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【新製品レビュー】キヤノン「EOS 40D」

〜コストパフォーマンスの高い中堅実用機
Reported by 山田 久美夫

※実機外観写真は編集部が撮影しました
 キヤノンから1,010万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載した中堅デジタル一眼レフ「EOS 40D」が登場した。

 先代モデルとなる「EOS 30D」の発売が2006年3月であり、その前の「EOS 20D」が2004年8月。そして初代の「EOS 10D」が2003年3月の発売。つまり、今回の「EOS 40D」はまさに予定通り、ちょうど1年半の時間を経てのモデルチェンジとなった。いかにも事業計画どおりの展開といった感じの新製品だ。


団塊世代向け本格派モデル

40Dのターゲットは団塊の世代(発表会でのプレゼンテーションより)
 40Dは、同社の中堅一眼レフで初めて、同機をメインにした発表会が開催された。まあ、普通に考えると、発表会の主役は、同時発表の35mmフルサイズのハイエンド機「EOS-1Ds Mark III」であり、事実上の主力商品となる同時発表の「IXY DIGITAL」になってしかるべき。

 だが、今回キヤノンはあえて、この40Dを発表会の主役に据え、その時間の大半を同機の紹介とマーケット戦略に費やした。もちろん、その影には、国内市場での熾烈なシェア争いがある。

 現在、機種別のデジタル一眼レフ国内シェアのNo.1をEOS Kiss Digital Xが獲得していながらも、その下には「D80」、「D40X」、「D200」といったニコン勢が2〜4位を獲得しており、メーカー別総合シェアでは、ニコンに負けているという現実がある。

 そのため、今回の40Dの投入で、これまでやや手薄だった中堅機市場を本機で獲得し、国内市場でのトップシェアを奪還しようというのが、今回の戦略といえる。発表会では、40Dで今年9〜12月期の機種別シェア20%を獲得すると豪語。Kiss Digital Xでさえ市場シェアは24%前後であり、11月には超強力なライバル機D300が控えているのだから、この数字は無謀にも思えるのだが……。

 そして、そのシェアを実現するための戦略としてキヤノンが掲げたのが「団塊世代向け本格派モデル」という、40Dの位置づけ。そして、そのイメージパートナーとして選ばれたのが、もうCMでご覧になった人も多いと思うが、ハリウッドでも大人気の渡辺謙氏というわけだ。


着実な進化モデル

 本機は1年半ぶりに登場した最新鋭機であり、パッと見たときのイメージは先代モデルを踏襲しているが、外装も内部処理もほぼ一新された、新規開発モデルといえる。

 実際、先代の30Dと比較すると、かなり大幅なリファインがなされている。CMOSセンサーは新開発だし、画像処理エンジンも「DIGIC II」から最新の「DIGIC III」へと進化。さらに、連写速度も秒5枚から秒6.5枚に上がり、ファインダー倍率も0.9倍から0.95倍へ。測距系も中央がF2.8対応のクロスセンサーになるなど、長足の進化を遂げている。

 デザインも、2機を並べていると、パッと見たときの雰囲気はさほど変わっていないが、細部は驚くほど変わっており、全体により精悍になった感じがする。


40D(左)と30D

 とくに背面は、液晶モニターが3型になったこともあって、ボディー左側の操作レイアウトが一新されており、全く別物になっている。また液晶モニターに表示されるメニューの構造は、一新されたと言っても過言ではないほどだ。

 先々代の「20D」から「30D」に進化したときは、ピクチャースタイルや2.5型液晶の搭載などがメインだったこともあって、それに比べると、今回の40Dはかなり大幅な進化を遂げている。

 とはいえ、「着実に進化しているけど、基本は変わってないなあ〜」というのが、本機を手にしての第一印象。ちょっと誤解を受けそうな感じもあるが、これが素直なところだ。


40D(左)と30Dのグリップ形状の違い
 手にしてまず感じるのは、グリップ感が微妙に変わったところ。グリップ形状が若干変わっており、40Dはシャッターボタン下に凹みが設けられて、片手でカメラを持ち上げたときの安心感は高い。だが、グリップのサイズは30Dのほうがやや細身なのか、手の小さな私には、40Dより30Dからのほうがやや持ちやすい感じがした。といっても、これは慣れでカバーできるレベルではあるが……。


