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【特別企画】セミナー講師が語るニコン D80の魅力

Reported by 小山 伸也

 ニコンのデジタル一眼レフカメラD80が発売になって2カ月が過ぎた。ソニーのα100、キヤノンのEOS Kiss Digital X、そしてペンタックスのK10Dと、年末に向け激しい商戦を展開することになる。それぞれに特徴があるので単純な比較は難しいが、共通していることは10Mピクセル超の撮像素子を搭載していることだ。

 筆者は「ニコンD80体験セミナー」の講師をしており、D80については他の3機種に比べてはるかに多く接しているので、その体験から写真を含めて話を進めていくことにする。

※キャプション内の撮影データは、使用レンズ / 画像解像度(ピクセル) / 露出モード / ISO感度 / 露出時間 / 絞り値 / 露出補正値(EV) / ホワイトバランス / レンズそのものの焦点距離を表します。


オールラウンドプレイヤー

 野球で、バッターボックスに立てばホームランから送りバントまででき、守れば内外野ともにこなせる選手をオールラウンドプレイヤーという。D80はニコンのデジタル一眼レフカメラのラインアップの中ではそんな位置付けではないだろうか。

 D80では、初心者に便利な完全なオートの状態で撮影から、上級者が使う高度なテクニックまで、いろいろ撮影が楽しめるようになっている。D80に限らず今のデジタルカメラは、フィルムカメラよりも多くの機能を搭載しており、「デジタルカメラは難しい」と言わせる一因だろう。しかし全てを使いこなす必要はない。最低限の使い方は覚えたほうがよいが、たまにしか使わない機能はあることだけを覚えておいて、使う時に説明書を読めばよい。少なくとも僕はそう使っている。

 AF一眼レフカメラが登場してから20年以上が経ち、今はカメラ任せの撮影に十分に信頼をおける。デジカメにおいては進歩も著しく、どんどん高性能になっていくので、これを活用すればよい。


AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO400 / 1/320秒 / F8 / 0EV / AUTO / 135mm
何でもそうだが、チャンスは突然訪れる。逆光の撮影を考えていたら、男性が踏み切りの途中で足を止めた。慌ててカメラを取り出して撮影した。結果は、家の壁の色が青っぽく雰囲気が今ひとつであった
左の画像をD80の「画像編集メニュー」→「フィルター効果」で加工したもの。本来なら、PCで画像処理をすることになるのだが、D80では撮影後にこのような加工ができる。今回は家に帰ってからD80を操作して加工したが、もちろん撮影直後に現場を見ながら加工ができる。まさに、高性能多機能を実感した

光を楽しむ

AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6 G(IF) / 3,872×2,592 / プログラムAE / ISO400 / 1/320秒 / F9 / -0.7EV / AUTO / 135mm
順光でも逆光でも、このような横光でも複雑な操作はいらない。レンズを向けてシャッターを切るだけでよい。夏の感じを出すために、少し雲を出したかったのでマイナスの露出補正をした
 写真は、「光を楽しむ」ことと思っている。順光・逆光、蛍光灯・白熱電球、ハイライト・シャドー、カラー・モノクロなどなど光について話を始めたらきりがない。見たままの時もあれば、写真ならではの画像が得られることもある。D80に限ったことではないが、今のカメラは非常に高性能になってきており、いろいろなシーンにおいて誰でもがよい写真を撮影できるようになったきた。

 撮影で多いもののひとつはスナップだろう。感度をISO400にセットして、あとはオートにしておけば、素早い撮影が可能となる。何も考えないでシャッターを切るとは言わないが、感覚的に撮影できる。

 屋外で花を撮影する人は多いが、屋内で撮影する人はどのくらいいるだろうか。僕の家では、月下美人を育てている(あまり水を掛けてはいけない花なので手がかからない)。毎年、夏の終わりに一晩だけ咲いてくれる何とも哲学的な花で、よく撮っている。


AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO400 / 1/45秒 / F8 / 0EV / AUTO / 105mm
これは昼間に撮影したもので、外光で撮影している。まだ開花していないのでAFで十分に撮影できた
AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO100 / 1.6秒 / F8 / -0.5EV / AUTO / 70mm
こちらは夜の9時半ごろに、蛍光灯下で撮影したもの。デジタルカメラは、オートホワイトバランスがあるので、フィルムよりも色の扱いが楽

AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO1600 / 1/2,000秒 / F11 / -1EV / AUTO / 135mm
 花の撮影でも、シャッター速度を速くしたり、被写界深度を深くしたい時がある。デジタルカメラはISO感度をコマごとに変えられる特長があるので、それを最大限に活用して撮影したい。

 右の作例は、ISO1600で撮影した逆光のススキ。風が強くてシャッターチャンスが難しかったので、思い切ってISO1600にセットして写し止めることにした。このD80はノイズも少なく、高感度ノイズ除去も利くので。シャッター速度を速く、かつ被写界深度が深くなるようにして撮影した

 花の撮影にストロボを使うこともある。D80、D200、D2Hなど最近のニコン デジタル一眼レフでは、外付けストロボのSB-800を組み合わせると、増灯撮影が簡単にできる。これを上手に使わないと損をするといっても過言ではない。

 次の作例では、室内の生け花を1m弱の距離で撮影した。[1]は室内光だけで撮影したもので、露出は3.6秒のF8と暗い。[2]は内蔵フラッシュのみを使ったが、被写体の色や位置関係から配光が悪い。[3]はSB-800を主要被写体である花の左側に配置して、コマンダーモードの2灯撮影した。[4]はSB-800を花の後のやや左側に配置して、コマンダーモードの2灯撮影した。[5]はSB-800を花の右側に配置して、コマンダーモードの2灯撮影した。どれがよいかは各自で判断していただくとして、光源を位置を変えるだけでいろいろな画像が楽しめる。デジタルカメラなので、画像を液晶モニターで確認して好みでなければ消去すればよい。


[1]AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO100 / 3.6秒 / F8 / 0EV / AUTO / 105mm [2]AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO100 / 1/60秒 / F8 / 0EV / AUTO / 105mm (内蔵ストロボ使用)

[3]AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO100 / 1/60秒 / F8 / 0EV / AUTO / 105mm (内蔵ストロボ+SB-800) [4]AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO100 / 1/60秒 / F8 / 0EV / AUTO / 105mm (内蔵ストロボ+SB-800)

[5]AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO100 / 1/60秒 / F8 / 0EV / AUTO / 105mm (内蔵ストロボ+SB-800)

 D80はGN13のストロボを内蔵しているので、ISO400〜1600に設定すると、開放絞り値F4のレンズで6.5〜13mまでストロボの光が有効であり、多くの撮影をまかなえる。これを有効に使わない手はない。8月にD80を手にして、最初に撮影したのが次の画像だ。

 もちろん、D80は長秒時ノイズも高感度ノイズも少ないので、夜景も楽しめる。ほんの2〜3年前は、このノイズがフィルムとの大きな差であったが、もう解消されたようだ。


AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6 G(IF) / 3,872×2,592 / プログラムAE / ISO800 / 1/25秒 / F3.5 / -1EV / AUTO / 18mm
新宿の飲み屋で会った2人組。2人ともカメラ好きだというノリのよい人達なので、許可をいただいて撮影した。
AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO400 / 1.5秒 / F8 / -1EV / AUTO / 28mm
都庁がカラフルにライトアップされていた。ホワイトバランスをいろいろと変えて撮影したら、ホーンテッドマンションのようになってしまった。作例はオートで撮影したもの

Capture

 D80が発売される約1カ月前に、ニコンの画像編集ソフト「Capture NX」が発売された。僕は、Nikon Capture 4.3(4.4にバージョンアップ済)を持っていたので、買うのをためらっていたのだが、「使いやすいから!」というニコンの人からの薦めがあって、結局は購入してしまった。

 購入したのは8月下旬で、D80が我が家に来たのとほぼ同時だったのだが、忙しくて使う暇がなかった。インストールしたのが9月の下旬で、使い始めたのは10月になってから。本格的使用は大阪の「ニコンD80体験セミナー」に行く新幹線の中であった。結論を言えば、あっという間に使いこなせるようになった。

