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【新製品レビュー】パナソニック LUMIX DMC-FX30

〜小さなボディに28mmズームレンズを搭載
Reported by 吉住 志穂

LUMIX DMC-FX30(センシュアルブラウン)。実勢価格は38,000円前後
 光学式手ブレ補正機構、2.5型液晶モニター、広角28mmからのズームレンズ……といったヒット要素を採り入れつつ、定番モデルとして人気なのがLUMIX DMC-FXシリーズです。ぐっと薄くなった新モデルの「DMC-FX30」のうち、一番おしゃれでキュートに感じた「センシュアルブラウン」を試してみました。

 「ブラウン」というと地味な印象を受けるかもしれませんが、実際には落ち着いたイメージのピンクの一種といっていいでしょう。ほかのメーカーのピンクにはあまり見られない色合いなので、とても新鮮に感じます。表面はつややかなグロッシー仕上げ。FXシリーズといえばマット調の表面仕上げが多かったのですが、センシュアルブラウンの表面は手触りも良く、アクセサリー的な愛着を感じます。意外に滑りにくいのも特徴です。

 DMC-FX30の特徴といえばまず、CMでおなじみの「すごうす」ですよね。本体の奥行きは22mm。大きくなりがちな28mm(35mm判換算)からのズームレンズユニットを、非球面レンズの枚数を増やすことで小型化した結果、前モデルの「DMC-FX01」から2.2mm薄くなったといいます。特に液晶モニター以外の部位が大幅に薄くなり、これまでのFXシリーズにあったコロコロした印象がなくなりました。もともと全高が低かったこともあり、ポケットからも取り出しやすくなって好印象です。

 ただし、カシオ「EXILIM CARD EX-S770」(奥行き17.3mm)や、富士フイルム「FinePix Z5fd」(同19.4mm)などに比べると、持っただけで「薄い!」と思えるほどの驚きはありません。とはいえ、レンズが沈胴式の3.6倍ズームである点を考えると、よくここまで薄くできたと感心します。





DMC-FX9(右)と薄さを比較

コンパクト機として優秀な28mmレンズ

撮影時の情報表示。リアルタイムヒストグラム、グリッド表示など多彩
 CCDは1/2.5型の有効720万画素CCD。映像エンジンの「ヴィーナスエンジンIII」ともども、DMC-FX07から変わりはありません。ヴィーナスエンジンIIIによるキビキビした動作も、DMC-FX07と同等の印象。起動やAFが速く、大きなストレスを感じることはないでしょう。

 感度設定はISO100からISO1250まで。シーンモードの「高感度」を選ぶと、シーンの明るさに合わせて、最大ISO3200に自動で増感されます。撮影シーンにもよりますが、ISO400からノイズが目立ち始め、ISO800やISO1250ではA4サイズ以上の大伸ばしが難しくなる印象です。といっても、ブログへの掲載なら充分でしょう。手ブレ補正の効きが良いので、なるべく増感せずに撮れるのは、本機の魅力です。

 被写体の動きを判断して増感する「インテリジェントISOオート」も、DMC-FX07から継承されました。「動かない被写体はなるべく低感度で撮影し、被写体が動けば高感度になる」という、デジタルカメラならではの発想のモードです。春モデルからは、モードダイヤルから選べるようになり、この機能にかけるパナソニックの本気が感じられます。

 インテリジェントISOオートにして被写体の花をわざとブラすと、撮影時に感度が上がるのを確認できました。花を動かさないとISO100でシャッター速度1/30秒、動かして撮るとISO400でシャッター速度1/125秒、といった具合です。このモードのときは液晶モニターにISO感度が出ないので、どのくらいまで感度が上がるのか分からないのですが(撮るときに一瞬だけ表示されます)このモードの場合、ISO1250まで上がります。

 ただし、被写体が動き始めたばかりだと、被写体が完全に止まらないシチュエーションが何度かありました。動くものを瞬間的に捉えるためというよりは、「被写体はあまり動かない、でもひょっとしたら動くかも」と予測できるときに、高感度モードの代わりとして使うのがよいでしょう。また、どうせなら高感度モードと同じく、ISO3200まで増感してもよいと思います。考え型が合理的で面白い機能なので、さらなるブラッシュアップを期待します。

 レンズは焦点距離28〜100mm相当(35mm判換算)、F2.8〜5.6。広角端は四隅にわずかなボケが見られますが、大きな流れや周辺落ちもなく、コンパクトデジタルカメラの28mmレンズとしては優秀な部類だと感じました。広角端でタル型、望遠端で糸巻き型の歪曲収差が見られますが、このクラスとしては平均的な品質だと思います。

 また本機は、画角が広いことに加え、手ブレ補正機構もあるので、手を伸ばしての自分撮りにも最適です。背景を入れた自分撮りや、2〜3人での自分撮りが簡単にできます。さすがに手を伸ばして低感度で撮るとブレ易いので、2秒のセルフタイマーを活用するとよいでしょう。


アスペクト設定では、パナソニックのデジカメでおなじみの16:9も選べます
EX光学ズームも搭載。画素補間なしで画角を狭められます。低解像度時の望遠側は手ブレに注意!