魅力的なライブビューと3型液晶

40Dの3型液晶
 本機の特徴的な機能といえば、やはり3型液晶とライブビュー機能だろう。

 3型液晶モニターは圧巻。30D登場時には2.5型でもかなり大きく感じたものだが、今回の3型液晶の搭載はそれを遙かに超えるインパクトがある。実際、液晶モニターの見やすさは相当なもの。再生表示の見やすさはもちろん、メニューもかなり見やすくなっており、そろそろ視力が衰えつつある40代後半以上のユーザーにとっては、かなりの朗報といえる。

 また、液晶が広視野角タイプなので、斜め方向からの視認性も高い。実際、ライブビュー使用時にハイアングルやローアングル撮影をすると、その視野角の広さがどれほど便利なものなのか痛感する。


メニュー内のライブビュー設定
 話題のライブビューだが、出荷時設定のままでは使うことができず、メニュー内でライブビュー機能をONにセットする必要がある。

 ただ、ライブビュー機能を1度ONにしておくと、背面のサブ電子ダイアルのセンターボタンを押すだけで、簡単にライブビュー機能が使える点は実に便利。これだけ簡単な操作で利用できれば、使用頻度も自ずと増え、ローアングルやハイアングル、ノーファインダー撮影時などに、積極的に活用してみようという気になる。

 AFは、通常モードと同じ位相差検出方式を採用。そのため、ライブビュー撮影時にAF測距するには、AF-ONボタンをいちいち押さなければならず、その都度、ミラーがバタバタ作動する。とはいえ、AF-ONボタンは比較的押しやすい位置にあり、動作も十分に高速なので、割り切って使えば意外にストレスを感じることはない。

 40Dのライブビューが、D300などのようなコントラスト検出方式に対応していないのは、実に残念。現時点の技術では、AF測距速度の点で、まだまだ位相差検出方式が勝るのは事実で、とくに望遠系や大口径レンズで大ボケした状態からの測距は位相差のほうが有利だ。とはいえ、やはり同時期に登場するライバル機に比べ、ライブビュー時にコントラスト検出AFがないのは、本機の弱点といえるだろう。

 一方、ライブビュー中に、拡大ボタンを押すと、画面中心部が5倍もしくは10倍に拡大表示されるため、ピントの確認やマニュアルフォーカスは容易だ。


ライブビューの静音モード
 また本機は、ライブビュー機能を生かした、静音撮影にも対応している。つまり、ライブビューでミラーアップされた状態から、直接撮影動作を行なうことで、レンジファインダー機並みの静音さを実現している。この静音モードは2モードあり、モード1は撮影後自動的にシャッターがチャージされ、モード2ではシャッターボタンから指を放すまでチャージが行なわれないので、シャッター音が問題にならない状況になるまで静音を保てるわけだ。そのため、音楽やスポーツなどシャッター音が気になるシーンでの撮影にも威力を発揮する。

 それと同時に、ライブビュー時は自動的にミラーアップ撮影になるため、撮影時のブレを大幅に軽減することができるのもメリット。たとえば、超望遠や拡大マクロ撮影、天体撮影時などにも威力を発揮する。

 ただ残念なのは、カスタムファンクションで撮影シミュレーションをONにしても、十分な明るさがないと、絞りは必ずしも設定値まで絞り込まれない。つまり、露出を変えても、単純に液晶表示の明るさが変わるだけで、被写界深度を確認することができないわけだ。これはCMOSセンサーの感度の問題もあるのだろうが、せめてシミュレーションをONにしたときだけでも、絞りの効果をきちんと反映させて欲しいところだ。


見やすいがもう一息のファインダー

 一眼レフの心臓部であるファインダーもやや進化している。

 ファインダー倍率は「30D」の0.9倍から、0.95倍へと向上している。ほんの少し前まで、APS-Cサイズセンサー搭載機は、ファインダー倍率の低さがネックとなっていたが、それも今は昔の話。このファインダー倍率なら、APS-Cサイズであることを意識することなく、撮影に専念できる。

 眼鏡をかけている筆者にとって、倍率はちょうどいい。EOS-1Ds Mark IIIのように、ファインダー倍率が高すぎて、眼鏡をかけていると全視野が見渡しにくいといったこともない。

