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「GR DIGITAL II」機能拡張ファームウェア第2弾を試す

~ISOオートの感度表示が可能に
Reported by 本誌:折本 幸治

 いささか旧聞に属するが、リコーは7月24日、「GR DIGITAL II」用の機能拡張ファームウェア第2弾を公開した。ここでは、第2弾における新機能をあらためて紹介する。

 新ファームウェアのバージョン番号は2.10。前回の機能拡張ファームウェア(Ver.2.00)は、アップダウンダイヤルでの再生画像送りなど、純粋な機能追加の側面が強かった。しかし今回のVer.2.14での拡張機能は、7月4日発売の「GX200」が搭載している新機能の一部と重複する。

 つまりリコーは両者の機能差をなるべくなくそうとしているわけで、GX200の新機能に魅力を覚えたGR DIGITAL IIユーザーにとっては魅力的な機能拡張といえる。

 新ファームウェアで実現する機能は、大きくまとめて次の5つになる。

  • ホワイトバランス補正
  • 再生モード時の詳細報表示
  • 絞り自動シフト
  • ノイズリダクション
  • ISO感度表示


ファームウェア更新の画面。SDメモリーカード経由でアップデートできる バージョンアップ後のファームウェア表示。ファームウェアの確認方法は、電源オフ→SCENEモード→十字ボタン下+再生ボタン長押し

 では、追加機能の詳細を順番に見ていこう。なお、いずれの機能もGX200に実装済みであり、その内容にも目立った差がないことを確認している。


ホワイトバランス補正

 「ホワイトバランス補正」は、ホワイトバランスの色調を補正するもので、「グリーン」、「マゼンタ」、「ブルー」、「アンバー」のそれぞれに微調整できる。デジタル一眼レフカメラの中級機がよく搭載している機能で、インターフェイスもそれらに近い。コンパクトデジタルカメラとしては珍しい装備といえる。

 同機能は撮影時だけでなく、再生後の画像にも適用可能。補正した写真は別名で保存される。液晶モニターを見ながらの補正もやりやすく、JPEG派にはうれしい機能だろう。

 初期状態に戻したいときは、背面の削除/セルフタイマーボタンを押せば良い。また、撮影時のホワイトバランス補正は、ADJ.レバーにも登録が可能。オートホワイトバランスの補助として使えるのはもちろん、気軽に個性的な色調での撮影をトライできるのは面白い。

 しかもこの機能は、ホワイトバランスブラケットと併用が可能だ。ホワイトバランスブラケットは、ワンシャッターで“Rにシフト”、“ノーマル”、“Bにシフト”の3枚を撮影できる機能。ホワイトバランス補正を先に設定してからホワイトバランスブラケットを作動させれば、3枚ともホワイトバランス補正の数値をベースにした色味になる。


ホワイトバランス補正(撮影時) ホワイトバランス補正(再生時)

ADJ.レバーへの登録も可能 リセットもADJ.モードから行なえる

再生モード時の詳細情報表示

 上記のホワイトバランス補正に関連した機能のひとつ。ホワイトバランス補正を適用して撮影した画像を再生すると、補正の各数値が液晶モニター画面に表示されるようになった。

 また同時に、再生時に画像設定のアイコンも現れるようになった。

 画像設定とは、「硬調」、「普通」、「軟調」、「白黒」、「白黒(TE)」(=Toning Effect)の5つに、2つのユーザー設定を加えたもの。ユーザー設定で撮影した画像を再生すると、設定したコントラスト、シャープネス、色の濃さの各パラメーターを確認できる。ユーザー設定以外だと、専用のアイコンが現れる。

 なお、GR DIGITAL IIにない画像設定として、GX200には「自動レベル」が存在する。


画像設定「軟調」の場合。“S”のアイコンが出る さらにホワイトバランス補正の数値(A:1, M:2)も表示可能

画像設定の「ユーザー1」。コントラスト、シャープネス、色の濃さを設定できる 画像設定「ユーザー1」で撮影した画像。設定した各値がわかる

絞り自動シフト

絞り自動シフトの設定
 GR DIGITAL IIの最高シャッター速度は1/2,000秒なので、最低感度のISO80であっても、明るい環境では絞り開放のF2.4だと露出オーバーになることがある。

 新機能の「絞り自動シフト」をONにすると、絞り優先モード時にカメラが自動的に絞り値を大きくして、適正露出が得られるようになる。なお当たり前といえば当たり前だが、絞り優先モードでしか使えない。


ノイズリダクション

Ver.2.10のノイズリダクション設定
 ノイズリダクションそのものは従来からあったが、「ON」か「OFF」しか選べず、ONにするとどの感度設定でも適用された。対して新ファームウェアでは、ノイズリダクションが作動しはじめるISO感度を設定できるようになった。

 具体的には「ISO401以上」、「ISO801以上」、「ISO1600」以上でノイズリダクションをオンにすることができる。加えて従来通り、ISO感度の値に限らずノイズリダクションが適用される「ON」も選べる。ノイズリダクションの効果自体はこれまでと変わらない印象。


ISO感度表示

 ISO感度を「AUTO」、または「AUTO-HI」にしているとき、シャッター半押し時にISO感度の数値が表示されるようになった。つまり、“ISO800”といったキリのの良い数値はもちろん、“ISO92”や“ISO135”といった中途半端な数値でも確認できる。

 ISOオート時には、思わぬ高感度になっていることもあるため、撮影前に確認できるこの機能は何かと役立ちそう。当たり前だが、ISO感度が表示されるのは、シャッターボタン半押し後にカメラがAEを決定した後になる。


Ver.2.04での撮影表示。ISO AUTOだとISO感度の表示を行なわない Ver.2.10で撮影表示。ISO AUTOであっても右下にISO感度の表示が見える

まとめ

 今回のアップデートで個人的に強い印象を受けたのは、ISO AUTOでのISO感度表示だ。ISOオートはその仕組み上、「撮影後しか正確な感度がわからないもの」と思い込んでいただけに、とても新鮮に感じる。実用度も高く、絞り優先時などで「普段はF4近辺、ISO800以上になるときに絞りを開ける」という使い方などが考えられる。

 GX200の発売から1カ月を経ず、リコーは機能拡張ファームウェアによって、GR DIGITAL IIにも同様の新機能を付与した。操作系やユーザー層が類似した兄弟機であるからこそできた部分もあるが、こうした取り組みは今後も継承してほしい。

 前モデル「GR DIGITAL」の機能拡張ファームウェアは、発売からGR DIGITAL IIの登場までの2年間に、計5回リリースされた。GR DIGITAL IIでの今後の機能拡張にも期待したい。



URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  ダウンロードページ
  http://www.ricoh.co.jp/dc/download/grd2/wingr2.html
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/gr/digital2/

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本誌:折本 幸治

2008/08/04 12:08
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