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【新製品レビュー】ソニー サイバーショットDSC-W50

~値段を意識させない写りと高級感のある外観
Reported by 安孫子 卓郎

 スタンダードな形状をしたオーソドックス路線を行くWシリーズの新製品が「DSC-W50」。位置付け的には「DSC-W30」の後継機になる。

 DSC-W30からの改良点は、液晶モニターが2型8.5万画素から2.5型11.5万画素とアップしたこと。そのためか、CIPA規格準拠での撮影枚数は、約400枚から約390枚とダウンしている。といっても、390枚撮れれば十分で、実用上は全く問題ないだろう。また、本体サイズが89×59×23mmから88.9×57.1×22.9mmとほんのわずかに小さくなった。前面がヘアライン仕上げになって高級感は増したが、重量は逆に約123/153gから約127/159g(本体のみ/撮影時)と重たくなってしまった。

 撮像素子はCCDで、1/2.5型有効600万画素。最高感度はW30のISO800からISO1000へと引き上げられている。レンズはオーソドックスな光学3倍ズーム。35mm判カメラで相当する画角は、焦点距離38~114mmになる。記録メディアはメモリースティックデュオ/PROデュオで、内蔵メモリ32MBも利用できる。


カメラらしい外観と静かな動作音

 基本的には角に丸みを持たせた程度の箱形のボディで、ボディ前面はヘアライン仕上げ。そこに凹凸仕上げの「SONY」と「Cyber-shot」のロゴが配置されている。レンズ周りにも大きな部材をもうけて、「CarlZeiss」、「Vario-Tessar」、「2.8-5.2/6.3-18.9」の刻印。クラッシックカメラのイメージを模しているようだ。

 ボディ上部にはパワーボタンと、ズームレバーを周りに配したシャッターボタンがある。ズームレバーを独立させるより、コンパクトデジカメの場合には、この形式がもっとも操作性がよいといえるだろう。

 ズームは静かで高速。ズームやAF時にガサゴソとうるさい音のする機種もあるが、W50は実に静か。音がしないわけではないが、屋外や多少の騒音がある部屋ならば、無音との印象を受けるのではないだろうか。静止画の写りには関係ないとはいえ、操作の度に、うるさい音がするのは好ましいことではない。この種の音については、カメラ選びの重要な要素のひとつになると考えている。





 背面右上には、シーンモードなど撮影モードを選択するダイヤルがあり、P(プログラム)モード、動画モード、高感度モード、さらに夜景や人物などのシーンモードが割り付けられている。その左横には独立した再生ボタン。再生モードにすぐに移行して、再生モードからはシャッター半押しで撮影モードに復帰する。再生ボタンを長押しすることで、再生モードでの起動も行なえる。そのままシャッター半押しで撮影モードにすることも可能だ。ただし終了はパワーボタンで行なう。

 小さいながら光学ファインダーも備えている。また液晶モニターの表示を「情報表示あり」、「情報表示なし」、「ヒストグラムあり」、「液晶モニターオフ」から切り替えるボタンを搭載する。

 十字ボタンの下には、記録画素数の切り替えボタンもある。3:2や16:9の記録も可能だが、16:9はトリミングだけではなく、フルHD解像度の1,920×1,080画素に固定されてしまう。16:9はHDTVなどのテレビ表示が基準であるとはいえ、最大記録画素数から大幅に画素数を減らしてしまうのはいかがなものか。ユーザーに記録画素数の選択肢を与えて欲しかった。

 十字ボタンは左側で露出補正、上でストロボモード、右でマクロ、下でセルフタイマーの設定が行なえる。マクロモードでは最短2cmで、十分な近接撮影能力だろう。


意外に使える距離固定フォーカス設定

 露出補正だが、Pモードにしておくと、パワーオフにしてもその設定が保持されている。筆者にしてみると、ホワイトバランスなどはパワーオフでも保持していてもらいたいのだが、露出補正はパワーオフでリセットされた方が使いやすい。

 ソニーに限らずメーカーには頑固な信念を持つ人がいるらしく、「フルオートで撮るか、フルマニュアルか」の二者択一でなくてはならないと考えているように思えるが、実際はセミオートがもっとも使いやすい。つまり、どの項目をリセットするか、しないかといった選択肢をユーザーに与えてくれると良いのだが、メーカーの考えにユーザーが合わせなくてはならないのは、残念な部分である。

 感度設定は上位機種の「DSC-T10」などと同じく、ISO1000まで可能になった。とはいうものの、実際に試用した機種でいえば、ISO800とISO1000では極端に画質が落ちてしまう。ノイズや解像感だけではなく、色味も変わってしまうので、これくらい差が出てしまうと、非常用といった使い道に限定されそうだ。