 だが、先代の30Dのファインダーも悪くないレベルだったので、実際に並べてみると、驚くほどの違いはない。むしろ、ファインダーの見え味という点では、シーンによっては30Dのほうがいいかな? と感じることもあった。

 フォーカシングスクリーンの、ピントの山の掴みやすさは、まずまずといったところ。マニュアルフォーカスなどでピントが不安なときは、ライブビューで拡大表示してチェックするほうがいい。実際、標準装備のスクリーンはやはり明るさ優先のためか、ピントの山にも若干曖昧な部分が残されているうえ、前後のボケは実際よりもかなり控えめに見える。そのため、大口径レンズ装着時でも、さほど前後がボケて見えないので注意が必要だ。

 このあたりは、オプションとなる交換スクリーンの「Ef-s」に交換すれば、かなり改善されると思われるが、今回は試すことができなかった。

 このほか、標準スクリーンでは、ざらつき感が気になった。とくに、標準ズームとして推奨している「EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USM」のようにF値が暗めのレンズを装着すると、ファインダー全体が妙にざらついた印象を受ける。人によっては気にならないかもしれないが、1度気になり出すとどうもいけない。もちろん、撮影に支障があるというわけではないし、より明るいレンズを装着すればその印象は軽減される。

 ファインダー視野率は上下左右ともに約95%と、中堅機としてはまずまずのレベル。ごく一般的には「視野率は95%もあれば実用十分」かもしれない。だが、JPEG撮影で後処理しないのが大前提であれば、やはりこの視野率には不満を感じる。とくにギリギリのフレーミングをしているときや、逆光撮影でのハレ切り(逆光でレンズ面に光線がささないように、ギリギリのところで光線をカットすること)などでは困りもの。

 ハイエンド機のように、視野率を100%にするとサイズやコストにかなりの負担がかかるとはいえ、キヤノンが本機を“本格派”とうたうのであれば、視野率はせめて98%前後まで上げたいところ。とくに、広い意味でのライバル機となるD300のような視野率100%のモデルと比較すると、見劣りしてしまう感じだ。メーカー側から見れば「この価格帯のモデルにそこまで要求しないで!」といわれそうだが、それならAPS-Cセンサーを搭載した、視野率100%の“真の”本格派モデルをラインナップするべきだろう。

 AF測距については、センターがF2.8対応のクロスAFになったり、AFセンサーを2ラインに千鳥配列にすることで、大ボケ時からのAF測距が改良されたという。実際に使った印象では、AF測距で不満を感じるケースは少なく、十分に快適で軽快だ。


安定した高速連写

 秒間6.5枚。これは銀塩全盛時代の最高級機を凌駕するレベルの高速連写性能といえる。しかも、単なる高速連写ではなく、きちんと1枚ごとにAF測距されるため、動体撮影のAF連写が可能というスグレモノだ。

 本機はこの高速性能と連写時のAF測距を実現するため、ミラー駆動に2モーター方式を採用するという贅沢な仕様となっている。この効果は絶大で、秒6.5枚でも、AF測距のために1枚ごとにミラーがきちんと定位置で安定する。そのため、連写中のファインダー像も意外なほど安定しており、連写中でもマニュアルフォーカスできるほど。

 もちろん、1コマ撮影時でも、ミラーの復帰が高速なため、使っていても気持ちがいいので、高速連写が必要ない人にもそのメリットは感じられるだろう。

 シャッター音は、先代の30Dとやや異なる。30Dの機械的でやや硬質な音に比べ、本機の方が若干ではあるがソフトな印象を受ける。


便利な自動感度設定機能

 感心したのは、ISO感度のAUTO機能。実はこれまでのEOSは、フルオートのグリーンポジションやシーン別プログラムモードを選ばなければ、ISO感度をAUTOに設定することができなかった。これはプログラムAEや絞り/シャッター速度優先AEを選ぶ人は、積極的にISO感度を選択して使うだろうという考え方による“仕様”だったようだ。だが、実際のスナップ撮影などでは、ISO感度をAUTOで使いたいケースは結構多かったのも事実。しかし、グリーンポジションではストロボが自動発光してしまうといった不都合があった。

