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【新製品レビュー】パナソニック「LUMIX DMC-FX37」

〜機能充実の定番コンパクト機
Reported by 吉住志穂

 着実に進化をつづけるパナソニックの売れ線シリーズ、FXシリーズの2桁番台がモデルチェンジしました。外観に大きな変化はありませんが、今回はレンズのズーム倍率が4倍から5倍になり、焦点距離25〜125mm(35mm判換算、以下同)をカバー。旅行や人物撮影などで、より使いやすくなりました。

 さらに新機能として「追っかけフォーカス」を搭載。ほかにも「ピンホール」や「サンドブラスト」といった、一風変わったシーンモードが追加されています。

 記録メディアはSDHC/SDメモリーカード。発売日は8月22日で、店頭予想価格は4万3,000円前後です。


コンパクトなボディに5倍ズームレンズを搭載

 試用したのは5色のうちの1色「エクストラブラック」。見た目は前モデルの「DMC-FX35」とほとんど同じです。ボディ表面はマットな感じ。2代前の機種「DMC-FX33」のショコラブラウンに似た感触で、滑りにくくて好印象です。

 スイッチの数や配置も前モデルと同じ。このシリーズで一番好きな、スライド式の電源スイッチも継承されています。毎回書いてますが、爪が長い女性は小さなボタンを長押しするのが苦手なので、スライドスイッチが使いやすいのです。

 CCDの仕様もDMC-FX35と同様の1/2.33型の有効1,010万画素。最高感度がISO1600で、高感度モードだと最高ISO6400まで自動的に上がるのも一緒です。





 大きく変わったのがレンズでしょう。前モデルで広角端が28mmから25mmに変わったわけですが、今回は広角側はそのままに、望遠端が100mmから125mmになりました。もちろんボディの厚みも22mmで変わりません。中望遠といえる画角なので、人物やペットを撮るときなどに便利です。

 その代わり、望遠端での最短撮影距離が50cmから100cmに伸びたのは残念です。ワイド端の最短撮影距離は5cmで変わりないので、背景を入れつつ被写体にぐっとよって撮影する、広角マクロを楽しむのが良いと思います。

 液晶モニターは2.5型の約23万ドット。相変わらず再生時の精細感と発色が良くて、スライドショーでの写真鑑賞が楽しくなるカメラです。最近は2.7型や3型の液晶モニターを見慣れたせいもあり、「もう少し大きければ」と思うこともありましたが、ボディサイズとボタンの配置を考えると、やっぱり絶妙なバランスだと感じます。

 視野角も広くて、極端なハイアングルやローアングルを除けば、使用上ほとんど問題ありません。明らかに前モデルより良くなった点のひとつです。また、「LCDモード」を「オートパワーLCD」に設定しておけば、明るさが周囲や被写体の明るさに合わせて変わります。Q.MENU(DMC-FX33までは“ファンクションメニュー”)からも設定できるので、オートパワーLCDの明るさが気に入らなければ、すぐに標準的な明るさに切り替えることができます。

 バッテリーの撮影可能枚数は310枚。前モデルの約290枚から若干増えました。充電器は今までと同じようにコンセントの差し込み口が格納できるタイプなので、一緒にコードを持ち歩く必要がありません。


ズーム倍率が4倍から5倍に。よりカバーできる範囲が広くなっています 左からスライド式の電源スイッチ、シャッターボタン、モードダイヤル

記録メディアとバッテリー 充電器とバッテリー

前モデルと同じく撮影/再生切替スイッチを装備 端子関連も前モデルと同じ。一番右がコンポーネント出力端子

実用的な「追っかけフォーカス」

 新機能のうち目玉といえるのが、「追っかけフォーカス」でしょう。被写体がフレームに入っている限り、動いても追いつづけるというもので、カシオやペンタックスのコンパクトデジタルカメラにも以前からあります。

 オートフォーカスモードから「追尾AF」を選ぶと利用できるほか、撮影モードの「インテリジェントオート」(おまかせiA)でも作動します。液晶モニター上の上下左右方向だけでなく、デジタル一眼レフカメラのコンティニュアスAFのように、前後方向への追尾も同時に行ないます。

 追尾AFの面白いところは、十字ボタン下を押すたびに、通常のAFと追尾AFが切り替わるところ。つまり、好きなタイミングでロックと解除が行なえるわけです。ここが他メーカーの追尾AFと違うところで、例えば追尾中にほかの被写体へとフォーカスを変えたい場合、スムーズに切り替えることができます。

 ロックまでの時間は追尾能力も結構高い印象。ペットの猫ぐらいなら、楽に追尾できる印象です。ただし、被写体の色をもとに判断しているようで、被写体の後ろに同じような色が存在すると、そちらを追うこともあります。また、上下左右に比べると前後方向の追尾が遅く、動きの速い被写体を撮影すると後ピンや前ピンになっていることもあります。

