デジカメ Watch

【特別企画】オリンパスE-510で撮るアルル

Reported by 渡部 さとる

この日は2007年7月7日。そのせいかアルルの教会は結婚式ラッシュ。白いウェディングドレスが画面中央にある、カメラにとって意地悪な構図だったが、バランスのいい露出に仕上げてくれた
1/750秒 / F11 / プログラムAE / ISO400 / 分割 / 14mm


※写真下のデータはシャッター速度/絞り/露出モード/感度/測光方式/実焦点距離です。
※すべて露出補正なし、オートホワイトバランスで撮影しています。レンズはZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6です。
※写真をクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。


 7月20日にレポートを掲載した、仏アルルで開催されたフォトフェスティバルだが、持っていくカメラはデジタルカメラにしようと考えた。普段の旅なら必ず持ち歩くはずのフィルムカメラは、今回は持っていかない。

 というのもアルルへ行く目的が、個人的な写真を撮るためではなく、ポートフォリオレビューへの参加と、もうひとつが、アルルフォトフェスティバルとはどんなことをやっているイベントなのかというレポートが目的だった。そのためにはフィルムよりデジタルカメラのほうが、情報を伝えやすいと考えたのだ。また、デジカメWatchへの寄稿のほかにも、トークショーなどでアルルレポートをスライドショーでやる予定もあったため、デジタルを選択したのだった。

 さて自分が使っているデジタルカメラから選ぶとすると、キヤノンEOS 20Dに5D、リコーGR DIGITALとなる。どれも一長一短あり、選択に悩むことになった。できるだけ軽くしたい、でもレポートするにはある程度のスペックが欲しい。


オリンパスのデジタルカメラが作り出す特徴的なものに青空の美しさがある。オリンパスブルーと呼ばれている発色は、青空をくすませることなく鮮やかに再現できる
1/500秒 / F11 / プログラムAE / ISO400 / 分割 / 29mm
P7030314
青いうすぼんやりとしたネオンの明かりと、白熱灯の黄色の光がバランスよく再現されている。難しい青系の光にもかかわらず、透明感がある。
1/20秒 / F4.5 / マニュアル露出 / ISO400 / 分割 / 17mm

 何を持っていくか悩んでいる6月中旬、カメラ店のブースで繰り返し流れていたオリンパスE-410のCMが気になった。その場に置いてあるデモ機を触ったら、驚くほど軽い。E-330の頃からオリンパスの評判がいいという話は聞いていたが、実際に使ってもまだまだ未成熟に思われ、積極的に使う理由を見つけることができなかった。

 しかし、E-410は軽いというメリットを十分アピールできていた。旅先で軽いというのは何事にも変えられないものだ。コンパクトカメラではなくて一眼レフであるメリットは大きい。レンズ交換ができることよりも、僕としてはファインダーの存在が大きい。液晶画面で撮るのにだいぶ慣れたが、やはりファインダーを覗くほうがしっくりくる。思わず注文しようとしたが「月末には新機種のE-510が発売予定ですよ」と教えられた。


夏のアルルは、夜の7時でもまだ日差しが強い。この写真を撮った時刻は6時57分。斜めからの光が教会の壁をより立体的に見せている。プログラムAE撮影だが、空の青さがきれいに出る露出になっている
1/500秒 / F11 / プログラムAE / ISO400 / 分割 / 14mm

 そこでオリンパスプラザなどでE-410とE-510を比べてみた。E-410になくてE-510にある大きな違いは、手ブレ補正機能だが、手ブレ補正がどうしても必要かと言えば、実はあまり必要ない気もする。かなり長い間、E-410とE-510を触って感触を確かめた。その昔、ライカM3とM2のどちらを買うかで論争さえ起こったというが、E-410とE-510のどちらを選ぶかも迷いに迷う。

 結局、E-510を買うことにした。オートホワイトバランスが、E-510のほうが精度がいいように見えたからだ。この原稿を書くにあたってファームウェアを最新バージョンにしたE-410とE-510を比べてみたら、オートホワイトバランスの精度は同じようになっていたが、僕がどちらにするか検討していたときは、E-510のほうが優れているように見えた。それに、E-410より重いとはいっても、ほかのデジタル一眼レフと比べたら軽い。フォーサーズのメリットがいかされている。

 すぐにカメラ店にレンズキットの予約注文を入れ、発売日に手に入れることができた。価格は10万4,200円。手ブレ補正がついたデジタル一眼レフが、標準ズームレンズが付いて10万円台で買える世の中になったのだ。ちなみにE-410は8万3,800円。手ブレ補正が付いていないとしても、とても魅力的な価格だ。


ホテルの階段は、フランスらしいアールの美しいものだった。階下からの光で立体的に照らし出されている。撮影後データを見たら4分の1秒での撮影だった。手ブレ補正の威力なのか、まったくブレていなかった
1/4秒 / F4.7 / プログラムAE / ISO400 / 分割 / 24mm

 購入して2日後の7月1日から9日間、E-510を持ってフランスアルルへと出かけた。ストラップは、東急ハンズで買った革紐を、リベットで止めた自家製ストラップを取り付けた。ストラップの長さはたすきがけにして腰のあたりにくるぐらいにした。こうすれば歩くのに邪魔にならない。食事をしているときも常に提げていられるので便利だった。