 40Dでは、どのモードでもISOのAUTOを選ぶことができるようになった。これは小さな仕様変更といえるかもしれないが、実際にスナップショットなどで使ってみると、格段に便利。この仕様変更だけでも、30Dから40Dに買い換える価値があるのでは? と思ってしまうほどだ。個人的にはこの仕様を40Dだけではなく、現行のKiss Digital Xにも適用して欲しいくらいだ。

 ただ、その制御は、必ずしも希望通りのものでもない。ISO感度をAUTOにすると、日中炎天下でも、ISO400に自動設定されることが多い。カタログ上ではISO100〜800の間での制御になるということだが、今回使用したEF-S 17-85mm IS USMを使う限り、ISO400以下に設定されるケースはなかった。

 確かにこの仕様は、実用十分になる画質で、確実に撮影できるという点では異論はない。ただ、感度別のノイズレベルを見てみると、やはりISO400より低感度の方がノイズは確実に少ないわけで、十分な明るさのある場所では、もう少し低感度に設定して欲しいところ。とくに感度AUTOのまま、スナップから風景撮影までフルに楽しみたい場合には、やや不満を感じる。もちろん、そんなシーンでは感度をマニュアル設定すればいいのだが、それではせっかくの自動感度設定機能の魅力が半減する。

 待望のダストリダクションシステムだが、今回はあまりレンズ交換をしなかったこともあって、その効果を明確に体感するところまで至らなかった。ただ、途中、画面端にゴミが見えるカットがあったが、いつの間にかなくなっているので、効果はありそうだ。もちろん、本機能があるのと、無いのとでは、気持ちや安心感という点では大違い。本当の実力は、ある程度の期間使ってみないとわからないが、まずは本機能が搭載されたことを素直に歓迎したい。


カメラ任せで十分キレイな安定感のある写り

 画質は上々。今回は、基本的にカメラ任せでの撮影にポイントを絞って、そのオート機能の完成度を探ってみたが、その結果は予想を上回るレベル。正直なところ、セオリー通りに撮影すれば、カメラ任せのオート撮影でも、十分にキレイで、しかも安定した結果が得られる。この点は大きな魅力といえる。

 つまり、平たくいえば、デジタルカメラや一眼レフの経験がさほどなくても、よほど特殊なシーンでない限り、カメラ任せのJPEG撮影でも、十分に写真を楽しむことができるわけだ。

 かといって、絵作りは決して中庸で無難で安全第一な路線というわけではなく、意外に明るく、メリハリのあるもの。そのため、撮影後の後処理など考えず、撮ったままのJPEGデータを見ていても、十分に楽しめるのがいい。

 中堅機だからといって、変に地味で落ち着いたメリハリのない絵作りをしていない点にも好感が持てる。

 ただ、なかには「ちょっと大胆すぎない?」と思えるような露出設定のものもあり、標準設定のままでは、輝度比の高いシーンでハイライトが白トビしているシーンもあった。

 そんなときには、カスタム設定の「高輝度側・階調優先」をONにすれば、全体の階調性を損なうことなく、白トビをやや抑えられる。ただ、その効果はなかなか微妙で、ON/OFFを比較しないとわからない程度。もっとも、この機能は高輝度部だけに作用するから、常用しても大きな問題はないので、いっそ、常時ONにしておいたほうがいいかもしれない(今回の実写では、比較カット以外はOFFにしている)。

※作例のリンク先は、製品版の40Dで撮影した画像です。等倍の画像(3,888×2,592ピクセル)を別ウィンドウで開きます。
※レンズは、EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMを使用しています。


高輝度側・階調優先ON
高輝度側・階調優先OFF

 AEもなかなか巧妙。的確な場所でAF測距をすれば、よほど過酷で意地悪なシーンでない限り、露出補正をする必要はないほど。というのも、キヤノンの評価測光はもともとAFロックした場所に重みを置いたAE制御がなされるので、どのフォーカスエリアでAF測距するかによって、AEが変わってくるわけだ。

 そのため、メインの被写体で素直にAFロックをするという習慣さえつけておけば、ほぼ意図通りの露出が得られるのがポイント。このコツさえ掴めば、露出補正をする頻度を大幅に減らすことができ、スムーズな撮影が可能だ。