 9月中旬、天気が不純でどんよりした曇り空の日が続いた。こんな日は、白も黒もグレーに寄ってしまいトーンがよくない。そんな時にCapture NXのブラックコントロールとホワイトコントロールを使うと簡単に調節ができる。操作はポイントをおいて調節量を決めるだけである。

 何気なく見ているものでも被写体として難しいものがある。金属の集合体といってもよいバイクは、金属感を出すのに苦労することがある。次の作例のバイクの燃料タンクは、さらに黒、白、赤の塗装部分もあるので、こんな曇天の日には撮影してはいけないものかもしれない。しかしCapture NXを使えば数分で完了する。


AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G(IF) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO100 / 1/3秒 / F11 / 0 EV/ AUTO / 105mm
D80で撮影したままの画像
左の画像をCapture NXで画像処理したもの

明るいレンズ

 一眼レフカメラのAF化とともに、ズームレンズが単焦点レンズに代わってレンズの主役を務めるようになった。ズームレンズは限られた範囲で焦点距離を選べるメリットがあるが、一般的に開放F値が暗いとされてきた。しかしながら、今年に入ってから、レンズメーカーを中心にデジタル一眼レフカメラ用という制約はあるものの、明るいレンズが増えてきた。これを使うことによって背景の処理方法のバリエーションが増えた。


タムロン 17-50mm F2.8(A16) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO100 / 1/2,000秒 / F2.8 / -0.7EV / AUTO / 50mm
D80の最高シャッター速度は1/4,000秒であるが、こんなに明るい日中でも1/2,000秒(しかもマイナスの露出補正をしている)でシャッターが切れる。一般的な使いかたで不自由はない
タムロン 17-50mm F2.8(A16) / 3,872×2,592 / 絞り優先AE / ISO100 / 1/40秒 / F22 / -0.7EV / AUTO / 50mm
このレンズを使ってみたかったのは、ボケ味を見たかったから。ボケにはボケた部分の被写体の形が全くわからなくなるようなものと、形をぼんやりと見せながらボケるタイプがあるが、タムロン 17-50mmは後者のタイプ。高倍率ズームのボケ方とは大きく違うところが楽しい

D80で構えてみると

 一般的にシャッタースピードは、数十分の一から数千分の一を使い、構えている時間でさえ数分だが、持っている時間はそれに比べてはるかに長い。撮影時、持ち運び時を含めて撮影機材は軽いほうがよい。もちろん、適度な重さがないと撮影しづらいが……。

 D80は重さは540gで、大きさ(体積)はD200の70〜80%くらいであろう。カタログなどの製品写真を見ると結構な大きさに見えるが、コンパクトにまとめられているのだ。

 僕の手は比較的大きいので小さいカメラは持ちにくく、どちらかというとD200クラスのやや大きいほうが好きだ。D80は小さいので持ちにくいと思っていたが、予想に反してしっかりと持つことができた。さらに驚いたのは、手の小さな家内にD80を持たせても持ちやすいという。なぜだろう。実は、「ニコンD80体験セミナー」でアンケートをとると9割以上の人が「持ちやすい」と答えてくれる。

 カメラの性能は既に言う必要が無く、ちょっとしたことが大切だと思う。小さくて軽くてさらに持ちやすいとなれば、持ち歩く回数もぐっと増える。

 デジタル一眼レフカメラは、完成領域に入った。難しいことは抜きにして撮影そのものや画像を楽しみたい。



URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d80/
  ニコン D80 関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2006/08/10/4397.html



小山 伸也
中央大学理工学部卒業後、オーディオメーカー、カメラメーカーを経て2002年春にフリーになる。カメラ雑誌で写真やカメラの解説、鉄道や航空雑誌で車両や航空機の解説など幅広く活躍している。カメラメーカー勤務時には日本カメラショーなどの講師を務めていた。1955年生まれ東京都出身。

2006/11/16 00:25
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