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【新製品レビュー】リコー「R10」

〜機能に磨きをかけた7.1倍ズーム機
Reported by 中村 文夫

 リコーR8は持ち歩く「道具」をコンセプトとして、2008年3月に誕生したハイクラスコンパクト機だ。9月に登場したR10は、R8の基本機能を継承しながら、これまでGR DIGITALやGX200など上位機にしか採用されていなかった高機能を搭載。「道具」としての完成度をさらに高めた新製品だ。撮像素子は1/2.3型有効1,000万画素CCD。レンズは焦点距離28〜200mm(35mm判換算)、F3.3〜5.2の光学7.1倍ズーム。

 R10を手にして最初に気付くのが大型液晶モニターだ。R8では2.7型だったモニターが3型に拡大。ボディ背面のほとんどを液晶モニターが占め、ボディサイズを大きくしない限り、もうこれ以上大きなモニターは搭載できないというレベルになった。ただ、そのためにモニターサイドの操作部全体が右側に移動、グリップが狭くなったが、前面のグリップ形状を変更することでホールディング感の低下を防いでいる。

 表示画素数は約46万ドットと従来と同じだが、視野角が広くコントラストも高いので、とても見やすい。気になるのは消費電力だが、R8と同じバッテリーを使用しながらR8と同等の省エネ性を達成。通常モードで約270枚できるうえ、新たに採用された画像モニター節電機能をオンにすれば約300枚の撮影ができる。





レンズ収納時 電源ONの状態

参考までに前モデル「R8」の背面。液晶モニターはR10と違って2.7型 R10の背面操作部。グリップ部の形状を変更し、ホールド性の低下を防いでいる。Fnボタンも追加された

電源はR8と同じリチウムイオン充電池を使用。画像モニター節電機能をオンにすれば約300枚の撮影が可能

上級機と同じ装備を追加

 ここからは、R10から追加された新機能を見ていこう。「電子水準器」は、GR DIGITAL II、GX200に搭載されて好評を得た機能だ。特に広角レンズで撮影した場合、画面の傾きが目立ちやすいが、この機能を使えばカメラの水平出しが簡単にできる。

 水平を確認する方法は電子音とインジケーター表示の2種類があり、どちらか一方、あるいは両方を選ぶことができる。もちろん、インジケーター表示はタテ/ヨコどちらの画面にも対応。カメラを構えた方向によって自動的に切り替わる。またカメラを極端に上下に向けた場合は検出不能表示に切り替わる。


電子水準器表示をONにしたところ。写真は水平の状態 カメラが右に傾いた状態。角度によってインジケーターの表示が変わる

カメラを縦に構えたときの表示 カメラを極端に傾けると傾いた側の反対のインジケーターがすべて赤色になる

カメラを上下に向けると検出不能になり、インジケーター全体が赤色に変わる 水準器の表示内容は、3種類から選ぶことができる

 「画像クリップ」は、任意の画面を即座に呼び出しモニターに表示させる機能だ。撮影した画像の中から予め表示させる画面を登録しておき、再生状態でファンクションボタンを押すと、その画面がモニターに表示される。登録できる画面は3点まで。たとえば旅先などで、電車の時刻表、観光案内図などを最初に撮影し、登録しておけば、撮影中に即座に確認することが可能。ガイドブックやメモを取り出したりする手間が省ける。


画像クリップを使うと、任意の画像を即座に呼び出すことができる。旅先で観光案内図などを撮影しておくと便利 画像クリップの設定画面。3カットまで登録できる

 R10は高級機と肩を並べる高い操作性を実現しているが、これを象徴しているのがADJ./OKボタンへの機能の設定と言えるだろう。ADJ./OKボタンは上下左右に動くレバーとプッシュボタンを組み合わせたもので、ボタンを押すかレバーを上下に操作すると、モニター上に5種類の機能を表示。十字キーを左右に操作して目的機能を選び、キーを上下に操作して設定を変更する。上位機のGR DIGITAL IIやGX200は、電子ダイヤルで操作する方式だが、R8や10では、この機能を4方向のレバーに割り当てている。

 5つの項目うち、いちばん右にあるAFターゲット移動機能は固定式だが、ほかの4つのポジションには、露出補正、ホワイトバランス、ISO感度、画質など、全部で11項目中から任意の機能を選び割り付けることができる。このほかモードダイヤルに2つのマイセッティングポジションを備え、画像サイズやズーム位置、ストロボのオン/オフなど、使用頻度の高い機能を登録しておけば、ダイヤルを合わせるだけで、それらの機能が利用できる。

 さらにモードダイヤルにイージー撮影モードを追加。撮影モードを初期値に固定することで失敗や誤操作を防ぐことができる。またこのモードを選んだときは画質と記録サイズのみ設定変更が可能。次に説明するFnボタンを使用すれば、逆光補正あるいはAFターゲットの移動もできる。


ADJ./OKボタンを押したところ。レバーの左右操作で変更したい項目を選択、上下操作で設定を変更する ターゲット移動を除いた4つのポジションには、任意の機能を割り付けられる

 Fn(ファンクションボタン)は、R10になって追加された機能で、これもすでに上位機のGR DIGITAL IIやGX200などに搭載されていたものだ。Fnボタンには、AF/AEターゲットの移動のほか、AEロック、ステップズーム、各ブラケットなど、いろいろな機能を設定することができる。

