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【新製品レビュー】ペンタックスK100D Super

〜新機能で過不足のないスタンダードモデルに
Reported by 中村 文夫

DA★ 50-135mm F2.8 ED [IF] SDMを装着したK100D Super
 ペンタックスK100D Superは、ペンタックスK100D(2006年7月発売)をベースに開発されたスタンダードクラスのデジタル一眼レフだ。K100Dとの大きな違いは、ゴミ除去機構(DR=Dust Removal)の搭載と超音波モーター駆動レンズへの対応。実販価格は7万5,000円前後で、K100Dより約1万円高で販売されている。


K10Dに次いでゴミ除去機構を搭載

 現在、レンズ交換式デジタル一眼レフ市場では、ゴミ除去機構の搭載が標準仕様となりつつある。すでにペンタックスは上位機のK10Dで、これを実現していたが、下位クラスではK100D Superが初めて。これで主力商品の2機種がゴミ除去機構搭載となり強力なラインアップが完成した。

 K100D Superに搭載されたゴミ除去機構は、K10Dと原理は同じで、特殊なフッ素系物質をCCD表面にコート。ゴミが付きにくくすると同時にSR(手ブレ補正機構機構)のメカニズムを利用して、ゴミをふるい落とす。さらにSRユニット下部に粘着シートを装備、ゴミの再粘着を防いでいる。ゴミ除去機構は、電源スイッチに連動していて、スイッチをオンにするとCCDがブルブルッと震えてゴミを落とす。K100D Superのような普及機の場合、レンズを交換する頻度は低いかもしれないが、ゴミ除去機構が付いていると、とにかく安心だ。

 ただし、ゴミ除去機構の過信は禁物で、粘着性の高いゴミが付着すると落としきれないことがある。それほど神経質になる必要はないが、決してメンテナンスフリーというわけではないので、たまにはCCDのゴミをチェックし、清掃すると良いだろう。





超音波モーター駆動レンズが使用可能

 ゴミ除去機構に次いで大きな改良点は、SDM(超音波モーター駆動レンズ)への対応である。ペンタックスは、この夏に2本のSDMレンズを発売したばかりだが、ボディ側がこれに対応していないと、肝心の超音波モーターが利用できない。K100D SuperはSDM対応の最新ファームウェアと電源供給用端子をマウント部に装備。最新レンズの機能をフルに生かすことができる。

 今回は、発売になったばかりの「DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM」を利用したが、ほとんど無音で作動することに驚かされた。ただしAFスピードは従来とそれほど変わらず、劇的に速くなったという印象は得られなかった。さらにピントが合う直前でヘリコイドの回転が急に遅くなり、一息ついてから微調整をするという動作は、従来のレンズを使ったときとほとんど同じ。ボディ側のAF検出能力がレンズに追い付いていないという感じだ。またK100D Superクラスのボディに、SDMレンズを組み合わせるユーザーは、実際のところ少数派だろう。もしかしたらペンタックスは、廉価版のSDMレンズの開発を視野に入れているのかも知れない。


レンズマウントはKAF2。マウントの内側にSDMへ電源を供給するための接点を備えている。従来のKAF2マウントと形状は同じだが、従来のパワーズームには対応していない 電圧の切り替え装置を内蔵していないので、パワーズーム搭載のレンズを取り付けてもパワーズームが作動しない(写真はFA★ 80-200mm F2.8 ED IF)

 電源供給用端子は、従来パワーズームに使われていたものの流用だ。そのため上位機のK10Dでは、パワーズーム内蔵レンズを組み合わせればパワーズームが利用できる。しかし、K100D Superにパワーズーム内蔵レンズを取り付けてもパワーズームが作動しない。この理由をペンタックスに確かめたところ、以下のような答えが返ってきた。

――「マウント形式自体はKAF2と、Zシリーズ時代と同じ名称ですが、目的は超音波モーター搭載レンズの駆動のための電源供給となっています。従来のパワーズーム駆動とSDMレンズ駆動では伝達する電圧、電流が異なりますので、商品の対象ユーザーおよび価格帯を考慮した結果、K10Dでは双方に対応する電源回路を搭載して、使用するレンズに合わせてカメラ内で自動的に切り替える仕様としております。K100D Superでは、本来の目的であるSDM駆動のみを行なえる電源回路仕様とさせていただいております」(ペンタックス)

