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【伊達淳一のデジタルでいこう!】D700で使えるDXレンズを検証

Reported by 伊達 淳一

左から「AT-X 107 DX Fisheye」、「AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6 G」、「AT-X 124 PRO DX」、「AF-S DX Zoom-Nikkor ED 12-24mm F4 G (IF)」
 キヤノンEOS DigitalのEF-Sレンズは、撮像素子がAPS-Cサイズ専用のレンズで、物理的にも35mmフルサイズやAPS-Hサイズの撮像素子を搭載した機種に装着できないようになっている。一方、ニコンのDXニッコールは、FXフォーマットの「D3」や「D700」にもそのまま装着でき、自動的に撮像範囲をDXフォーマットにクロップして撮影することが可能だ。

 ただし、D3やD700をDXフォーマットで使うと、画素数は約510万画素と少なくなってしまう。エントリーモデルのD40以下の画素数だ。裏を返せば、それだけ画素ピッチにゆとりがあるわけだが、ブログやポストカードサイズのプリントには十分な画素数とはいえ、さすがにA4サイズ以上に高精細にプリントするには画素数が少なすぎる。今後、登場するであろうD3やD700の高画素版なら、DXクロップで使ってもA4プリントに耐える画質が得られると思うが、やはり12.1MピクセルのD3やD700でデジタル専用レンズ(DXフォーマット専用レンズ)を使うのは賢明でないというか、バランスが悪いと思う。

 では、D3やD700にデジタル専用レンズを装着して、FXフォーマットのままで撮影するとどうなるのだろうか? そもそもデジタル専用レンズと35mmフルサイズ対応レンズの違いは、イメージサークルの大きさだ。イメージサークルとは像を結ぶ範囲のことで、撮像素子が小さいAPS-Cサイズのデジタル専用レンズなら、イメージサークルは小さくて済む。つまり、それだけレンズをコンパクトに設計できるというメリットがある。

 35mmフルサイズ兼用のレンズをAPS-Cサイズのデジタル一眼レフで使う場合は、イメージサークルの中心部のみを使い、光学性能が徐々に低下する周辺部をまったく使わないので、周辺まで整った描写が得られるわけだ。逆に、デジタル専用のレンズを35mmフルサイズのデジタル一眼レフで使用した場合、イメージサークルが撮像素子よりも小さいので、画面周辺がケラレたり、四隅が暗く落ち込んでしまうのだ。

 しかし、デジタル専用ズームのなかには、ある特定の焦点距離域で35mmフルサイズをカバーするイメージサークルを有した製品がいくつかある。その代表的存在とも言えるのが、トキナーの「AT-X 107 DX Fisheye」。本来はデジタル専用の魚眼ズームレンズなのだが、15mm以上の焦点距離にズームすればケラレが解消し、35mmフルサイズの一眼レフでも問題なく使用できる。35mmフルサイズでもAPS-Cサイズでもほぼ対角180度の魚眼撮影が楽しめる。1本で2倍おいしいレンズだ。

 そんなわけで、AT-X 107 DX Fisheyeのほかにも、FXフォーマットで使えるデジタル専用レンズはないかといろいろ試してみたが、基本的にズーム倍率が高かったり、レンズの開放F値が明るい製品はダメ。APS-Cサイズのイメージサークルを確保するので精一杯のようで、とてもFXフォーマットまでカバーできるマージンは期待できないようだ。で、D3、D700のFXフォーマットで実用になりそうなデジタル専用レンズは次の4本。

  • ニコンAF-S DX Zoom-Nikkor ED 12-24mm F4 G (IF) (18mm以上でケラレ解消)
  • ニコンAF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6 G(24mm以上でケラレ解消)
  • トキナーAT-X 107 DX Fisheye(15mm以上でケラレ解消)
  • トキナーAT-X 124 PRO DX(18mm以上でケラレ解消)


 いずれも、デジタル専用の超広角ズームおよび標準ズームだが、ズーム中域以降はFXフォーマットでもケラレなしに使用できる。特にニコンとトキナーの12-24mmズームは、FXフォーマットで18-24mmズームとして使えるので、FXフォーマット対応の広角ズームをわざわざ買わずに済むのはありがたい。それならシグマの10-20mmズームもと試してみたが、こちらは残念ながらケラレが解消しなかった。

