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【新製品レビュー】ソニー「α350」

〜ライブビューをフルに使いたい人に
Reported by 上田晃司

 αシリーズのエントリーモデルには、今回とりあげる「α350」と、その姉妹機にあたる「α200」が存在する。そのうちα350は、これまでにない「クイックAFライブビュー」を搭載。さらに上下可動式の液晶モニターを備えるなど、ライブビューに重点をおいた上位機種となっている。

 そのほか、シャッター速度換算で約2.5〜3.5段のボディ内蔵手ブレ補正機能、ゴミ対策機構、暗部補正機能など、最近のトレンドをしっかり網羅。それでいて、プロ機も顔負けのAPS-Cサイズ有効1,420万画素のCCDを搭載するなど、エントリーモデル機にしては高機能に仕上がっている。

 実勢価格は8万5,000円前後。DT 18-70mm F3.5-5.6が付属するレンズキットが9万円台前半、DT 18-200mm F3.5-6.3が付属する高倍率ズームレンズキットが14万円前後。


直感的に扱える操作系

 試用してまず感じたことが、操作性の良さだ。使用頻度の高い機能、例えばISO感度、露出補整、ドライブモード、AEロックなどの機能は、ダイレクトボタンとしてシャッターボタン周辺に配置してある。ほぼ人差し指と親指だけで、主な撮影機能の設定が可能だ。おかげで説明書を見ずに、ほとんど直感的に操作できた。

 また、ボディ背面のFn(ファンクション)ボタンを押すことで、ストロボ、測光、オートフォーカス、フォーカスエリア、ホワイトバランス、DレンジオプティマイザーのショートカットをまとめたFnメニューを呼び出せる。もちろん、露出モードやシーンセレクション(シーンモード)の変更は、モードダイヤルで可能だ。





Fnボタンを押すと、6種類の機能をまとめたファンクションメニューが表示される
ナビゲーションディスプレイもα100やα700から継承


 光学ファインダーは、視野率95%、倍率0.74倍。実際のぞいてみると、少し狭い印象を受けた。また、眼鏡をかけてファインダーを見ると、少し四隅がけられてしまう。裸眼ではけられは生じない。しかしファインダーは明るい方で、マニュアルフォーカスでのピントの山も比較的つかみやすい。

 ファインダー内には、ストロボ調光補正、シャッター速度、絞り値、露出補正値、連続撮影枚数、アスペクト比などの情報が表示されている。手ブレインジケーターや、手ブレ警告の表示も、初心者に優しい機能といえるだろう。また、画面の四隅にある横線は16:9で撮影する場合に使用するガイドラインだ。ライブビュー使用時以外に16:9で撮影できるのは便利だ。


ファインダー接眼部。アイスタートセンサーを装備 ファインダー内の表示。16:9のガイドラインが見える


圧倒的に高速な「クイックAFライブビュー」

 このカメラの売りとも言っても過言ではないのが、クイックAFライブビューだろう。ペンタ部に設けられたライブビュー用イメージセンサーが得た画像を、背面液晶モニターに常時出力することでライブビューを実現。クイックリターンミラーは下がったままなので、光学ファインダーを使用しているときとほぼ遜色ないAFの精度と速度になっている。コントラストAFやミラーダウンを伴うライブビューのAFと違い、ライブビューと光学ファインダーで操作感に差がないのは画期的といえる。

 さらにライブビュー用イメージセンサーは、1,200分割ライブビュー分析測光にも使われる。より正確な測光が可能になるという。


光学ファインダー使用時

ライブビュー時


 ライブビューと光学ファインダーの切り替えは一瞬で、シャッターボタン左側の「LIVE VIEW/OVF」スイッチを操作するだけだ。内部的には、ペンタミラーの一部が動き、レンズからの光路が変更され、ライブビューと光学ファインダーが切り替わる。ライブビューにした場合、光学ファインダーは自動的に遮光される。

 さらに、上下可動式の液晶モニターもうれしい点だ。クイックAFライブビューと組み合わせることで、ローアングルやハイアングルでの撮影が容易にできる。ボディ手ブレ補正機構も併用できるので、腕を伸ばしての撮影も安心だ。上下可動式なので、縦位置でのローアングルやハイアングルは少し辛い。それでも、ライブビューのヘビーユーザーである私にとって、動かないよりはずっと使い勝手が良い。なお、液晶モニターは2.7型23万ドットのクリアフォト液晶だ。