 撮影設定は一番シンプルな形にしてある。ホワイトバランスはオート、感度はISO400相当、露出モードはプログラムAE、画質はSHQ、測光は評価測光だ。

 E-330のときから高感度に強くなり、E-410、E-510ともに感度ISO400は常用設定できるようになった。上限設定をISO400にした感度オートでもいいだろう。シャドーに若干のノイズが出るが、ISO1600でも使うことができる。夜に撮影した際に、感度をISO1600に設定したことを忘れてそのまま日中に撮影してしまったものがあったが、セレクトのときに気が付かなかったほどだ。

 オートホワイトバランスはおおむね正確だが、蛍光灯下や、蛍光灯とほかの光源のミックス光下ではおかしくなることがある。そんなときはホワイトバランス設定を「蛍光灯2」にすると、あまり違和感のない色になる。


前夜、感度ISO1600にしたまま、翌日もその設定で撮影してしまった。撮影時、背面のモニターで拡大しても荒れておらず、色もきちんと出ていたので、ISO1600であることに気がつかなかった
1/180秒 / F8 / プログラムAE / ISO1600 / 中央重点平均 / 14mm
ポートフォリオレビューが終わって地下会場を出ると、青い空が目に眩しかった。階段を上っていた男性が日差しのスポットライトに照らされた瞬間にシャッターを押した。これも露出補正はしていない、フルオート撮影だ
1/350秒 / F11 / プログラムAE / ISO400 / 中央重点平均 / 14mm

 1週間、毎日ぶら提げて使っていたが、軽さのおかげで肩がこるようなことはなかった。レンズフードがずれてしまい、そのまま撮影してフードのケラレが写り込むことが多かったので、レンズに保護フィルターをつけて、フードは外して使っていた。そのほうが持ち運びにも便利だった。

 使っていて気づいたのは露出の正確さ。これは特筆ものだ。露出補正の必要性を感じることはほとんどなかった。資料的な撮影が多かったので、露出を気にせず安心して撮影ができたのはありがたかった。

 もうひとつ便利だと感じたのは、再生画面の縦横自動選択だ。カメラを横に構えている場合と、縦に構えている場合とで、再生される画面の縦横が自動的に切り替わる。180度カメラをひっくり返すと画面の上下が入れ替わり、ストラップを首から提げた状態で相手に画面を見せるときなどにとても重宝した。


今までのオリンパス製品に比べ、E-510のオートホワイトバランスは正確だ。薄日が斜めから差し込む難しい条件でありながら、見たときの印象と変わらぬ結果が得られた
1/15秒 / F5.2 / プログラムAE / ISO400 / 中央重点平均 / 32mm
室内から窓の外が見える、カメラの露出計が判断に迷う構図だったが、カーテンの質感がそこなわれることなく出ている。ホワイトバランス、露出ともいい感じだ
1/180秒 / F8 / プログラムAE / ISO400 / 分割 / 18mm

 各種設定は、個々のボタン操作1発で呼び出すことができて便利だが、僕がE-510を使うのは日常的なスナップで、こまごまと設定を変えるようなことはしない。むしろ、ワンタッチで変更できるということは、意図せず動いてしまうことも起こりがちだ。

 実際、持ち歩いている最中に体が十字キーに当たって、フォーカスモードやホワイトバランス、感度が変わってしまうことが何度もおきた。これはデフォルトで十字キーにこれらの設定変更がダイレクトに操作できるように割り当てられているからであって、メニューで「十字ボタンロック」をONにすることで解決した。

 セットレンズのZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6で撮影したものを液晶モニターで拡大再生してみると、きちんと芯にあっていた。次にレンズを揃えるとすれば、35mmマクロが気になる。マクロレンズ使用時にこそ、E-510の手ブレ補正機能が生きてくる。

 今回の旅では、売り物のひとつであるライブビューを使うようなシーンはなかった。おそらく今後も積極的にライブビューが必要なことは起きないような気がする。E-510を三脚につけて背面モニターで絵柄を確認するような撮影方法は、自分にとって必要なさそうだ。


雰囲気のいいビストロで夕食をすませて外へ出ると、室内が浮かび上がるように見えた。露出もホワイトバランスも実際に見た印象と非常に近いものが写っていた
1/30秒 / F3.8 / プログラムAE / ISO1600 / 分割 / 17mm

 とはいえアルルでは、ほぼ不満なく使っていた。帰国後PCで確認しても画像のピントは正確で、グラデーションもよく出ていた。この大きさで、この値段で、この性能は十分満足がいく。

 最後にオリンパスへの要望としては、軽くて扱いやすい単焦点レンズの開発と、OM-1を彷彿とさせるE-410ベースの金属モデルの発売だ。我々40歳台半ばのカメラマンの多くがOM世代だ。もしそんなカメラが出たら、迷わず手に入れることだろう。



URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-esystem.jp/products/e510/
  オリンパス E-510 関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/03/12/5812.html



渡部 さとる
(わたなべ さとる) 1961年山形県米沢市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、日刊スポ−ツ新聞社に入社。スポーツ、報道写真を経験。同社退職後、フリーランスとして、雑誌、写真集などでポートレートを中心に活動。 著書に「旅するカメラ」などがある。 http://www.satorw.com/

2007/08/06 00:02
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