 また、以前、シグマの「55-200mm F4-5.6 DC」を「EOS 5D」で試したところ四隅はケラレなかったので、おそらくD3やD700でも使用可能と思われるが、望遠ズームは35mmフルサイズ対応の製品が充実しているし、手ブレ補正もないこのレンズをあえてD3やD700で使う意味はないだろう。また、ニコンのAF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 55-200mm F4-5.6 Gは、FXフォーマットではケラレが解消しなかった。もしかすると、これ以外にもFXフォーマットで使えるデジタル専用レンズが存在するかもしれないが、現時点でボクが把握しているのはこれだけだ。

 では、画質はどうなのだろう? そこで、いくつかの焦点距離と絞り値で撮り比べを行い、周辺画質がどこまで確保できているのかをチェックしてみた。

●作例

※サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


ニコン「AF-S DX Zoom-Nikkor ED 12-24mm F4 G (IF)」

 DXフォーマットのデジタル一眼レフに装着すると、18〜36mm相当の画角をカバーする純正の超広角ズームだが、価格がかなり割高なのが難点。このレンズが発売された当初は、まだデジタル専用レンズはほとんどなかったため、仕方がなく購入したものの、その後、レンズメーカー製からより広角でより低価格のデジタル専用超広角ズームが発売され、ますます割高感を感じてしまう。

 画質も飛び抜けて高画質というわけでもなく、600万画素時代にはトキナー「AT-X124 DX」のほうがキレが良く感じたほど。何度となくドナドナ(下取りのために売り飛ばすこと)しようと思ったものの、画素数が増えてくるとアラが露呈してしまうレンズが多い中で、このズームだけは不思議と周辺画質低下が少なく、乱れの少ない描写が得られるのだ。

 FXフォーマットで使用すると、当然のことながらズームワイド端では画面周辺部が大きくケラレてしまう。フードを装着するとなおさらだ。しかし、18mm域からはケラレも完全に解消され、周辺光量低下も超広角ズームとしてはごくわずか。絞り開放F4での描写も驚くほど乱れがなく、これならフィルム時代に発売された超広角ズームの周辺画質を明らかに凌駕している。テレ端の24mm域までケラレは生じず、カリカリにシャープというわけではないが、にじみや乱れのない描写で、FXフォーマットでは18〜24mmズームとして十分通用する。フルタイムMF操作が可能なM/Aモードも備えており、14-24mmズームと違ってPLフィルターも使用できる。DXフォーマットとFXフォーマット兼用の超広角ズームして、重宝する1本だ。


【絞り・焦点距離別作例】

※共通データ:4,256×2,832 / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート




12mm

15mm

18mm

※フードは外して撮影しているが、18mm域からはフードの有無によるケラレの違いはない

【実写作例】


4,256×2,832 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 18mm / ピクチャーコントロール:ビビッド / アクティブD-ライティング:オート

2,832×4,256 / 1/320秒 / F11 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 18mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート


2,832×4,256 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 18mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート

4,256×2,832 / 1/800秒 / F11 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 17mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート


4,256×2,832 / 1/100秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 17mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート

2,832×4,256 / 1/640秒 / F9 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 19mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート


ニコン「AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6 G」

 ニコン「D40」や「D40X」のキットレンズとして設定された標準ズーム。AFスピードは非常に遅く、AF-SタイプではあるがM/Aモードは備えておらず、フォーカスリングもないに等しい廉価版だが、その割に写りが良いことで評判になったレンズだ。

 FXフォーマットでは、24mm以上にズームするとほぼケラレが解消する。絞っても、ごくわずかに周辺光量低下は残るものの、想像以上にまともな写りで、24mm域では周辺部で甘さが残るもののF8まで絞ればかなりキリッとシャープな描写になる。55mm域では絞り開放からかなり整った描写で、コンパクトな24〜55mmズームして活用可能だ。

 ちなみに、AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR(D60のレンズキットに設定)はというと、こちらは残念ながらズーム全域でケラレが解消せず、24mm域はなんとか周辺光量低下くらいで済んでいるが、55mm域ではケラレに近い四隅の光量落ち込みがある。手ブレ補正を効かせるとさらにケラレの範囲が移動することも考えられるので、まったく使えないわけではないが、ちょっと周辺画質と周辺光量低下を覚悟する必要がある。

 レンズ交換時に電源を入れ直すのを省いてしまったため、センサークリーニング機構が働かず、画面中央にしっかりゴミが写り込んでしまった。ただ、電源を入れ直したその後のカットでは、ゴミが移動したり、完全にふるい落とされる確率も高く、D3に比べればD700のほうが安心してレンズ交換ができる。


【絞り・焦点距離別作例】

※共通データ:4,256×2,832 / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート

●AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6 G



18mm

24mm

35mm

55mm

●AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR(参考)



