【特別企画】「D700スペシャルギャラリー」――ネイチャー

【特別企画】「D700スペシャルギャラリー」――ネイチャー

Reported by 吉住志穂

AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED / 4,256×2,832 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 26mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:しない
(PLフィルター使用)

　35mmフィルムとデジタルカメラを併用しているため、フィルムと同じ感覚で撮影できる35mmフルサイズのデジタル一眼レフカメラには、特別な感情があります。しかし35mmフルサイズ機は高価で重いことから、私のなかでは「デジタル一眼レフカメラ＝APS-Cサイズ相当、またはフォーサーズ」と割り切ってきました。周りの写真家から「フルサイズはいいよ～」と聞かされるたびに少しだけ反発を覚えつつ、本心では羨ましく思ったものです。そんなところに1kgを切る「D700」が登場。興味津々で使ってみました。

　今回撮影に行ったのは、静岡県の伊豆地方。いわゆる中伊豆から南伊豆に抜け、植物園に寄りつつ、西伊豆で夕景を撮り東京に戻る日帰りのコースです。山あり海あり清流ありで、私のお気に入りの撮影コースとなっています。夏も終わりかけの頃でしたが、豊かな日本の自然を満喫できました。

　今回は、ほとんどの写真を三脚+ライブビュー(コントラストAFの三脚モード)で撮影しました。感心したのは、液晶モニターの美しさ。拡大しても像が粗くならず、マニュアルフォーカスでのピント合わせが大変楽に行なえました。じっくりピントを合わせて撮る三脚派には、うれしくなる環境といえます。また、ライブビューの起動をファンクションボタンなどに割り当てられるようになったので、「D3」や「D300」より使いやすく感じました。

　ボディの作り込みや動作感も文句なし。D3のシャッターの切れ味にはかなわないものの、DXフォーマットのフラッグシップ、D300に引けを取りません。防塵防滴ボディもネイチャーフォトではうれしい点です。今回も滝のそばで水しぶきを浴びながら撮影しまたが、機材の心配をしなくて良いので、撮影に集中できました。

　デジタル水準器もすごいアイデアです。ホットシューに付ける水準器をずっと愛用していますが、小さいのでバッグの中で行方不明になりがちで、撮影前にごそごそと探すことが良くあります。カメラに内蔵されていれば、こうした面倒もなくなるわけです。デジタル水準器は画面いっぱいに表示されるので、リアル水準器より大きくて視認性が良いのも利点。さらに、夕方や夜でも見やすい。花火の撮影でも役に立つのではないでしょうか。

　画質はダイナミックレンジが広く、明らかにAPS-Cサイズ機とは異なる素性の良さを感じます。例えば、APS-Cサイズ機の下位モデルで仕上がり設定を「鮮やか」にすると、シーンによってはどこか不自然な色味になることがあります。しかしD700は違います。ピクチャーコントロールをビビッドにしても、鮮やかなのはもちろん、ポジフイルムのような自然なコクが出ました。作画意図にもよるのでどちらがいいとは一概にいえませんが、記憶色とともに臨場感が求めらるネイチャーフォトでは、フルサイズの恩恵がしっかり受けられそうです。

　戸惑ったのが、約95%というファインダーの視野率。デジタルカメラだとその場で写真を確認できるので、どうしても気になります。特に三脚を使って厳密にフレーミングしても、慣れないうちは思わぬものが写り込むので効率が上がりませんでした。APS-Cサイズ機よりファインダーが見やすいのも、差を感じてしまう一因かもしれません。そんなときはライブビュー。光学ファインダーでフレーミングとピント合わせをしてから、ライブビューで画面の周囲を確認、というパターンもありでしょう。

　ネイチャーフォトは体力が勝負。D3のようなプロ機も安心がありますが、少しでも軽くて画質が良いD700は大歓迎です。本当のことをいえばもう少し軽ければと思いますが、ネイチャーフォト用のフルサイズ機としては、レンズシステムを含めてバランスの良いカメラだと思います。

※サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウインドウで表示します。


AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF) / 4,256×2,832 / 1/50秒 / F3.3 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:雲天 / 105mm / ピクチャーコントロール:風景 / アクティブD-ライティング:しない	AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF) / 4,256×2,832 / 1/3200秒 / F3.2 / -2.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 105mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:しない


AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF) / 4,256×2,832 / 1/400秒 / F4.8 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 105mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:しない	AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF) / 4,256×2,832 / 1/100秒 / F3.2 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 105mm / ピクチャーコントロール:ビビッド / アクティブD-ライティング:しない


AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF) / 4,256×2,832 / 1/200秒 / F4 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 105mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:しない	AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF) / 4,256×2,832 / 1/100秒 / F3.3 / +1EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 105mm / ピクチャーコントロール:ビビッド / アクティブD-ライティング:しない


AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED / 4,256×2,832 / 1/125秒 / F8 / +1EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 55mm / ピクチャーコントロール:ビビッド / アクティブD-ライティング:しない (PLフィルター使用)	AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED / 4,256×2,832 / 1/1.6秒 / F11 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 42mm / ピクチャーコントロール:風景 / アクティブD-ライティング:しない


AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF) / 2,832×4,256 / 1/2.5秒 / F11 / -1.0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 105mm / ピクチャーコントロール:風景 / アクティブD-ライティング:しない	AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED / 2,832×4,256 / 1/5秒 / F16 / +1.0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 28mm / ピクチャーコントロール:スタンダード / アクティブD-ライティング:しない

AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED / 4,256×2,832 / 1/50秒 / F8 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:6250K / 24mm / ピクチャーコントロール:ビビッド / アクティブD-ライティング:しない

■ ＵＲＬ
　ニコン
　 http://www.nikon.co.jp/
　製品情報
　 http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d700/
　 D700関連記事リンク集
　 http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/07/03/8783.html

吉住志穂
(よしずみしほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。「デジタルフォト」や「日本フォトコンテスト」で連載中。日本自然科学写真協会(SSP)会員。http://www.geocities.jp/shihoyoshizumi/

2008/09/04 00:34

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