キヤノンEOS-1D Mark III(以降、1DMK3)は、10枚/秒の高速連写が可能な史上最速のデジイチ(デジタル一眼レフ)だ。撮像素子はAPS-Hサイズ(28.1×18.1mm)の1,010万画素CMOSセンサーで、最新の画像処理エンジンDiGIC IIIを2基搭載し、並列処理を行なうことで、JPEG Largeで約110枚という驚きの高速連続撮影を実現。最高感度はISO3200で、カスタムファンクション設定時にはISO6400相当の超高感度撮影が行なえるのが特徴だ。
とまあ、これが1DMK3の簡単な特徴だが、1DMK3を詳細にレビューしていくと一冊の本が書けてしまう。実際、「キヤノンEOS-1D Mark IIIスーパーブック」(学習研究社刊)という100ページ弱のムックを書いたのだが(さりげなく宣伝)、これでもまだ書き足らない部分があるくらいだ。いわゆる機能の説明や紹介、使いこなし術はこうしたムックやほかのレビューに任せるとして、この「デジタルでいこう!」では、「高感度・高速連写編」と「AF編」の2回に分けて、1DMK3の真の実力を探っていこうと思う。
■ 高感度
1DMK3のCMOSセンサー
さて、前述の「キヤノンEOS-1D Mark IIIスーパーブック」(しつこく宣伝)を執筆するために3月から1DMK3(試作機)を試用し続けてきたが、1DMK3のイチバンの魅力は、秒10枚の高速連写はもちろんのこと、ISO1600が常用できるほどの高感度画質の良さだ。撮像素子サイズを変えずに画素数がアップしているにもかかわらず、連写スピードは8.5枚/秒から10枚/秒へと向上し、高感度画質も良くなっているのだから、まさに理想の高画素化だ。
ちなみに、1DMK3の撮像素子の画素ピッチは7.2μmで、従来のEOS-1D Mark II N(1DMK2N)の8.2μmよりも狭くなっているので、光を受け止めるフォトダイオードの面積も狭くなっている。しかし、光をフォトダイオードに集めるオンチップマイクロレンズの隙間(ギャップ)を狭め、マイクロレンズの口径を大きくすることで、画素ピッチが狭くなったことによる受光効率の低下を回避している。