 メニュー設定では、カラーモードとして「標準」、「鮮やか」、「ナチュラル」、「セピア」、「モノトーン」を選択可能。また、フォーカスは「マルチAF」、「中央重点AF」に加え、さらに「0.5m」、「1m」、「3m」、「7m」、「∞」の距離固定フォーカスモードを選べる。

 距離固定フォーカスモードは結構便利で、コンパクトデジカメの深い被写界深度を活かしたスナップ撮影に活用できるのだが、これも電源OFFにしても設定が保持されてしまう。うっかりしているとピンボケの元ともなる。このあたりも、リセットするかしないかの選択肢がユーザーにあると、大変良かったと思われる部分だ。


ISO1000が選択可能になった アクセスしやすい位置にあるカラーモード

フォーカスモードに距離固定も装備 画質選択では対応プリントサイズなどの解説が付く

 そのほか、測光モードは「マルチ」、「中央重点」、「スポット」と一通り揃う。「コントラスト」と「シャープネス」の変更も可能。セットアップでは、通常のシングルAFのほか、シャッターボタンを半押しする前から自動的にピント合わせを行なう「モニタリングAF」も選択できる。

 動画はVGAサイズで30fpsと17fpsから選べる。逆にその下になると「ビデオメールモード」となり、160×112ピクセル、8fpsと極端に落ちてしまう。筆者はWeb上に動画を掲載することもあるが、VGAサイズでは大きすぎるため、QVGAで30fpsで撮影している。テレビで見るならVGAで良いのだが、ネットに掲載することを考えると、QVGAサイズが省かれているのは残念なところだ。光回線のみを前提にVGAで掲載するというわけにも行かないと考えている。


小型モデルには珍しくテレコンやワイコンも

HVL-RLS。三脚穴で固定する
 エントリー路線のコンパクト機だが、アクセサリーはいろいろとそろっている。ユニークなのはリングライトで、マクロ撮影などに便利な「HVL-RLS」(10,500円)。W50専用という訳ではないが、この手のコンパクト機用にこのようなアイテムは、あまり見かけない。また望遠2.6倍のテレコン「VCL-DH2630」や、広角0.7倍のワイドコンバージョンレンズ「VCL-DH0730」も用意されている。

 残念ながら高感度については、まだそれほど評価できるという印象は受けなかったが、通常の感度においては良く写る。青空の色もいかにも着色したという感じではなく自然で、日向と日陰が混在するような場面でもよく描写されている。

 エントリー機ということで、当初3万円前後から販売が始まる製品だが、数年前の低価格=低画質といった印象はなく、外観にも高級感がある。値段に見合わぬお買い得機種といえるだろう。


作例

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
※一部の作例については、作例データの一部項目を別の行で強調表示しています。


◆ISO感度


ISO80
2,816×2,112 / 1/400秒 / F2.8 / -0.3EV / WB:昼光 / 6.3mm
ISO100
2,816×2,112 / 1/500秒 / F2.8 / -0.3EV / WB:昼光 / 6.3mm

ISO200
2,816×2,112 / 1/160秒 / F7.1 / -0.3EV / WB:昼光 / 6.3mm
ISO400
2,816×2,112 / 1/250秒 / F7.1 / -0.3EV / WB:昼光 / 6.3mm

ISO800
2,816×2,112 / 1/640秒 / F7.1 / -0.3EV / WB:昼光 / 6.3mm
ISO1000
2,816×2,112 / 1/800秒 / F7.1 / -0.3EV / WB:昼光 / 6.3mm

◆カラーモード


標準
2,816×2,112 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 6.3mm
あざやか
2,816×2,112 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 6.3mm

ナチュラル
2,816×2,112 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 6.3mm

セピア
2,816×2,112 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 6.3mm
モノトーン
2,816×2,112 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 6.3mm

◆マクロ


2,816×2,112 / 1/250秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 6.3mm 2,816×2,112 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.3mm

◆連写


2,816×2,112 / 1/125秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 6.3mm 2,816×2,112 / 1/125秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 6.3mm

2,816×2,112 / 1/125秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 6.3mm

◆一般作例


2,816×2,112 / 1/250秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.3mm 2,816×2,112 / 1/640秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.3mm

2,816×2,112 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.3mm 2,816×2,112 / 1/200秒 / F7.1 / -0.3EV / ISO80 / WB:オート / 6.3mm

2,816×2,112 / 1/80秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.3mm 2,816×2,112 / 1/40秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6.3mm

2,816×2,112 / 1/320秒 / F5.2 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 18.9mm 2,816×2,112 / 1/500秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.3mm


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-W50/

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安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2006/08/09 01:04
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