 AWB(オートホワイトバランス)の制御も、中堅機として、納得できるレベル。屋内の電灯光下でも適度な暖かみのある、雰囲気のある色調になる点にも好感が持てる。

 全体の色調も、派手すぎず、落ち着きすぎない、リーズナブルなもの。もちろん、ピクチャースタイル機能を積極的に利用すれば、被写体やシーンに応じて絵作りを簡単な操作で変更することもできるので安心だ。

 個人的には、ピクチャースタイルの風景設定は、ちょっと派手でやり過ぎじゃない? という印象もあるが、そんな場合には、ピクチャースタイルを自分でカスタマイズすればいいので、大きな問題ではないだろう。

 さて、画質面で気になったのは、感度AUTO設定時のノイズ。先に紹介したように、感度をAUTOに設定すると、今回使用した標準ズームでは日中炎天下の屋外ISO400に設定される。とくに画面内に太陽が入り込むシーンでも、ISO400に設定されるのだ。

 やや意地悪な見方をすると、この設定から見て、よほどISO400時の画質に自信があるのだろうと思って、ノイズレベルを見ると、やはりISO100や200に比べると、ノイズが増えている。ごく普通のシーンでは実用レベルではあるが、青空の色ノイズは、意外に気になるレベル。

 そのため、感度AUTOの便利さは十分認めるものの、日中の風景シーンがメインの撮影では、マニュアル設定でISO感度を100や200など低感度に設定して撮影することをオススメしたい。

 一方、高感度側のノイズも比較的よく抑えられている。本機は、標準設定ではISO1600、カスタムファンクションにより拡張設定でISO3200もの超高感度撮影が可能だ。実際、ISO1600でも、十分に実用レベルであり、A4程度にプリントしても、さほど気にならないほど。これなら安心して使える感じだ。

 拡張設定のISO3200になると、さすがにややエマージェンシー的な感じになり、色ノイズが目立つようになるが、それでもシーンによっては実用の画質を維持している。

 ちなみに、同じAPS-Cサイズで同じ画素数のCMOSセンサーを搭載したDIGIC II搭載のKiss Digital Xと40Dでノイズレベルを比較すると、明らかに40Dのほうがよく抑えられており、ローノイズ化が図られている。

 とくに、ISO1600同士で比較した場合などは、明確な違いが感じられる。これはセンサー自体が進化したのか、DIGIC IIIの威力なのかは不明だが、少なくとも、ノイズレベルに関していえば、一世代分進化している印象だ。

●ISO感度別作例
※すべて画質はLarge/Fineです。絞り優先AE(F11)、露出補正なし、ホワイトバランスオートで撮影しています。


ISO100
ISO200

ISO400
ISO800

ISO1600
ISO3200

●ISO3200作例
※すべて画質はLarge/Fineです。露出補正なし、ホワイトバランスオートで撮影しています。


プログラムAE / 1/30秒 / F4 / ISO3200 / 17mm
プログラムAE / 1/25秒 / F4 / ISO3200 / 17mm

●ピクチャースタイル別作例
※Large/Fine、絞り優先AE(F11)、ISO100、露出補正なし、ホワイトバランスオートで撮影しています。


スタンダード
ニュートラル

ポートレート
モノクロ

忠実設定
風景

●ピクチャースタイル、スタンダードと風景の比較
※Large/Fine、プログラムAE(F14/1/400秒)、ISO400、露出補正なし、ホワイトバランスオートで撮影しています。


スタンダード
風景

スタンダード
風景

●高感度撮影時のノイズ低減 ON/0FF比較

 ONOFF
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200

●長秒露光(30秒)


ノイズリダクションON
ノイズリダクションOFF

コストパフォーマンスの高い本格派モデル

 40Dは、よくできた、完成度の高いモデルである。

 銀塩時代、中堅機といえば「これ1台で入門から卒業まで」という表現ができた。だが、デジタル時代になって、モデルサイクルが速くなり、撮像素子も毎年進化することもあって、こんな表現がしにくい感じがあった。

 だが、今回40Dを使ってみてようやく、この先3〜5年は、大きな不満もなく写真を楽しめるようなモデルが登場した感じがした。

 とくに、定年を迎えた団塊世代のかたにとって、本機はなかなか絶妙な選択肢といえる。定年という人生の区切りに購入するデジタル一眼レフが、エントリー機じゃ、あまりに寂しすぎる。かといって、大枚はたいて最高級機を買うのはやや荷が重い。そんな多くの人にとって、この40Dは、なかなかいい選択肢といるかもしれない。

