという作業が楽にできると感じたものだ。

 さらに、ボディ背面の液晶モニターが可動式のフリーアングル液晶となっている点もスナップでは重宝する。ニューヨークの街角や交差点などに立ち、街ゆく人たちの自然な姿を撮影しようとするときには、腰の位置あたりでカメラを構え、可動式の液晶モニターで構図を確認しながらシャッターを切ることができるからだ。


 従来の一眼レフカメラでは、ファインダーを覗いていないと構図を確認することができなかった。だがDMC-G1だと、ちょうどハッセルブラッドやローライフレックスのようにウエストレベルファインダーを使った上からのぞき込むようなスタイルでの撮影が可能となる。このスタイルだと、通行人に必要以上にカメラを意識されることなく、自然な景色として情景を切り取ることができるのだ。

 また、カメラとレンズが小さいということは、それだけ相手への威圧感も少ない。声をかけての撮影でも、カメラが小さいと、相手の緊張感も少なくなり、結果として納得のいく写真が撮りやすいものだと改めて感じた。

 気になる画質に関してだが、いわゆるエントリータイプのデジタルカメラだけに、少し彩度とコントラストが高めに設定されているように感じる。以前からのテスト撮影でそのクセは分かっていたので、今回の撮影では、彩度とコントラストを抑えめにした仕上がりとなる「スムーズ」というフィルムモードを標準の設定として撮影を進めた。

 夜の撮影ではどうしても手ブレや被写体ブレが気になるので、ISO感度を高めに設定することになるが、このカメラの場合、街スナップにおいて、ISO400まではまず高感度ノイズが気になることはなく、状況に応じてISO800までを使うという感じだった。ISO1600以上はちょっと高感度という感じが目立ってくる。被写体ブレはいかんともしがたいが、手ブレに関しては、Wズームキットのレンズには手ブレ補正機構が搭載されているので、ある程度のスローシャッターまではISO800程度までに抑えて撮りたいという印象だ。

 私ごとになるが、2009年にはアメリカをテーマにした写真展を開催する予定だ。もちろん、今回のニューヨークの写真も何枚か展示したいと考えている。DMC-G1は非常にコンパクトで威圧感の少ないカメラだし、むしろ外見的にはちょっと頼りなく見えなくもない。だが、写真展という晴れ舞台にだって、十分に使えるだけのものが撮れるカメラだ。

 今回の撮影旅行では本当にこのカメラの軽さ、携帯性がありがたく感じた。そして、LVF&フリーアングル液晶も重宝した。従来のデジタル一眼レフカメラとはまた違った楽しみ方のできるデジタルカメラが登場し、私たちの選択肢が広がったことは大歓迎といえるだろう。

※サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウインドウで表示します





G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 2,672×4,000 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 14mm
(3:2で撮影)

G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 3,000×4,000 / 1/60秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 14mm


G Vario 45-200mm F4.0-5.6 MEGA O.I.S. / 2,672×4,000 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 200mm
(3:2で撮影)
D Summilux 25mm F1.4 ASPH. / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 25mm

G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 3,000×4,000 / 1/1,000秒 / F16 / -0.3EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 16mm

G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 3,000×4,000 / 1/1,000秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 14mm


D Summilux 25mm F1.4 ASPH. / 4,000×3,000 / 1/50秒 / F1.4 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 25mm G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 14mm

G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 2,672×4,000 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 14mm
(3:2で撮影)

G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 3,000×4,000 / 1/8秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 14mm


G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 3,000×4,000 / 1/60秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 21mm





G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 4,000×2,672 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 14mm
(3:2で撮影)



URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/g1/
  パナソニックLUMIX DMC-G1関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/10/02/9224.html



塙真一
(はなわ しんいち)スナップや風景写真、ペット、人物撮影のほかに、最近ではグラビアアイドルのDVDパッケージ写真やカレンダー撮影も精力的にこなす。ほとんどすべてのデジカメをテストする強者テスターというキャラクターでカメラ雑誌に好評連載を持つほか、パソコンやレタッチソフトなどの造詣も深くパソコン誌などの各誌にも連載を持つ。カメラ好きが高じて購入したデジカメの数は数十機にも登る。

2008/12/26 00:23
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