 つまりK10Dの場合、取り付けたレンズによって電源供給用接点に流す電圧と電流を切り替えていたので、パワーズームを作動させることができた。しかしK100D Superは、切り替え機能を搭載していないので、パワーズームが動作しないというわけ。パワーズーム肯定派の私としては残念といわざるを得ないが、K100D Superでパワーズームを利用するユーザーは非常に少ないはず。コストのことを考えれば妥当な選択といえるだろう。


K100Dとの相違点

 K100D Superの外観は、K100Dとほとんど同じ。強いて相違点を上げれば、ボディ正面、向かって右側に付けられたウィングの色変更くらい。重量は10gだけ重くなっている。また従来ファームウェアのバージョンアップで対応していたSDHCメモリーカードにも最初から対応している。

 このほかの機能についてはK100Dと同じなので詳しい解説は省くが、使うレンズを選ばないCCDシフト方式の手ブレ補正にゴミ除去機構が新たに加わったことで、入門機としてカメラのコンセプトがより明確になった。画素数は600万のままだが、通常の撮影には十分な画質で、限られた容量のメディアにより多くの画像を記録することができる。さらに、このクラスにしては珍しく、専用充電池ではなく単3形電池が標準仕様だ。そのため使える電池の汎用性が高く、いざというときに困らない。もちろんRAWデータの記録やAdobe RGBへの対応など高度な使い方も可能。デジタル一眼レフカメラの入門機というポジションだけでなく、K10Dのサブ機としても存分に通用するスペックを備えている。

 ただし、使ってみて気になったのはファインダーのブラックアウトの時間が長いこと。撮影状況によっては、じれったく感じることがある。K100D Superだけを使っているとそれほどでもないが、K10Dと同時に使うと気になってしまう。やはりこのあたりのスペックに上位機との価格差が現れているようだ。いずれにしても、このクラスとしてとてもバランスの良い、使いやすいカメラであることに変わりはない。まさに入門機のとして過不足のないスタンダードの誕生である。


背面の操作系は、K100Dとまったく同じ
撮影条件に応じて自動的に撮影モードを決定するオートピクチャーモードのほか、任意のシーンを選ぶSCNモード、プログラムAE、Av、Tvなど、多彩な撮影モードを搭載

ピクチャーモードを選ぶと、そのモードを象徴する作例が液晶モニターに表示される シーンモードの選択画面。初心者にもわかりやすいようシーン内容の説明文が出る

ボディ上面の液晶パネル
記録メディアはSDHC/SDメモリーカード

ボディ側面にある外部インターフェース
電源として単3電池4本を採用

ペンタックス初の超音波モーターレンズ「DA★ 50-135mm F2.8」

DA★ 50-135mm F2.8 ED SDMをK100D Superに取り付けた状態。付属の花形フィルターには、PLフィルター操作用の窓が開いている
 今回K100D Superと一緒に使用したSMC PENTAX-DA★ 50-135mm F2.8 ED [IF] SDMは、ペンタックス初の超音波モーター駆動によるAFレンズだ。商品名の★マークは、描写性能を極限まで追求した高品位レンズであることを表している。

 SDM自体はそれほど目新しい機能ではないが、従来のシャフト駆動に頼らなくてもAFが可能であることを示したという意味で、ペンタックスにとって画期的な製品と言えるだろう。ただしすでに説明した通り、K100D Superはボディ側のAF機能がレンズに追い付いていないようで、作動音が静かなこと以外は、それほどメリットが感じられなかった。やはりSDMの能力をフルに発揮させるには、上級機の登場を待つしかないのだろうか。