 本機を使ってみて、通常の撮影シーンで不満を感じることはほとんどない。ボディや操作時の感触は、価格相応か、それをやや上回るくらいの質感が備わっており、エントリー機のような感覚はない。その一方で、高級機のように“道具”として愛でるレベルには至っていない。まさに、中堅機以上でも、中堅機以下でもない、中堅実用機そのもの。

 大きな不満もない代わりに、大きな満足もない。さらに、機能や性能、画質などどの点から見てもハイレベルで、大きな欠点がない代わりに、キラリと輝くような秀でた部分もない。まさに中庸そのものなのだ。


 この点を理解し、自分で納得することができれば、本機は十分にコストパフォーマンスのある、“買い”のモデルといえる。

 本機の難点は、将来的なアップグレードが難しいところ。中でも細心の注意を払いたいのが、レンズの選択だ。つまり、APS-CサイズのCMOS搭載機は、同社のラインナップ上、本機が最上位になる。となると、将来のことを考えると、レンズをAPS-Cサイズ専用のEF-S系メインで選ぶと、あとあとフルサイズなどに移行するときに利用できず、まったく無駄になってしまう。まあ、ワイド系は仕方ないとしても、マクロや望遠系レンズを購入するときには、その点を十分に考えておきたい。

 もちろん、このジレンマはニコンでも同じこと。だがニコンの場合、D300のように視野率100%の本格派モデルが存在するので、まだ多少は救われる感じもあるし、D3にDXレンズを装着してもクロップモードで利用できるので、レンズ資産が無駄にならないというメリットがある。本機から本格的に写真に入門しようという人は、この点を十二分に理解しておくことが必要だ。

 もちろん、本来はキヤノン自身がその点について、より積極的な対応をするべきで、ラインナップを見直すなり、より大きなセンサーを搭載したモデルで制限付きでも、EF-Sレンズを使えるようにするなりといった、ユーザー本位の対応を検討するべきだろう。また、D300の本当のライバルになる、APS-Cサイズのハイエンド機の登場も期待したいところだ。

 最後に、私自身の感想を素直にいえば、団塊の世代の人には、あまり中途半端な買い物をして欲しくはない。今日の日本経済の基盤を作り、それを全力で支え、バブル時代の夢も、その後の落胆も経験した、団塊の世代。そんな激動の時代を生きてきた方々には、将来的な展開を含めた賢い買い物をして欲しい。

 もし、これから写真を本格的に楽しみたいのであれば、その世界への入門機としての40Dはとてもいい選択肢だ。レンズはセット販売で買うとかなりお買い得な「EF-S 17-85mm IS USMレンズキット」にするか、もう少しだけ待って、コンパクトな「EF-S 18-55mm ISレンズキット」もするのもいい。望遠ズームは順当にゆけば「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」になるだろう。


 ただ将来、上級機へのアップグレードを考えているのであれば、望遠ズームはやや高価でも35mmフルサイズ対応の「EF 70-300mm F4-5.6 IS USM」か、高価だが一生モノとして使える「EF 70-200mm F4L IS USM」がオススメだ。

 マクロレンズも、「EF-S 60mm F2.8マクロ USM」ではなく、「EF 100mm F2.8 マクロ USM」を選んだ方が賢明だ。そして、一眼レフの醍醐味として1本は大口径レンズが欲しいところ。ここは意外かもしれないが、実売1万円の「EF 50mm F1.8 II」がオススメ。外観は安っぽいが、描写は一級品だ。

 そして、もっと写真を楽しみたくなったら、上級機にアップグレードすればいいし、そのときにもレンズ資産の多くをそのまま引き継ぐことができる。

 発想を変えるなら、40Dもいいが、Kiss Digital Xを買って、余った分で家族と旅行に行くという手もある。また、写真をより本格的に楽しみたいなら、ややスキルが高いがポテンシャルも高い35mmフルサイズのEOS 5Dもいいし、過去に一眼レフで写真を楽しんだ人なら、いっそ1D系を……という選択肢も検討して欲しい。もっといえば、このタイミングならもうちょっとだけ待って、D3やD300、ソニーのα700など、魅力的なライバル機をひと通り見て、実機を手にしてから決めてもいいんじゃないかと、素直に思う。