ホワイトバランス設定のときは、スルー画で色味の変化を確認できます 「夕焼け」、「高感度」、「赤ちゃん2」といった、最近のLUMIXと同じシーンモードが選べます

使いやすい操作系、長い爪でもOK

 操作ボタン類の位置や役割は、前モデルとほとんど同じです。FXシリーズは一貫してモードダイヤルを背面右上に搭載していますが、撮影モードと再生モードの切り替えをはじめ、操作がわかりやすくて好感が持てます。ダイヤルを回すだけでマクロモードに移行できるのも便利。今回からダイヤルを回すと、液晶モニターに選択したモードが表示されるようになったので、さらに使いやすく感じました。電源のオンオフがスイッチ式なのもポイントでしょう。ボタンの長押しなどと違い、爪が伸びていても簡単に操作できます。

 なお前モデルと違い、十字ボタンが独立したボタンになったので押しやすくなりました。DMC-FX9の頃に戻った印象です。独立して設けられた露出補正ボタンもうれしい配慮。操作関連の全体的な完成度は高く、使っていて大きな不満を感じることはありませんでした。

 バッテリーはCIPA規格で約280枚持ちます。実際使っていても減りは少なく、日常のスナップやパーティーでは不満を感じませんでした。さらに撮影モードには液晶モニターなどを節電する「エコモード」もあるので、旅行先で充電し忘れに気づいたとき、試してみるのも良いでしょう。

 そのほか、液晶モニターの美しさも特筆ものです。日常的な撮影シーンで、一時的に輝度を上げる「パワーLCDモード」や、視野角を下方向に広げる「ハイアングルモード」も便利。ボタンひとつでこれらのメニューを呼び出せるので、撮影条件に合わせて積極的に使いたいですね。


モードダイヤルが便利。マクロモードへの切り替えもダイヤルから行なえます
モードダイヤルの動きに合わせ、現在のポジションを表示する機能が付きました

記録メディアはSDHC/SDメモリーカード。バッテリーはリチウムイオン充電池
充電器(左)とバッテリーの「DMW-BCE10」

まとめ

 完成度が高く、これといって気になる点が見当たらないのですが、あえて挙げるなら、顔認識機能がないことでしょうか。「お嬢様カメラ」を標榜するこのカメラには絶好の機能だと思うのですが……。上記した自分撮りのときも、AFの正確さが増すはずです。「かんたんモード」にワンプッシュで逆光補正を行なう機能がありますが、これなども顔検出からのAE制御が効けば、ワンプッシュすら必要なくなるでしょう。

 とはいえ、広角、手ブレ補正、高感度と、流行の機能はしっかり盛り込まれています。メニュー操作もわかりやすく、「お嬢様」だけでなく、多くの人におすすめしたくなる製品です。


作例

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算での焦点距離を表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


●画角


広角端
3,072×2,304 / 1秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm
望遠端
3,072×2,304 / 1秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 100mm

●歪曲収差


広角端
3,072×2,304 / 1/500秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:日陰 / 28mm
望遠端
3,072×2,304 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:日陰 / 100mm

●ISO感度


ISO100
3,072×2,304 / 0.8秒 / F4.3 / -0.66EV / WB:晴れ / 63mm
ISO200
3,072×2,304 / 1/3秒 / F4.3 / -0.66EV / WB:晴れ / 63mm

ISO400
3,072×2,304 / 1/5秒 / F4.3 / -0.66EV / WB:晴れ / 63mm
ISO800
3,072×2,304 / 1/10秒 / F4.3 / -0.66EV / WB:晴れ / 63mm

ISO1250
3,072×2,304 / 1/13秒 / F4.3 / -0.66EV / WB:晴れ / 63mm

●インテリジェントISO感度

 静止状態でバラの花を撮影後、今度は揺らした状態で撮影してみました。半信半疑でしたが、確かに感度とシャッター速度が上がっています。ただし常に、被写体ブレを完全に止めるほど、速いシャッター速度になる訳ではないようです。


静止状態
3,072×2,304 / 1/30秒 / F5.2 / -0.33EV / ISO100 / WB:マニュアル / 86mm
揺らした状態(その1)
3,072×2,304 / 1/60秒 / F5.2 / -0.33EV / ISO200 / WB:マニュアル / 86mm
揺らした状態(その2)
3,072×2,304 / 1/125秒 / F5.2 / -0.33EV / ISO400 / WB:マニュアル / 86mm

●そのほか


通常撮影
3,072×2,304 / 1/15秒 / F5.6 / -0.66EV / ISO100 / WB:晴れ / 100mm
通常撮影
3,072×2,304 / 1/40秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 100mm

マクロモード
3,072×2,304 / 1/100秒 / F2.8 / 1EV / ISO100 / WB:オート / 28mm
通常撮影
3,072×2,304 / 1/13秒 / F4.3 / -1EV / ISO100 / WB:晴れ / 63mm

マクロモード
3,072×2,304 / 1/40秒 / F4.5 / 0.66EV / ISO100 / WB:オート / 67mm
マクロモード
3,072×2,304 / 1/8秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 54mm

マクロモード
3,072×2,304 / 1/30秒 / F4 / -0.33EV / ISO100 / WB:マニュアル / 54mm
マクロモード
3,072×2,304 / 1/125秒 / F2.8 / 1.33EV / ISO100 / WB:電球 / 28mm

通常撮影
3,072×2,304 / 1/6秒 / F2.8 / 1EV / ISO100 / WB:電球 / 28mm
自分撮りモード
3,072×2,304 / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 28mm

マクロモード
3,072×2,304 / 1/4秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 28mm
夕焼けモード
3,072×2,304 / 1/250秒 / F2.8 / 0.33EV / ISO100 / WB:オート / 28mm


URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/fx30/

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吉住 志穂
(よしずみ しほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。「デジタルフォト」や「日本フォトコンテスト」で連載中。日本自然科学写真協会(SSP)会員。http://www.geocities.jp/shihoyoshizumi/

2007/04/03 00:44
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