18mm

24mm

35mm

55mm

【実写作例】


4,256×2,832 / 1/20秒 / F5 / -0.7EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:電球 / 26mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート

4,256×2,832 / 1/1250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 52mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート


4,256×2,832 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 55mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート

4,256×2,832 / 1/1250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 32mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート


4,256×2,832 / 1/1250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート

1,416×2,128 / 1/2,500秒 / F8 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート


トキナー「AT-X 107 DX Fisheye」

 対角180度の魚眼撮影が楽しめるデジタル専用の魚眼ズームだが、15mm域以上にズームすればFXフォーマットでも完全にケラレがなくなる。魚眼ということで、結構倍率色収差が目立つはずだが、D700は画像処理エンジンで倍率色収差を補正してくれるので、周辺部での色ズレがほとんどなく、スッキリした描写だ。

 さすがに周辺部の解像力は正直モノ足りないものがあるが、そもそも魚眼に高い周辺画質を求めるのも酷というものだろう。それより、DXでもFXでも使えるというメリットをボクは選択。手持ちの「AF DX Fisheye-Nikkor ED 10.5mm F2.8 G」を売却して、代わりにこのAT-X 107 DX Fisheyeを購入した。


【絞り・焦点距離別作例】

※共通データ:4,256×2,832 / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート



10mm

14mm

17mm

【実写作例】


4,256×2,832 / 1/500秒 / F11 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 14mm / ピクチャーコントロール:ビビッド / アクティブD-ライティング:オート

4,256×2,832 / 1/800秒 / F11 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 14mm / ピクチャーコントロール:ビビッド / アクティブD-ライティング:オート


トキナー「AT-X 124 PRO DX」

 DXフォーマットでは18〜36mm相当の画角をカバーするデジタル専用超広角ズームで、ニコン純正のと並んで、開放F値がF4と変わらないのが特徴。フルタイムMF操作は行なえないが、フォーカスリングを前後にスライドさせるだけで、ワンタッチでAFとMFを切り替えられる。倍率色収差はあるがシャープな描写には定評があるレンズで、D3やD700では倍率色収差を画像処理エンジンで補正してくれるので、レンズの実力以上の写りが期待できる。

 FXフォーマットでは、ワイド側では周辺が大きくケラレるが、18mm域あたりまでズームすればケラレはほぼ解消し、テレ端の24mmまで問題なく使用できる。18mm域では四隅の周辺光量がちょっと気になるが、超広角ズームとしてはよくあるレベル。ニコン純正の12-24mmと比べると、多少色にニゴリが感じられ、ごくわずかだがコントラストも低めに感じるが、実売価格差を考えれば十分納得できる範囲。下手なフィルム時代の超広角ズームよりも、絞り開放から安定した画質が得られるのが魅力だ。


【絞り・焦点距離別作例】

※共通データ:4,256×2,832 / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート



12mm

15mm

18mm

24mm

※フードは外して撮影しているが18mm域からはフードの有無によるケラレの違いはない

【実写作例】


4,256×2,832 / 1/800秒 / F8 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 18mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート 2,832×4,256 / 1/1,600秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 17mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート

4,256×2,832 / 1/20秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 19mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート

4,256×2,832 / 1/25秒 / F4.5 / +0.7EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 18mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート


2,832×4,256 / 1/25秒 / F4.5 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 18mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート

4,256×2,832 / 1/50秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 18mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート


4,256×2,832 / 1/40秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 18mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:オート


まとめ

 以上、4本のデジタル専用レンズをFXフォーマットでどこまで使えるかを検証してみたが、どれも期待以上の写りが得られるのには驚きだ。さすがにD3とこうしたデジタル専用レンズを組み合わせるのはちょっと恥ずかしい気もするが、D700ならこういう選択もありじゃないかと思う。

 なお、D3やD700でデジタル専用レンズをFXフォーマットで使う場合、撮影メニューの「撮像範囲」で、[DX自動切り換え]を[しない]に設定するのを忘れずに(幸か不幸か、トキナーレンズは自動切り換えが動作しないが……)。それと、D700のファインダーは視野率約95%なので、ファインダーで四隅のケラレがないと思っても、実際にはケラレている場合がある。したがって、ズームリングの焦点距離数値を確認するか、ライブビューでケラレのない焦点距離域に設定してから撮影することを忘れずに。



URL
  ニコンD700関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/07/03/8783.html



伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌で カメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎 明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自ら も身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関 してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり

2008/10/21 00:30
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