 もちろん、そのときにもこの40Dは、いい意味で満足感が得られる「最善の妥協」として、その選択肢の有力候補であり、とてもコストパフォーマンスの高い本格派モデルとして魅力的なモデルといえる。


作例

※作例のリンク先は、製品版の40Dで撮影した画像です。等倍の画像(3,888×2,592ピクセル)を別ウィンドウで開きます。
※画像下のデータは露出モード/露出時間/絞り/感度/実焦点距離です。
※レンズは、EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMを使用しています。


プログラムAE / 1/400秒 / F14 /ISO400 / 17mm
プログラムAE / 1/400秒 / F13 /ISO400 / 75mm

プログラムAE / 1/500秒 / F16 /ISO400 / 17mm
プログラムAE / 1/400秒 / F14 /ISO400 / 17mm

プログラムAE / 1/500秒 / F14 /ISO400 / 85mm
プログラムAE / 1/400秒 / F11 /ISO400 / 85mm

プログラムAE / 1/500秒 / F14 /ISO400 / 85mm
プログラムAE / 1/400秒 / F13 /ISO400 / 85mm

プログラムAE / 1/200秒 / F9 /ISO400 / 80mm
プログラムAE / 1/160秒 / F7.1 /ISO400 / 85mm

プログラムAE / 1/500秒 / F14 /ISO400 / 85mm
プログラムAE / 1/100秒 / F7.1 /ISO400 / 17mm

プログラムAE / 1/250秒 / F11 /ISO400 / 17mm

参考:ベータ機による作例

プログラムAE / 1/100秒 / F7.1 / ISO400 / 59mm プログラムAE / 1/1,000秒 / F5.6 / ISO400 / 85mm

プログラムAE / 1/500秒 / F14 / ISO400 / 80mm
プログラムAE / 1/2,000秒 / F5.6 / ISO400 / 80mm プログラムAE / 1/160秒 / F10 / ISO400 / 64mm

プログラムAE / 1/250秒 / F11 / ISO400 / 53mm プログラムAE / 1/200秒 / F8 / ISO400 / 85mm プログラムAE / 1/125秒 / F7.1 / ISO400 / 78mm

プログラムAE / 1/400秒 / F13 / ISO400 / 85mm プログラムAE / 1/80秒 / F6.3 / ISO400 / 61mm

プログラムAE / 1/250秒 / F5.6 / ISO400 / 85mm
プログラムAE / 1/125秒 / F7.1 / ISO400 / 85mm

プログラムAE / 1/250秒 / F10 / ISO400 / 85mm
プログラムAE / 1/200秒 / F8 / ISO400 / 85mm

プログラムAE / 1/250秒 / F14 / ISO400 / 30mm
プログラムAE / 1/400秒 / F14 / ISO400 / 17mm
プログラムAE / 1/320秒 / F11 / ISO400 / 85mm

プログラムAE / 1/250秒 / F10 / ISO400 / 85mm
プログラムAE / 1/30秒 / F5.6 / ISO800 / 85mm
プログラムAE / 1/100秒 / F5.6 / ISO500 / 75mm

プログラムAE / 1/25秒 / F4.5 / ISO800 / 26mm
プログラムAE / 1/100秒 / F7.1 / ISO400 / 17mm

プログラムAE / 1/100秒 / F5.6 / ISO500 / 85mm
プログラムAE / 1/13秒 / F5.6 / ISO800 / 85mm

プログラムAE / 1/25秒 / F4.5 / ISO800 / 28mm
プログラムAE / 1/100秒 / F5.6 / ISO640 / 85mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/eosd/40d/
  EOS 40D関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/08/23/6894.html



山田 久美夫
1961年横浜生まれ。1979年よりフリーカメラマンに。1983年よりカメラ専門誌「アサヒカメラ」で執筆開始。日本カメラグランプリ選考委員。「電塾」運営委員(http://www.denjuku.gr.jp/)。作品集「Natural」(1994年)、「ドイツ・色と光」(2000年)などを出版。1999年より「DigitalCamera.jp」(http://www.digitalcamera.jp/)を運営。

2007/09/25 00:02
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