 要するにR10は、ADJ./OKボタン、マイセッティング、Fnボタンという3種類の操作部に、さまざまな機能を設定することが可能。この組み合わせは膨大な数になる。

 このほかR10には、ズーミングによって変化するマクロ時の最短撮影距離表示、白とびや黒つぶれを低減する自動レベルを追加。内蔵メモリーも24MBから54MBに拡張されている。


モードダイヤルは2つのマイセッティングポジションを装備。ダイヤルを合わせるだけで使用頻度の高いセッティングが利用できる。機能を限定して失敗を防ぐイージーポジションも新たに追加された マイセッティングの登録画面

追加されたFnボタンには、ターゲットの移動をはじめ、数々の機能が設定でき、ボタンのワンプッシュで、その機能が使用できる マクロ機能使用時の最短撮影距離はズーミングの位置によって変化するが、セットした焦点距離に合わせて最短距離が表示されるので使いやすい

まとめ

 R10の実勢価格は5万円前後で、R8より約1万円アップ。最近、GR DIGITAL IIやGX200の値段が下がり気味なので価格差が縮まり、ちょっと頑張ればこれら2機種にも手が届く。だが決定的な違いは搭載されているレンズだ。35ミリ判の28〜200mmに相当する高倍率ズームを搭載しているので望遠撮影に強く、1台ですべての撮影をカバーしたいとうユーザーとって、この点が大きな魅力になるはずだ。

 またR10の外装は金属感を強調した仕上げで、エッジ部分を鋭角にするなど全体的にとてもシャープな印象を受ける。なおR10の撮影モードはオートのみで、絞り優先AEやマニュアル露出は非搭載。上級者にとって、この点がネックになるかも知れないが、逆にこの潔さがR10のコンセプトを強く現しているように思える。

 R8のレポートでも同じことを書いたが、R10は、「GX200ほど高機能は必要としないが、持つからにはきちんとしたカメラが欲しい」という成熟したオトナのためのカメラなのだ。決してカメラマニア向けではないが、写真を撮るだけでなく所有する喜びも同時に味わえる、高級スタンダード機の決定版と言えるだろう。


 

●作例

  • サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


画角

R10 / 3,648×2,736 / 1/540秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm R10 / 3,648×2,736 / 1/810秒 / F4.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 18.7mm R10 / 3,648×2,736 / 1/570秒 / F5.2 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 35.4mm

オートブラケット

 オートブラケットは露出を変えて撮影する通常の機能のほか、ホワイトバランスの変化、白黒/カラー/セピアの同時記録を選ぶことができる。

・ホワイトバランスブラケット
    共通データ:R10 / 3,648×2,736 / 1/620秒 / F3.3 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 5mm


レッド ノーマル ブルー
・カラーブラケット
    共通データ:R10 / 3,648×2,736 / 1/104秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 13.1mm


白黒 カラー セピア

ISO感度

 ISO800からノイズが目立ち始め、ISO1600で急激に増える。


ISO80
R10 / 3,648×2,736 / 1/2秒 / F3.3 / 0EV / WB:オート / 5mm
ISO100
R10 / 3,648×2,736 / 1/3秒 / F3.3 / 0EV / WB:オート / 5mm
ISO200
R10 / 3,648×2,736 / 1/5秒 / F3.3 / 0EV / WB:オート / 5mm

ISO400
R10 / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F3.3 / 0EV / WB:オート / 5mm
ISO800
R10 / 3,648×2,736 / 1/18秒 / F3.3 / 0EV / WB:オート / 5mm
ISO1600
R10 / 3,648×2,736 / 1/45秒 / F3.3 / 0EV / WB:オート / 5mm

画質設定

 自動レベル補正のほか、硬調、普通、軟調の3種類の画質設定が可能。カスタム設定を選べば、コントラスト、シャープネス、色の濃さを細かく調整できる。

    共通データ:R10 / 3,648×2,736 / 1/164秒 / F4.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 31.3mm


硬調 普通 軟調

イージーモード


イージーモードで撮影
R10 / 2,736×3,648 / 1/470秒 / F4.3 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 10.4mm
イージーモードで逆光補正をオンにして撮影。バナーが明るく再現された
R10 / 2,736×3,648 / 1/104秒 / F4.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 10.4mm

自由作例

28mm相当と広角側の画角が広いので、遠近感を強調した広角レンズらしい表現ができる
R10 / 3,648×2,736 / 1/620秒 / F3.3 / 0EV / ISO400 / WB:屋外 / 5mm
絞り優先AEやマニュアル露出を搭載していないのでF値の変更は自由にできないが、望遠側で被写体に近づけば、被写界深度の浅い表現も可能
R10 / 2,736×3,648 / 1/64秒 / F5.2 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 35.4mm

広角側でマクロ撮影をすると背景を活かした接写ができる
R10 / 3,648×2,736 / 1/97秒 / F3.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.7mm
金色に輝く獅子頭を撮影。ハイライトが飛ぶことなく、金箔やたてがみの質感が忠実に再現された
R10 / 3,648×2,736 / 1/760秒 / F5.2 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 35.4mm

1:1(正方形)フォーマットで撮影
R10 / 2,736×2,736 / 1/620秒 / F3.3 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/

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中村 文夫
(なかむら ふみお) 1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。1998年よりカメラグランプリ選考委員。

2008/10/07 00:19
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