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【新製品レビュー】パナソニック LUMIX DMC-FZ8

〜成熟した機能のコンパクトな12倍ズーム機
Reported by 北村 智史

 2006年2月に発売された「LUMIX DMC-FZ7」の後継モデルで、2007年2月の発売。1/2.5型の有効720万画素CCDに、光学12倍ズームのLeica DC Vario-Elmarit(バリオエルマリート)を搭載している。

 兄貴分の「LUMIX DMC-FZ50」と違ってレンズは普通の沈胴タイプ。電源オフ時にはぐっとコンパクトサイズになる。機能面では当然DMC-FZ50が上だが、液晶モニターだけは本機のほうが2.5型と大きい。価格は大手量販店の店頭価格で約5万円。ボディカラーは写真のブラックのほかシルバーが選べる。
 

●小型ボディに明るい光学12倍レンズを搭載
 普通のコンパクト機に比べれば大柄だが、レンズは光学12倍ズーム。35mmフィルムカメラ換算で36〜432mm相当、開放F値がF2.8〜3.3と、望遠端でも十分に明るいのは魅力。もちろん、手ブレ補正も内蔵している。

 通常撮影での最短撮影距離は30(広角端)〜200cm(望遠端)だが、マクロ時は5〜100cmまで。広角端はもうひと頑張り欲しいが、望遠端はまずまずの数字だ。

 花形のレンズフードが付属しているが、これを装着するには、まずネジ込み式のアダプターリングを取り付けたうえで、フードをかぶせ、角度を合わせて側面のネジで締めつける。手間がかかるというのもあるし、サイズが大きくなるのはちょっとなぁ、と思ってしまう。フードだけは逆付けできるものの、アダプターリングはそのままなので、結果的に本来のコンパクトさは損なわれてしまう。




 液晶モニターは2.5型の20.7万画素。電子ビューファインダー(EVF)は0.44型で18.8万画素だ。電子ビューファインダーは、液晶の粒々感がやや気になるものの、ピントの見えはまずまずで、明るい野外での撮影や、手ブレを抑えたいときには便利だ。

 撮影時は画面全体に画像を表示して、その上にアイコンや各種情報を重ねるタイプのほか、画像を小さめに表示して、空きスペースにまとめてデジタル一眼レフっぽく表示するタイプも選べる。ただし、画像が左上に寄ってしまうことになるので、電子ビューファインダー使用時には気持ち的に落ち着かない。まあ、慣れの問題もあるだろうが。

 AFはマルチ、高速3点、高速1点、1点、スポットの切り替え式で、マルチのときは3点から5点のグループを選択可能(ニコンのグループダイナミックAFと同じ感じ)。1点の場合は11点からの選択となる。好きな位置に動かせるフレキシブルタイプに比べると多少利便性は低いが、三脚撮影時や接写時には使いやすい。

 電源は710mAhのリチウムイオン充電池。CIPA準拠で約380枚撮れる。記録メディアは27MBの内蔵メモリとSDメモリーカード、SDHCメモリーカード、MMCが使用可能だ(MMCは静止画のみの対応)。


レンズはライカの光学12倍ズーム。もちろん、レンズシフト方式の手ブレ補正も内蔵している レンズフードを装着した状態。フードだけは逆付けも可能だが、アダプターリングの分だけ大きくなってしまう

視度調節機構を内蔵した電子ビューファインダー。0.44型で18.8万画素
通常の表示はこんな感じ。格子線とヒストグラムを同時に表示できる

デジタル一眼レフっぽい表示も可能。サイズは小さめになるが、画像が見やすいのがいいところ
AFモードは5種類。「H」が付いているのが高速モードだ

電源はリチウムイオン充電池。容量は710mAhで、DMC-TZ3より容量は小さいが、CIPA準拠で380枚撮れるから文句はない。ちなみにSDメモリーカードは本当は裏向けに装填する

 

●ジョイスティックで露出補正が可能
 起動時間は長めで、手もと計測では2秒半ぐらい。電源オフ時の終了時間も同じぐらいかかる。レンズが出っ放しのDMC-FZ50は並みのコンパクト機よりも速いぐらいだし(その代わり、電源をオフにしても小さくなってくれないが)、DMC-TZ3もそれほど遅くないのと比べると、少々物足りなく思えてしまう。起動の遅さを我慢してコンパクト化しているはずなのに、それを損なうレンズフードの存在が悩ましいところである。