LIVE VIEW/OVF切替スイッチでライブビューを起動する。切替は速い ライブビューなら、16:9での撮影時にも撮影範囲がよくわかる


 とても便利なα350のクイックAFライブビューだが、他社のライブビュー機構にある、ピントを合わせたい場所を任意で拡大する機能が搭載されていない。その上、ライブビュー専用のイメージセンサーの画素数の問題なのか、ワイドレンズでライブビューを使うと、ピントがどこに合っているのか分からなくなる。カメラのAFを信じるしかないのが現状だ。

 とはいえライブビューでのレスポンスの良さは、ほかのライブビュー搭載機種にない大きな利点。ライブビュー中の露出ブラケットや連写が、必要な場面でストレスなく利用できるのは新鮮だ。ライブビュー中にコンティニュアスAFも可能なので、ライブビューの使い道が広がることだろう。

 ライブビューを活かした機能のひとつが「スマートテレコンバーター」だ。装着レンズに対して1.4倍、または2倍の相当の焦点距離に相当する画角にトリミングしてくれる機能だ。画像サイズは、1.4倍の時にM(7.7M)、2倍の時にS(3.5M)になる。コンパクトデジタルカメラの切り出し系ズーム機能と同じ内容だと考えればよいだろう。この機能を使えば、キットレンズのDT 18-70mm F3.5-5.6の場合、最大で約36〜140mmのレンズとして使用可能。ライブビュー時しか利用できないが、いざというときに重宝するだろう。

 スマートテレコンバーターを使うと、フォーカス表示のみが表示され、ピントが合ってもフォーカスエリアは点灯しない。そのため、一瞬どこにピントが合ったのかわからない。またライブビュー画像は、拡大倍率が上がるほど粗くなるが、撮影すると綺麗に写るので問題ないだろう。


背面右上のボタンでスマートテレコンバーターを作動させる スマートテレコンバーターを使用したところ。画面は2倍の状態


特徴的なα700の機能を継承

 本機には、逆光での撮影などで露出と階調を自動でコントロールする「Dレンジオプティマイザー」が搭載されている。上位機種のα700から搭載された機能で、α350では「スタンダード」(D-R)、「アドバンス」(D-R+)、「オフ」(D-R OFF)の3種類を搭載。任意の効果レベルを設定する「アドバンスレベル設定」は省略されている。

 Dレンジオプティマイザーは、基本的にハイライトの部分は残しつつ、暗くなった部分など暗い部分を持ち上げて明るくしてくれる機能。逆光で暗くなった建物や人物の顔などで役立つ。ただし、明暗差が無くなりコントラストが低くなる場合もあるので、メリハリの欲しい写真を撮りたい場合はOFFにするといいだろう。


Dレンジオプティマイザーはα700から簡略化された。メインのアドバンスとスタンダードは継承

クリエイティブスタイルも搭載。こちらも主要なスタイルや微調整機能は残されている


 また、本機には「クリエイティブスタイル」が搭載されている。これもα700から踏襲したもので、被写体や撮影環境に合わせて、仕上がりの傾向を変更できる機能だ。

 クリエイティブスタイルには、ベーススタイルとして「スタンダード」、「ビビッド」、「ポートレート」、「風景」、「夜景」、「夕景」、「白黒」、「Adobe RGB」の8種類がある。14種類だったα700から数が減少しているが、主だったところは残されている。さらに各クリエイティブスタイルは、コントラスト、彩度、シャープネスを±3段階で調整可能だ。

 最低感度はISO100、最高感度はISO3200。低感度はもちろんのこと、ISO800位まではほとんどノイズが気にならない。ISO1600では暗部のカラーノイズが目立つものの、解像感はあまり失われない。ISO3200になるとさすがに大量のノイズが画像全体に発生してしまう。

 ISO1600や3200には高感度ノイズリダクションをかけることが可能。ISO1600の場合は、ほとんど解像感は失われずに、暗部のカラーノイズがかなり目立たなくなった。ISO3200では解像感は失われるものの、カラーノイズは薄まる。ノイズリダクションの効果は大きい印象を受けた。


まとめ

 エントリーモデル機ながら、露出ブラケットやホワイトバランスブラケットも搭載している。どちらもドライブモードから選択できるのでとても便利だ。また、セルフタイマーも2秒と10秒を切り替えできるのもありがたい。

 連続撮影枚数は、光学ファインダー使用時に2.5コマ/秒と少なめだが、ライブビュー使用時にも2コマ/秒撮影できるので、ライブビュー中の露出ブラケットや連写が必要なシーンで重宝しそうだ。