 SDMに対応していないボディのために、このレンズは従来のシャフト駆動によるAF機構も装備。2系統のAF機構を備えている。従来からのユーザーを大切にするという姿勢は高く評価できるが、このレンズはデジタル専用なのでフィルムカメラには使えない。従来のユーザーといっても、恩恵に浴するのは初代の*ist DからK100Dのユーザーまでだ。さらにデジカメのライフサイクルを考えると、あと1〜2年で、これらのカメラは時代遅れになる。以上の点を総合して考えると、思い切ってSDM専用にしても良かったのではないか。そうすれば軽量化とコストダウンを図ることができたはずだ。

 画角は35mmフルサイズの76.5〜207mmに相当。フィルムカメラ時代の80〜200mm F2.8に当たる大口径望遠レンズだ。ED(特殊低分散)ガラスを3枚を使用し、色収差を徹底的に除去。ゴーストレスコートの採用でレンズ内反射が少なく逆光にも強い。さらにズーミングとフォーカシング時に全長が変わらないインナーズーム&インナーフォーカス式を採用。手持ち撮影時にバランスも崩れない。またペンタックスの交換レンズとして初めて防塵、防滴構造を採用。K10Dなど防滴、防塵構造のボディと組み合われば、過酷な条件下での使用にも耐える。このほかレンズ第一面にはSP(Super Protect)コーティングを採用。このコートは撥水、撥油性に優れているので汚れが付きにくく、さらに付いた場合も落としやすい。

 ピント合わせは、AF合焦後にスイッチの切り替え操作なしでMFが使えるクイックシフトフォーカス式。これ以外にレンズ側にもフォーカススイッチを備え、AF/MFの切り替えがレンズ側でできる。

 ペンタックスは、以前から高性能レンズに★マークを付けて一般のレンズと差別化を図ってきた。当然このレンズも高性能で,特に色収差の補正は見事である。ただし、実写結果を見る限り、ボケがそれほど美しくない。この辺りの性能は、フィルム時代のスターレンズの方が優秀だったように思えてならない。


レンズ側面にフォーカスモード切替スイッチがある
上面には距離指標窓も

作例

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


◆画角

 上段、下段とも左から50mm(35mm判で75mm相当)、70mm(同105mm相当)、135mm(同202mm相当)。画面の隅々まで画像はシャープ。シャドー部の再現性にも優れている。


DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm
DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 70mm
DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 135mm

DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/200秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/125秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 75mm DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/125秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 135mm

◆DA★ 50-135mm F2.8 ED [IF] SDM


色収差が見事なまでに補正され、大きく拡大しても色のにじみがない(風景モード)
DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 85mm
絞り開放時の描写は、ややソフトぎみ
DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/500秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 90mm

背景で光っているものは二線ボケになりやすく、ボケ味はあまり良くない
DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/180秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 85mm
同じく、背景に二線ボケの傾向が見られる
DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 75mm

前ボケはそれほどでもないが、後ボケにクセが目立つ
DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/2,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 135mm
白い漆喰と黒い柱の境界が見事に分離されている。前ボケは自然できれいだ
DA★ 50-135mm F2.8 ED SDM / 3,008×2,000 / 1/100秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 80mm

◆旧レンズでの描写


絞りリングの使用をオンにすると、絞りリングにA位置のないKマウントレンズで露出計が利用できる。このときはMモードを選び、光学プレビューを作動させると露出表示が出る
Sレンズ使用時のFIを利用可能にすると、ねじ込み式レンズ装着時にフォーカスインジケーションが利用できる。

レンズ内にROMを内蔵していないレンズでは、手動で焦点距離をインプットすれば、手ブレ補正機構が利用できる。インプットできる焦点距離は8〜800mm

A★ 300mm F4 / 3,008×2,000 / 1/400秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 300mm FAJ 18-35mm F4-5.6 / 3,008×2,000 / 1/6秒 / F13 / -0.3EV / ISO200 / WB:オート / 18mm

FAJ 18-35mm F4-5.6 / 3,008×2,000 / 1/8秒 / F9.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/06/28/6531.html
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(K100D Super)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#k100ds



中村 文夫
(なかむら ふみお) 1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。1998年よりカメラグランプリ選考委員。

2007/09/03 00:00
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