 ちょこっと撮っては移動というようなスタイルだと、起動待ちがストレスになってしまう。なので、カメラを構える前に電源をオンにする習慣を身に付けておくのがおすすめだ。

 DMC-FZ7同様、背面にジョイスティックを装備。AFエリア(測距点)の切り替えやMF時のピント合わせのほか、プログラムシフトや露出補正など、いろいろな操作に使う。

 LUMIXの露出補正は十字キーの上キーで行なうのが標準だが、画面の上下に帯が出るうえに大きなバーグラフ表示で被写体が見づらくなってしまうのが好きになれないところ(表示モードの切り替え時に帯が出るのもやめて欲しい)。その点、ジョイスティックでの露出補正時には、画面左下の控えめな表示だけになる。被写体の明るさを調整したいというときに、被写体がちゃんと見られるのはありがたいと思う。

 モードダイヤル上に「インテリジェントISO感度コントロール」が新設されていたり、液晶モニター上に仮想のモードダイヤルが表示されるあたりはDMC-TZ3などと同じである。

 個人的に便利に感じたのは、セットアップメニューにある「モニター優先」という機能。これをオンにしておくと、再生モードに切り替えたときやレビュー時、再生モードで電源をオンにしたときは、強制的に液晶モニター表示に切り替わる。電子ビューファインダーで撮影しているときでも、画像の再生は液晶モニターで見たいという人には役に立つだろう。

便利なジョイスティック。AFエリアの選択にも使う
十字キーの上キーが露出補正ボタンになっている

上キーでの露出補正時。画面の上下に帯が出て、バーグラフも大きい。親切設計な部分もあるが、被写体が見づらくなる
ジョイスティックでの露出補正時。補正量の数字は小さくなるが、被写体が見やすいほうがずっといい

単独のモードになった「インテリジェントISO感度コントロール」。被写体の動きを検知して感度の上げ下げを自動で行なう
モードダイヤルを回したときに、液晶モニターに出てくる表示。撮影のタイミングがズレて、絞り優先AEなのに「S」表示になってしまった

「モニター優先」をオンにすると、電子ビューファインダーでの撮影中でも、再生モードに切り替えたときなどには自動的に液晶モニター表示に切り替わる。ちょっと便利

 

●まとめ
 高倍率ズーム機の宿命ではあるものの、起動が遅いのはやはり難点だ。手ブレ補正もめずらしくなくなりつつあり、LUMIXだけのアドバンテージとはいえなくなってきた。

 機能的にはかなり充実しているが、使い勝手のよさを求めるユーザーには上位モデルのDMC-FZ50のほうがおすすめだし、コンパクトさならDMC-TZ3がある。こちらは28mmからの光学10倍ズームなのも魅力的。

 起動が遅い以外は大きな欠点はないが、積極的におすすめする理由も思い浮かばない。DMC-TZ3の登場により、FZ一桁系が踏襲していた低価格な高倍率機としてのポジションが、微妙な感じになってきている。

 

●作例

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算での焦点距離を表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


感度

 ベース感度はISO100。マニュアルではISO1250相当まで設定できる。ピクセル等倍で不満を感じないのはISO200相当までだろう。ISO400相当からザラツキが気になりはじめるが、ディテール丸ツブレにはならないので、まあまあ常用範囲と言える。

 ISO800相当以上は小サイズのプリントなら使えそうな感じ。ISO3200相当(画素混合によって感度を上げるシーンモードの「高感度」)は、さすがにパナソニックのいう“L判画質”である。


マニュアルで設定できる感度はISO100からISO1250まで。オート時はISO200、ストロボ撮影時はISO400まで自動的にアップする。シーンモードの「高感度」ではISO3200に固定される

ISO100
3,072×2,304 / 1/15秒 / F3.2 / -1EV / WB:オート / 70mm
ISO200
3,072×2,304 / 1/30秒 / F3.2 / -1EV / WB:オート / 70mm

ISO400
3,072×2,304 / 1/60秒 / F3.2 / -1EV / WB:オート / 70mm
ISO800
3,072×2,304 / 1/125秒 / F3.2 / -1EV / WB:オート / 70mm