 追尾AFで便利なのは、フォーカスロックの代わりに使えることでしょう。動かない被写体でも一度追尾AFをロックすれば、シャッターボタンを半押しし続けなくても被写体にAFが合い続けます。アングルを考えながら小物や料理を撮るときにとても役立ちました。ユーザーによっては、顔認識より役立ちそうな機能ですし(顔をロックすれば同じことが可能)、今後の進化が楽しみです。

 その顔認識も強化され、横顔や斜め顔でも認識するようになりました。認識速度や精度にも不満はありません。


追尾AFを選んだところ。インテリジェントオートのときは下ボタンでON/OFFを指定する Q.MENUからスピーディに選択することもできる

追尾AFで顔をロック。顔認識と同じように、顔を前後に動かしても追尾します

顔認識は横顔や斜め顔にも対応

 また、手ブレ補正で「オート」が選べるようになりました。これまでの「MODE1」と「MODE2」のいいとこ取りをしたような設定で、レンズの広角側だとシャッターボタンを押すまで手ブレ補正が動作せず、望遠側だと常時補正されるモードです。

 望遠側だと撮影する前でも手ブレが目立ち、フレーミングしづらいケースがあります。常時補正されるMODE1なら望遠側でもブレが抑えられるのですが、シャッターボタンを押したときに補正がかかるMODE2の方が効果が高いといわれているし、電池の消耗も気になります。そこで、ブレの目立ちにくい広角側ではフレーミング時の補正をやめて、望遠側にズームしたときだけフレーミング時の補正がかかるのが、手ブレ補正「オート」というわけです。


手ブレ補正に「オート]が追加された これもQ.MENUから選べる

インパクト大のシーンモード

 新しいシーンモードにも触れておかなくてはなりません。「シーンモード=初心者向け」ぐらいに考えてましたが、「サンドブラスト」と「ピンホール」は、写真の雰囲気を大きく変えることができます。

 サンドブラストは、フィルムの粒子感や、手焼きでの硬調な雰囲気を白黒で再現したものです。シャープ感も高く、ハマる人はハマる絵作りでしょう。感度は必ずISO1600になります。一方ピンホールは、その名の通りピンホールカメラで撮影したような仕上がりになるモード。周辺光量がぐっと落ちると同時に色が浅くなるところは、ピンホールというよりトイカメラでのフィルム撮影も思わせます。といっても、画像の中心は結構シャープ。こうした効果はパソコンでもできますが、撮影しているその場の気分で選択するのも良いものです。フィルムっぽさを前面に出す方向性は、写真好きの若い女性の好みにもあっています。コンパクトデジタルカメラの機能として、今後流行るかもしれません。


サンドブラスト ピンホール

 残念なのは、どちらも記録画質が3M(4:3のとき)になること。あまり大きくプリントするモードでもないので、これで良いのでしょう。どちらもパソコンを使って同じような効果をかけることができますが、撮るだけで面白い効果が得られるところが特徴でしょう。

 もうひとつ、「変身」というシーンモードが笑えます。他社のカメラにも似た機能がありますが、要するに画像を横や縦に引き延ばすモードです。「スリム強」、「スリム弱」、「効果なし」、「グラマラス弱」、「グラマラス強」の5段階があり、順に画面内の被写体が太っていきます。とにかく、冗談が通じない女性を撮るときは気をつけてください。このシーンモードも3Mで記録されます。


変身の「グラマラス強」 Q.MENUからも選べます

 なお、追尾AFや新シーンモードは、同時発表の「LUMIX DMC-LX3」、「LUMIX DMC-FZ28」、「LUMIX DMC-FX150」でも使えます。


まとめ

 画質に関してですが、DMC-FX35と大きく変わらない印象を受けました。同じCCDと画像処理エンジン(ヴィーナスエンジンIV)ということもありますが、高感度に設定してもノイズが目立たず、手ブレ補正も良く効くので、手持ちでスナップ的に撮るにはとても使いやすいカメラです。さらに広角端はとてもシャープで、このクラスのコンパクトで字たるカメラとしては、四隅の流れや歪みも目立たない方です。コンパクトなボディでの超広角撮影が目当てなら、かなりお薦めできる機種といえます。

 このクラスとしては装備やインターフェイスの面で気になる点はなく、全体的に完成度の高いカメラです。ハイビジョン動画記録やコンポーネント端子も、これからの環境を考えるとうれしい装備といえるでしょう。できれば、「LUMIX DMC-FX55」のような、3型液晶バージョンも手にとってみたいものです。


 

●作例

※サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


画角

広角端
3,648×2,736 / 1/1.6秒 / F2.8 / -1EV / ISO100 / WB:白熱灯 / 25mm(35mm判換算)
望遠端
3,648×2,736 / 1秒 / F5.9 / -1EV / ISO100 / WB:白熱灯 / 125mm(35mm判換算)