 コンパクトなボディにストレスを感じさせないライブビューに加え、多彩な表現を可能にするDレンジオプティマイザーやクリエイティブスタイルを装備。高感度に強く、直感的に操作できる操作性も評価できる。トータルバランスで見ると、かなり使い勝手のよいデジタル一眼レフカメラといえるだろう。

 また、ライブビューを使用しても約410枚(CIPA規格)撮れるスタミナ性能も、ライブビューが売りのこのカメラにはとても重要だろう。バッテリーの残り容量もパーセントで表示してくれるので安心だ。ライブビューをフルに使いたいユーザーにはお勧めできる1台だ。


バッテリーはα700やα200と共通。電池の持ちは良い

縦位置に合わせてナビゲーションディスプレイが90度回転。三脚使用時に都合が良い。ライブビュー表示も回転してほしかった
●作例

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離/Dレンジオプティマイザー設定/クリエイティブスタイル設定を表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


●クリエイティブスタイル

共通設定:DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/100秒 / F13 / +0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 20mm / D-R OFF


クリエイティブスタイル:Adobe RGB

クリエイティブスタイル:スタンダード


クリエイティブスタイル:ビビッド

クリエイティブスタイル:ポートレート


クリエイティブスタイル:風景

クリエイティブスタイル:夜景


クリエイティブスタイル:夕景

クリエイティブスタイル:白黒


●Dレンジオプティマイザー


Dレンジオプティマイザー:スタンダード(D-R)
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/125秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 18mm / スタンダード
Dレンジオプティマイザー:アドバンス(D-R+)
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 18mm / スタンダード

Dレンジオプティマイザー:オフ(D-R OFF)
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/125秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 20mm / スタンダード

●ISO感度


ISO100
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 2秒 / F11 / 0EV / WB:オート / 18mm / D-R OFF / スタンダード
ISO200
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1秒 / F11 / 0EV / WB:オート / 18mm / D-R OFF / スタンダード

ISO400
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/2秒 / F11 / 0EV / WB:オート / 18mm / D-R OFF / スタンダード
ISO800
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/4秒 / F11 / 0EV / WB:オート / 18mm / D-R OFF / スタンダード

ISO1600(ノイズリダクションOFF)
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/8秒 / F11 / 0EV / WB:オート / 18mm / D-R OFF / スタンダード
ISO1600(ノイズリダクションON)
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/8秒 / F11 / 0EV / WB:オート / 18mm / D-R OFF / スタンダード

ISO3200(ノイズリダクションOFF)
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/15秒 / F11 / 0EV / WB:オート / 18mm / D-R OFF / スタンダード
ISO3200(ノイズリダクションON)
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/15秒 / F11 / 0EV / WB:オート / 18mm / D-R OFF / スタンダード

一般作例


DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光 / 20mm / D-R OFF / スタンダード DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/60秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm / D-R+ / 風景

DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 70mm / D-R+ / スタンダード DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 2秒 / F36 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 45mm / D-R+ / スタンダード

100mm F2.8 Macro / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F3.2 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 100mm / D-R OFF / スタンダード 100mm F2.8 Macro / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F5 / +0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 100mm / D-R / スタンダード

100mm F2.8 Macro / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/640秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 100mm / D-R OFF / スタンダード 100mm F2.8 Macro / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F4 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 100mm / D-R OFF / スタンダード

100mm F2.8 Macro / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/200秒 / F4 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 100mm / D-R OFF / スタンダード 100mm F2.8 Macro / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/80秒 / F4 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 100mm / D-R OFF / スタンダード

100mm F2.8 Macro / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F3.5 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 100mm / D-R / スタンダード 100mm F2.8 Macro / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F3.2 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 100mm / D-R / ビビッド

DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,056×4,592 / 絞り優先AE / 1/400秒 / F4 / +0.3EV / ISO400 / WB:太陽光 / 20mm / D-R OFF / 風景 DT 18-70mm F3.5-5.6 / 4,592×3,056 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 70mm / D-R / スタンダード


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/dslr/products/body/DSLR-A350/
  ソニーα350関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7906.html



上田晃司
(うえだこうじ)1982年広島県生まれ。アメリカ、サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強をする。学生時代にTV番組やCMを制作するものの人物写真に目覚め、写真家を目指すことを決意。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントしながらフリーランスのカメラマン、ライターとしても活動を開始。

2008/04/24 00:00
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