ISO1250
3,072×2,304 / 1/125秒 / F4.0 / -1EV / WB:オート / 70mm
ISO3200(高感度モード)
3,072×2,304 / 1/250秒 / F5.0 / -1EV / WB:オート / 70mm

レンズ

 このジャンルの多くは光学10倍ズームなので、12倍ズームの本機は少しアドバンテージがある。まあ、実用上の差よりも店頭やカタログスペックでの“違う”感のほうが大きいと思うが。

 35mmフィルムカメラ換算では36〜432mm相当。開放F値はF2.8〜3.3と明るめだ。28〜504mm相当のオリンパス「CAMEDIA SP-550UZ」にはおよばないものの、広角端と望遠端の画角の違いはやはりすごい。

 広角、望遠ともにシャープ感は十分にあり、色収差もほとんど気にならない。EDレンズとかは使っていないが、描写性能は立派なものだ。


広角端(36mm相当)
3,072×2,304 / 1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:晴天
望遠端(432mm相当)
3,072×2,304 / 1/500秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:晴天

マクロ

 マクロ時には広角端では5cm、望遠端で100cmまで寄れる。撮影倍率は広角端のほうが大きくなるが、背景のボケ具合は望遠端のほうがいい。パースペクティブも気にならない。

 フードを取り付けるアダプターリングに52mm径のフィルターが装着できる。市販のクローズアップレンズが使えるので、もっと高い倍率での接写も楽しめる。


広角端(36mm相当)・撮影距離5cm
3,072×2,304 / 絞り優先AE / 1/1,000秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天
望遠端(432mm相当)・撮影距離100cm
3,072×2,304 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F4.5 / 0EV/ ISO100 / WB:晴天

そのほかの作例

ポーズ自体は「私は鳥です」と主張しているものの、胴体の丸さがそれを裏切っている。口の中の様子まで見られて面白い
3,072×2,304 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 432mm
手に手をとってシンクロナイズド、ってわけではないと思う
3,072×2,304 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 432mm

こちらは広角端。28mm相当のカメラといっしょに撮影していたせいで、36mmだと物足りない感が強かった
3,072×2,304 / 1/500秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 36mm
201mm相当で撮影。普通のデジタルカメラだと、この時点ですでにお手上げ
3,072×2,304 / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 201mm

順光側に回り込みたかったけれど、立ち入り禁止区域だったので断念。AFが速くないのとタイムラグのせいで、動くものを撮るのは難しいが、木に止まっているときなら何とかなる
3,072×2,304 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 432mm
もう少し暗めの露出にしたかったが、これが限界。絞りがF8までしかないのがデジタル一眼レフとは違うところ
3,072×2,304 / 1/1,600秒 / F8 / ISO100 / WB:晴天 / 432mm

ビル建設現場のクレーン。細かいところまできちんと描写できている。窓にカーテンがついているなんて初めて知った
3,072×2,304 / 1/500秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 379.8mm
ビルの屋上のオブジェ。こういうのを撮るのには高倍率ズーム機は有利だ。このカットは129.6mm相当だけど
3,072×2,304 / 1/400秒 / F5.6 / -1EV / ISO100 / WB:晴天 / 129.6mm

カップルのシルエットを夕日の照り返しに入れたくて、けっこう走りました。一眼レフだったら撮るのをあきらめてたと思う
3,072×2,304 / 1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 432mm
このぐらいの望遠があると、夕日の撮影はかなり楽しい。一眼レフだと目がつらくなるが、電子ビューファインダーはラクチンだ。
3,072×2,304 / 1/1,600秒 / F8 / -1EV / ISO100 / WB:晴天 / 432mm

日没後、葛西臨海水族園のドーム。手ブレ補正を信じて手持ち撮影。1/30秒だが何とかブレずに撮れた 葛西臨海公園駅前から。もっとハデな色に変わるのを待ちたかったが、寒すぎて断念した
3,072×2,304 / 1/50秒 / F3.2 / -1.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 61.2mm

広角端ではタル型の歪曲収差が出るが、それほど目立たないのはライカがうるさいから。画面左側がアマいのは、たぶん手ブレ補正のせいだと思う
3,072×2,304 / 1/50秒 / F2.8 / -1EV / ISO100 / WB:晴天 / 36mm


URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/fz8/

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北村 智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2007/05/15 01:56
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