デジカメ Watch

【伊達淳一のレンズが欲しいッ!】オリンパス「ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6」

~画質に満足の小型軽量超広角ズーム
Reported by 伊達 淳一

ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6
 フィルム時代は超広角ズームは値段も高く、気軽に買えるレンズではなかったが、デジタル一眼レフの時代が訪れてからは、デジタル専用超広角ズームが実売7~8万円で買えるようになり、グンと身近な存在になった。コンパクトデジカメとはまったく違う写真が撮れる、という点では、超望遠やマクロ、大口径単焦点レンズも楽しいが、超広角ズームもその広い画角と強烈な遠近感により、なにげない日常風景がフォトジェニックに変身するのはおもしろい。

 そんなお手軽超広角ズームのひとつが、オリンパスから発売された「ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6」だ。35mm判カメラ換算で18-36mm相当の画角をカバーする超広角ズームながら、DSA(大偏肉両面非球面)レンズの採用などにより、全長73mm、質量275gという超小型・軽量設計を実現。ちょっと前玉は大きめだが、鏡胴は同社の廉価版標準ズームと同じくらい細く、とにかく軽いのに驚かされる。いわゆる松(SUPER HIGH GRADE)、竹(HIGH GRADE)、梅(STANDARD)の梅レンズだが、距離指標はないもののちゃんとフォーカスリングも備えていて、マウント部分も金属だ。最短撮影距離は25cmで、ワーキングディスタンス(レンズ前から被写体までの距離)は最短14cmを実現。小さいながらグッと被写体に踏み込んだ撮影が行える。「E-420」、「E-520」のハイスピードイメージャAFにも対応していて、レンズが軽量なので、片手ホールドでも楽々ライブビュー撮影が楽しめる。


「ZUIKO DIGITAL ED7-14mm F4」(右)と比較すると、圧倒的に軽量でコンパクト。しかも低価格だ
 オリンパスには「ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4」という気合いの入った超広角ズームが存在するが、レンズだけで重量が780gもあるので、それなりに使う側にも気合いが必要だし、そもそもハイスピードイメージャAFにも現時点では対応していない。また、7-14mmズームは、前玉が半球型に突出していてフィルター類も使えないのに対し、9-18mmズームは72mmのフィルターが装着可能で、PLフィルターも使用できる。ワイド端の画角が18mm相当とそれほど超広角ではないが、それだけレンズのクセも少なく、超広角レンズ初心者にも扱いやすい画角。もっと超広角の強烈な画角と遠近感が必要になってから7-14mmズームの購入を検討すればいいだろう。

 このズーム、自腹で買ったものではなくオリンパスからの貸出品。ボクの手元に届いたときはちょうど原稿執筆が山のように溜まっていて、撮影に出かけるのもままならない状態だったので、ベランダから外の風景を適当に撮影してみて写りを確かめてみたのだが、正直、見かけによらない高性能ぶりに仰天させられた。

 絞り開放から周辺部まで実に整った描写で、超広角ズームにありがちな周辺光量低下や周辺部での像の乱れがきわめて少なく、倍率色収差もさほど気にならない(画素数が1,000万画素というのも大いに関係しているかもしれないが……)。歪曲収差はワイド端からズーム中域までタル型が認められるが、陣笠傾向は少なく、比較的素直な歪み。テレ端ではほぼ歪曲収差は解消し、周辺部でも直線がまっすぐ写る。

 巨大な7-14mmズームを持っているボクとしては、少々複雑な気持ちになるくらい、安定した画質が得られる超広角ズームで、E-520に装着したときのバランスも良好。ハイスピードイメージャーAFを活かして、ライブビューAFで撮影することも多かったが、レンズもボディも軽いので、本当に楽な気持ちで撮影できた。

 マイクロフォーサーズ規格のほうが、こうした広角や標準ズームを小型化するのには有利だとは思うが、従来のフォーサーズでもここまで軽量なシステムが実現できる。開放F値はF4-5.6と割り切った明るさだが、絞らなければ使えない周辺画質の明るいレンズよりも、安心して絞り開放から使えるこのズームのほうがよほど実用的。

 「ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」や「ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6」のダブルズーム体制にぜひプラスαしたいレンズだし、すでに7-14mmズームや「ZUIKO DIGITAL 11-22mm F2.8-3.5」を持っている人にとっても悩ましい存在だ。


E-520に装着したところ 14-42mm(右)、40-150mm(奥)のダブルズーム体制に、9-18mmズームをプラスαすれば、18mm相当の超広角から300mm相当の望遠の画角をカバーできる。しかも、3本のレンズを合わせても重量はわずか685gと超軽量だ

●作例

※サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウインドウで表示します。

※すべて「E-520」で撮影しています。


焦点距離域の変化


※共通設定:3,648×2,736 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート



9mm 11mm

14mm 18mm

歪曲収差&周辺光量チェック


※共通設定:3,648×2,736 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート



●9mm


F4 F5.6 F8

F11

●11mm


F4.2 F5.6 F8

F11

●14mm


F4.7 F5.6 F8

F11

●18mm


F5.6 F8 F11

一般作例

zuiko_pa160085s.jpg zuiko_pa160100s.jpg
3,648×2,736 / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/320秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 10mm
zuiko_pa160127s.jpg zuiko_pa160135s.jpg
3,648×2,736 / 1/160秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/160秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:日陰 / 9mm
zuiko_pa160140s.jpg zuiko_pa160145s.jpg
3,648×2,736 / 1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/2,000秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 14mm

zuiko_pa160151s.jpg zuiko_pa160153s.jpg
3,648×2,736 / 1/500秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/1,600秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm
zuiko_pa160158s.jpg zuiko_pa160164s.jpg
3,648×2,736 / 1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/500秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 11mm
zuiko_pa160168s.jpg zuiko_pa160196s.jpg
3,648×2,736 / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/8秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm

zuiko_pa160202s.jpg zuiko_pa170230s.jpg
3,648×2,736 / 1/4秒 / F4.2 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 11mm 3,648×2,736 / 1/500秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴れ / 9mm
zuiko_pa170248s.jpg zuiko_pa180286s.jpg
3,648×2,736 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴れ / 10mm 3,648×2,736 / 1/20秒 / F4 / -1EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 9mm

zuiko_pa180295s.jpg zuiko_pa190300s.jpg
3,648×2,736 / 1/15秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/800秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 11mm
zuiko_pa190307s.jpg zuiko_pa190340s.jpg
3,648×2,736 / 1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm
zuiko_pa190354s.jpg zuiko_pa190368s.jpg
3,648×2,736 / 1/400秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 12mm 3,648×2,736 / 1/100秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 13mm
zuiko_pa190380s.jpg zuiko_pa190398s.jpg
3,648×2,736 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm

zuiko_pa210482s.jpg zuiko_pa210495s.jpg
3,648×2,736 / 1/250秒 / F9 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴れ / 9mm 3,648×2,736 / 1/160秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm
zuiko_pa210509s.jpg zuiko_pa210512s.jpg
3,648×2,736 / 1/1,600秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm 3,648×2,736 / 1/400秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 9mm



URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://www.olympus.co.jp/jp/info/2008b/if080918zuikoj.cfm

関連記事
オリンパス、フォーサーズ用「9-18mm F4-5.6」を10月に発売(2008/09/18)
オリンパス、小型軽量な超広角ズームレンズを年内に発売(2008/05/13)



伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌で カメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎 明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自ら も身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関 してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり

2008/11/04 00:07
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.