歪曲収差

3,648×2,736 / 1/200秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 25mm(35mm判換算) 3,648×2,736 / 1/50秒 / F5.9 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 125mm(35mm判換算)

ISO感度

ISO100
2,736×3,648 / 1/6秒 / F2.8 / +0.7EV / WB:オート / 25mm(35mm判換算)
ISO200
2,736×3,648 / 1/13秒 / F2.8 / +0.7EV / WB:オート / 25mm(35mm判換算)

ISO400
2,736×3,648 / 1/25秒 / F2.8 / +0.7EV / WB:オート / 25mm(35mm判換算)
ISO800
2,736×3,648 / 1/40秒 / F2.8 / +0.7EV / WB:オート / 25mm(35mm判換算)

ISO1600
2,736×3,648 / 1/80秒 / F2.8 / +0.7EV / WB:オート / 25mm(35mm判換算)

追尾AF(追っかけフォーカス)

 動くものを撮るときに便利な追尾AFですが、静物でもフォーカスロックのように使うと便利です。シャッターボタンを半押ししてなくてもロックし続けるし、前後方向にもフォーカスが移動するので、構図の試行錯誤が楽に行なえます。

 下の写真は追尾AFで撮ったものです。色んなアングルで撮ってみました。


2,736×3,648 / 1/500秒 / F3.2 / +0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 25mm(35mm判換算) 2,736×3,648 / 1/200秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 25mm(35mm判換算)

3,648×2,736 / 1/500秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 25mm(35mm判換算) 2,736×3,648 / 1/320秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 25mm(35mm判換算)

サンドブラストとピンホール

サンドブラスト
1,536×2,048 / 1/640秒 / F3.2 / -0.3EV / ISO1600 / WB:― / 25mm(35mm判換算)
サンドブラスト
1,360×2,048 / 1/40秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / WB:― / 26mm(35mm判換算)

ピンホール
2,048×1,536 / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:― / 25mm(35mm判換算)

通常撮影
2,736×3,648 / 1/8秒 / F2.8 / -1.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 25mm(35mm判換算)
サンドブラスト
1,536×2,048 / 1/100秒 / F2.8 / -1EV / ISO1600 / WB:― / 25mm(35mm判換算)
ピンホール
1,536×2,048 / 1/30秒 / F2.8 / -1.3EV / ISO500 / WB:― / 25mm(35mm判換算)

「変身」モード

変身(スリム強)
1,536×2,048 / 1/400秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm(35mm判換算)
変身(スリム弱)
1,536×2,048 / 1/250秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm(35mm判換算)
変身(効果なし)
1,536×2,048 / 1/250秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm(35mm判換算)

変身(グラマラス弱)
1,536×2,048 / 1/320秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm(35mm判換算)
変身(グラマラス強)
1,536×2,048 / 1/250秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm(35mm判換算)

カラーモード

カラーモード:標準
3,648×2,736 / 1/60秒 / F4.9 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 64mm(35mm判換算)
カラーモード:ナチュラル
3,648×2,736 / 1/60秒 / F4.9 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 64mm(35mm判換算)

カラーモード:ビビッド
3,648×2,736 / 1/60秒 / F4.9 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 64mm(35mm判換算)
カラーモード:白黒
3,648×2,736 / 1/60秒 / F4.9 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 64mm(35mm判換算)

カラーモード:セピア
3,648×2,736 / 1/60秒 / F4.9 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 64mm(35mm判換算)
カラーモード:クール
3,648×2,736 / 1/60秒 / F4.9 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 64mm(35mm判換算)

カラーモード:ウォーム
3,648×2,736 / 1/60秒 / F4.9 / -0.3EV / ISO100 / WB: / 64mm(35mm判換算)

自由作例

2,736×3,648 / 1/20秒 / F4.9 / +0.7EV / ISO400 / WB:白熱灯 / 64mm(35mm判換算) 3,648×2,736 / 1/160秒 / F3.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 36mm(35mm判換算)

3,648×2,736 / 1/320秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 25mm(35mm判換算) 2,736×3,648 / 1/20秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:白熱灯 / 25mm(35mm判換算)

2,736×3,648 / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 25mm(35mm判換算) 3,648×2,736 / 1/80秒 / F2.8 / +1EV / ISO100 / WB:晴天 / 25mm(35mm判換算)

3,648×2,736 / 1/10秒 / F5.2 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 80mm(35mm判換算) 3,648×2,056 / 1/6秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 27mm(35mm判換算)

2,736×3,648 / 1/3秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25mm(35mm判換算) 3,648×2,736 / 1/4秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO400 / WB:白熱灯 / 25mm(35mm判換算)


URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/fx37/

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吉住志穂
(よしずみ しほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。「デジタルフォト」や「日本フォトコンテスト」で連載中。日本自然科学写真協会(SSP)会員。http://www.geocities.jp/shihoyoshizumi/

2008/08/18 14:44
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